ロードムービー

著者 :
  • 講談社
3.67
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本棚登録 : 1718
感想 : 327
  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062150859

作品紹介・あらすじ

感動の欠片がつまった、優しい短編集 デビュー作『冷たい校舎の時は止まる』から生まれた3短編が描くのは、誰もが感じやすさを抱えながら暮らすこの世界の片隅。切なさがゆっくりと心に満ちてくる…

感想・レビュー・書評

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  • 子どもだからこそ、できること。
    まだ子どもだから、できないこと。
    子どもだからこそ、全身で受けとめてしまう想い。
    まだ子どもだから、うまく伝えられない想い。

    大切な誰かのために、考えるより先に闇雲に走り出していたり
    心の底から正しいと思えることなのに、理不尽に却下されたり踏みにじられたり
    自分たちの手でなんとかしたいのに、大人の手を借りるしかなくて歯噛みしたり。。。

    幼い頃の、「頑張れば何にだってなれる!」という幸福な万能感が
    大人の事情や、謂れのない悪意や周囲の思惑によって
    子どもとして生きる不自由さに塗り替えられていく切なさと
    それでも自分なりの方法で、なんとか突破口を開こうと闘うことの尊さが
    辻村さんらしい丁寧さで描かれ、胸に迫ります。

    『冷たい校舎の時は止まる』のスピンオフ作品ということで
    1篇めから3篇めへと、あの鷹野くんの成長ぶりを、30代から小学生の頃まで
    時を巻き戻しながら見守ることができるうれしさといったら♪

    1篇めの主人公トシには、またもや辻村さん作品ならではの騙され方をしましたが
    お母さんが「男前な女性代表」の景子さんなのだから、それもそうよね。。。と納得し
    生徒会長だった裕二くんが鷹揚さを失わずに素敵なパパになっていることにほくほくし

    相変わらずとてつもなく優しいけれど、あの頃の自分のように悩む思春期の教え子の
    痛みを一緒に受け止める強さを見せてくれる充くんに目頭が熱くなり

    親友でもあり、ヒーローでもあったヒロを失った幼い日の鷹野くんが
    抑えきれずに叩きつける悲しみや怒りや嫉妬を
    小さな聖母像のように受け止めるみーちゃんのけなげさに
    なるほど、これじゃあ10年後も20年後も、全身全霊で守り続けるぞ!
    って思わずにいられないだろうなぁ♪と何度も頷いて

    子どもの突飛だったり無鉄砲だったりする言葉や行動には
    必ず子どもなりの真摯な思いや理屈があることを
    忘れない大人でありたいと胸に刻む、大切な1冊になりました。

    • nobo0803さん
      これは、「冷たい校舎の時はとまる」のスピンオフなんですね!!知らなかった・・・
      冷たい校舎・・・は前後編あるし、ロードムービーから読もうかな...
      これは、「冷たい校舎の時はとまる」のスピンオフなんですね!!知らなかった・・・
      冷たい校舎・・・は前後編あるし、ロードムービーから読もうかな~と思ってました・・危ない危ない。
      これもまた辻村作品ならでは!って感じですね。
      読むのが楽しみです。
      2012/09/09
    • まろんさん
      もちろんこの本から読んでもじゅうぶん楽しめるけれど、
      登場人物への愛着というエッセンスがあると、何倍も楽しめる気がします♪
      この作品あたりか...
      もちろんこの本から読んでもじゅうぶん楽しめるけれど、
      登場人物への愛着というエッセンスがあると、何倍も楽しめる気がします♪
      この作品あたりから、書きたいこと、書かずにいられないことをずっと溜め込んできた
      辻村さんの言葉の奔流が少しゆるやかになって
      上中下分冊というような長編ではなくなってくるみたいなので
      このところ、目の疲れがひどい肩こりに連結している私は、
      ちょっとほっとしていたりして(*'-')フフ♪
      2012/09/10
  • 「冷たい校舎の時は止まる」のスピンオフもの。
    作者の透明感ある文章が生きた、温もりのある珠玉の短編集だ。

    トシは、クラスメートに遠ざけられていたワタルと友達になる。仲間外れにされても、ワタルと友達でいようと決心したトシ。しかし、引越しで遠くに行ってしまうというワタルを連れ、家出を決行する…。
    表題作の「ロードムービー」。
    問題女子中学生の、塾講師に対する淡い恋を描いた「道の先」。
    友人の死に打ちのめされて内に篭る小学生ヒロと、一途に彼を元気付けようとするみーちゃんの物語、「雪の降る道」。

    三編が三編とも素晴らしい出来。しっかりどんでん返しもしてくれる上に、冷たい校舎の登場人物の過去と未来にニヤッとさせられるので、二度美味しいというか。
    私はやっぱり、子供の話に弱く、ロードムービーと雪の降る道にはぼろぼろ泣かされました。
    作者は何故、幼く弱い者の、こんなにまっすぐで純粋で強い気持ちを、こんなに巧みに表現できるんだろう。

    エピローグまたはプロローグ。最後にまたドカンときた。
    辻村さんの作品は、相互にリンクしていくけど、とりわけ冷たい校舎の登場人物に対する思い入れの深さは格別だ(タカノくんは頻出(笑))。
    この作品は、是非、冷たい校舎を読んだ後に読んで欲しい。

