この国を作り変えよう 日本を再生させる10の提言 (講談社BIZ)

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  • Amazon.co.jp ・本 (170ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062150521

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  • 世代間の利害対立という、日本の中高年が目を背け何もしない問題に切り込む勇気には拍手をおくりたい。


    2人の提言は的を射ている。頭の悪い中高年ほど品格を叫ぶ。団塊世代は既得権を手放し、日本全体で利益の総和を増やすべき。年金制度はいったんオールリセットし、あらためて世界標準の積立型の年金制度を一から作り直すべき。

  • この国を作り変えよう 日本を再生させる10の提言 (講談社BIZ)
    冨山 和彦 松本 大著

    経営共創基盤CEOの冨山さんとマネックスの松本社長の共著による日本再生論です。

    問題の本質は「若者の所得を収奪する団塊世代」であると論じており、既得権益を持っている世代が、「格差があるのは市場経済のせい」とすり替えを行っているとありました。

    自分が若者世代に入っているかはさておき、この意見には同感で、年金制度を筆頭に若者世代に不利なルールが多く、これらを変えていくには、政治を変えるしかないのですが、ただでさえ若者世代は人数が少ないにも関わらず投票率も低いのでは、不公平なルールも変わりようがありません。
    まずは、政治家に若者世代が政治に興味を持っていると思わせることから始めることが重要と感じました。

  • 第一線で活躍する経営者の立場から、日本の採るべき指針を語った本。現在の日本において本当に問題なのは世代間格差による対立構造であり、それによって年金医療制度や都市と地方の格差、少子化といった社会的課題は説明できると説く。

    本人たちが産業界や金融業界といった利益を代弁しているせいか、そのバイアスは多少感じるにしても、この本に書かれた内容は多くの人たちに共有された方が良い。この本が刊行された2008年時点では、リーマンショックといった金融危機がメインであり、東日本大震災が起こった2012年現在においてはちょっと事情が異なる。むしろ日本にとって課題を先送りできなくなった状況だと認識した方が良い。

    今の日本の仕組みはほとんどが戦後の高度成長に向けてつくられたもので制度疲労を起こしている。以下に描かれている提言は是非どんどん検討していってもらいたいし、政府や大企業といった旧守層に期待するのではなく、若者が自主的に変えていくべきものであろう。


    ・戸籍制度の廃止
    (婚外子の容認など、家族形態に関わらず十分な教育と福祉が受けられる仕組みの再構築による、抜本的な少子化対策)

    ・選挙制度改革
    (違憲状態にある地理的条件による選挙区割りではなく、年齢・世代別による選挙区の設定)

    ・貯金信仰、銀行重視からの脱却
    (個人貯蓄を元にした財政投融資モデルから、直接投資型の多様な金融システムへの移行)

  • 冨山さんと松本さんの対論本
    サブタイトルに10の提言とあるが本編ではひとつのテーマを相互で論じているのもあり11章構成 となっている

    章のつながりでテーマが重複しながら進むがテンポが良くテーマについての両者の各論も読み応えがあって面白いし読み終えて心地よさが残る・・・と同時に日本の課題も構造的で大掛かりな改革を必要としていることに気づく

  • 現在の日本では市場経済による格差が問題なっているとよく言われているが、実際の原因は、団塊の世代を中心とする既得権益を守るための反市場経済的な制度や規則のせい(p.34)。その具体例として、年金制度(p.82)、後期高齢者医療制度(p.84)などが挙げられている。

    上が自分たちの権力や財産を、遺品として新しい世代に譲り渡して去っていくのが本当の品格(p.114)

    解決策として10の提言が最後の章でなされる。

    【1】30年後に50代になる人間を各界から集めて「未来の内閣」を立ち上げ、そこで議論する p.138
    現在の政治家は、当選することを目的として、短期的視点であったり、投票総が多い高齢者に受けが良い政策が多い。未来のことを今の政治家に任せるのではなく、未来に生きる人たちが考えるというシステムを作るべき。

    【4】地方は自然に戻す p.135
    破綻市町村は救済しない。住民は地方の中核都市に移住してもらう施策を取り、インフラ等の経済効率の良い都市をつくって地方を活性化させる。

    【参考】日本人が貯金信仰と銀行崇拝のわけ p.130
    先の世界大戦で国庫予算を使い果してしまった日本は、戦後、賠償金の支払いや国土復興のための資金が、圧倒的に不足していました。そこで、政府は1952年に「貯蓄増強中央委員会」というものを作り、国民に貯蓄を推奨しるキャンペーンを展開した。これにより、働いて稼いだお金は銀行や郵便局のような安全な金融機関に預けるのが一番いいという考えが、日本人の意識に刷り込まれた。

  • 目次
    1 品格ブームの胡散臭さ
    2 パワーとマネーを若者に移譲せよ
    3 インセンティブ・デザインを導入せよ
    4 人間の意欲を摘み取る国
    5 法学部支配社会でいいのか
    6 「ダメな国」と認識したほうが未来を描ける
    7 政府は「理想的家族像」を押しつけるな
    8 人口構成デザインはもっとも重要な政治テーマだ
    9 国民一人ひとりの国際競争力が問われる
    10 自律反転の時はいつ来るか
    11 日本を「知識集約立国」に転換せよ
    ◆日本を若返らせる10の提言


    松本大と冨山和彦が交互にあるテーマについて語る
    だいぶポジションとった論調
    とくに格差に関する松本大の話し内容が少し危険。セーフティネットの必要性を解きながらも、その手段や内容には全く触れていないので反感を買いやすい印象
    冨山和彦が中小企業や労働の実態を実体験を元に語る7章は必見!
    政治も含め若年にパワーとマネーを移譲する案には共感するが、若い人の発言をどうやって世の中にアピールするかが議論すべき課題だと感じた

  • ■書名
    この国を作り変えよう

    ■筆者
    元産業再生機構最高責任者 冨山和彦氏
    マネックスCEO 松本大氏

    ■内容


    ■所感

  • [ 内容 ]
    経済大停滞、年金崩壊、格差の二極化、貧困化する地方…問題の本質は「若者の所得を収奪する団塊世代」である。
    日本の指導層がひた隠す「不都合な真実」を40代経営者が抉る。

    [ 目次 ]
    品格ブームの胡散臭さ
    パワーとマネーを若者に移譲せよ
    インセンティブ・デザインを導入せよ
    人間の意欲を摘み取る国
    法学部支配社会でいいのか
    「ダメな国」と認識したほうが未来を描ける
    政府は「理想的家族像」を押しつけるな
    人口構成デザインはもっとも重要な政治テーマだ
    国民一人ひとりの国際競争力が問われる
    自律反転の時はいつ来るか
    日本を「知的集約立国」に転換せよ

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
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    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 冨山和彦氏、松本大氏のそれぞれをいつも尊敬の眼差しでみているものとして、店頭できになったので購入してみた。大前研一氏やWBSコメンテーター陣の何名かの方たちもおっしゃっている方向性と共通で、現在の不況やその他の社会的問題の本質は、団塊世代、高齢者が若年世代から収奪・滞留させている所得が社会に還流しない、ということであると述べている。事業会社にいた頃に痛切に感じていた、「自分たちががんばって成果を挙げ、儲かった分が、ろくな働きのない中間管理職以上の人たち(上位マネジメントは特に)に手厚く分配される構図にとても苛立ちを感じる」という気持ちが、社会全体に蔓延しているという困ったことなのだ。日本という国が戦後の復興の中で活用してきた様々な法・制度が疲労による適合不良に陥っていることが改めて指摘されるとともに、経済モデルや社会構造の変化を見ない振りしている間にどんどん乖離してきているということに目を向け、今後の日本がどんな理想像を見据えて再構築されるべきなのかについて語られた本書。納得感ももちろん必要だが、その前にまずたたき台でもいいから理想像について提示し議論するリーダーが不可欠だということを改めて痛感した。自分なりに地道に努力していてもなかなか変わっていかないことに焦れてしまう昨今、こういう影響力のある人たちの心強い発言を胸に、これからもできることを精一杯取り組んで生きたいと思った次第。

  • おじさんは利得権益にすがらずさっさと優秀な若者にその椅子を明け渡しなさいとおじさんが説く本。

著者プロフィール

冨山 和彦(トヤマ カズヒコ)
株式会社経営共創基盤(IGPI)グループ会長
1960年東京都生まれ。東京大学法学部卒業、スタンフォード大学経営学修士(MBA)、司法試験合格。ボストン コンサルティング グループ、コーポレイト ディレクション代表取締役を経て、2003年に産業再生機構設立時に参画し、COOに就任。2007 年の解散後、IGPIを設立。2020年10月より現職。日本共創プラットフォーム(JPiX)代表取締役社長、パナソニック社外取締役、経済同友会政策審議委員会委員長。財務省財政制度等審議会委員、内閣府税制調査会特別委員、内閣官房まち・ひと・しごと創生会議有識者、国土交通省インフラメンテナンス国民会議議長、金融庁スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議委員、経済産業省産業構造審議会新産業構造部会委員などを務める。主な著書に『なぜローカル経済から日本は甦るのか』(PHP新書)、『コロナショック・サバイバル』『コーポレート・トランスフォーメーション』(いずれも文藝春秋)などがある。

「2022年 『両利きの経営(増補改訂版)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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