  • 読み終えて、皆さんの感想を読んで初めて、未読作品である『冷たい校舎の時は止まる』のスピンオフ作品と知る。順番はどうあれ、本篇読まねば。

    『ロードムービー』の最後の、ワタルくんの児童会長選挙の応援演説は心を打つ。痛みを知る人だけが語れる内容というんでしょうか。こういう苦しい時を経てみな大人になった筈なんだけど、いつのまにか忘れてるのか、苦しいから思い出したくないのか。やっぱり、忘れてはいけないんだろうなあ。

  • 『冷たい校舎の時は止まる』のスピンオフ。
    本編は未読なのでわからない部分もあるが、それでもぐっとくるものがある。
    不安を抱えながらもがく子供たち。
    その描写が繊細で、ひきこまれる。
    ともに苦しくなる。
    だからこそ、じーんときて、泣ける。

  • 最後、そうだったのかと、ちょっとびっくりした
    こういう経験、大なり小なり、みんなあるだろうな
    子供時代の気持ちを思い出させてくれるというか、今もあんまり変わっていないことを気付かせてくれるというか。

  • 小学生と言えども高学年にもなれば、人間関係は複雑なものになる。大人になってしまえば、職場など利害関係がなければ無理してつきあっていく必要もなくなるけれど、「学校」という枠組みの中では強者に嫌われればたちまち身の置き場がなくなる。

    何でもできて人気者だったトシの転落はささいなきっかけによるものだし、この頃からすでにえげつない子はいるものだ。
    ワタルとトシのきずなの強さ、互いを思いやる気持ちが必死すぎてその純粋さに打たれる。


    まわりを全部敵に回しても、絶対に味方でいてくれる存在、自分の友達でいることを誇りに思ってくれる存在、そしてまた自分も友達になれたことを誇れる存在がいれば人は強くなれる。

    先入観から入ってしまったこともあり主人公については大きな思い違いをしていたけど、友情の素晴らしさには変わりない。
    (表題作)

    まだ辻村さんの本は2作目なので、登場人物たちが作品ごとの垣根を越えてつながっているスピンオフの構造については実感できていない。古本屋さんで見つけた「名前探しの放課後」は上巻のみだし、「冷たい校舎の時は止まる」は下巻のみ、道のりはまだ長いなぁ。

    • hetarebooksさん
      わぁ、まろんさんも同じような状況なんですね。なんだか安心しました。

      辻村さんのこと全然知らなくて、皆のレビューで見かけるたび気になって...
      わぁ、まろんさんも同じような状況なんですね。なんだか安心しました。

      辻村さんのこと全然知らなくて、皆のレビューで見かけるたび気になって、出遅れたか?と焦っていたので。

      そうそう、図書館でも上下巻ものはセットで借りれなかったりしますよね(>_<)

      「ロードムービー」ぜひ感想を聞かせてください♪
      2012/07/05
    • koshoujiさん
      こんにちは。ハナマルありがとうございました。
      辻村深月ファンとしては、やはり直木賞はあの作品で取って欲しくはなかったなあ、というのが本音で...
      こんにちは。ハナマルありがとうございました。
      辻村深月ファンとしては、やはり直木賞はあの作品で取って欲しくはなかったなあ、というのが本音でして。嬉しさ半分、悲しさ半分といったところですね。
      辻村さん自身は大喜びのようで(ま、そりゃそうですね。天下の直木賞ですから。しかもメフィスト賞受賞者としてデビューした作家としては初めての快挙ですし)、何でも生まれ故郷の山梨県自体が大騒ぎなようで、それはそれでめでたいことです。
      どこかのニュースで、辻村さんが子供の頃から通って慕っていた図書館司書の方のインタビューが載っていまして、また、それはそれなりにちょっとうるうるしてしまいましたが(笑)
      2012/07/20
    • hetarebooksさん
      koshoujiさん

      こんにちは。こちらこそハナマルありがとうございます。

      私は受賞作未読なのでなんとも言えませんが、「直木賞...
      koshoujiさん

      こんにちは。こちらこそハナマルありがとうございます。

      私は受賞作未読なのでなんとも言えませんが、「直木賞だから読んでみよう」と手にした方々にとっては辻村深月さんという作家の印象が受賞作だけで決まってしまったりもするでしょうからねぇ。皆様のレビューを拝読して原田マハさん優勢かと思っていただけに。。。

      ともあれ、良い作家さんがふさわしい評価をされてファンが増えるのは喜ばしいことですよね。
      2012/07/23
  • というわけで『ロードムービー』です
    何がというわけかというと読む前に『冷たい校舎の時は止まる』のスピンオフ短編集というのを知って慌てて別の図書館に『冷たい校舎の時は止まる』を借りに行ってそちらを先に読了したからw
    うんまあこっちを先に読まなくて良かった!気をつけて!

  • ロードムービーでのガツンとやられた感じ。そうか、トシはそうだったのか。おじいちゃんの名前のくだりでも気がつかなかった。子どもたちの大冒険。ワクワクする感じというより、心配が常に頭をよぎるような冒険。
    それを期待して次を読んでしまったので、あれ?なにかしかけが?と何度か読み返してしまった。

  • 『ロードムービー』『道の先』『雪の降る道』の3編を収録した、辻村深月初の短編集。子供(若者)たちの友情と別れ、そして未来へと続く道が共通のテーマとなっているようだ。子供の頃の一途な思い、忘れないようにしないと。。デビュー作『冷たい校舎の時は止まる』のスピンオフのようなので、こちらもぜひ読んでみたい。

  • 惹きつけられてどんどん読んでしまう。特に表題作「ロードムービー」はそうだった。しかし、読者の騙しはなぜ必要?

    「道の先」は、ませている女子中学生に振り回される情けない大学生の話。イライラした。これで正解なのか?

    「雪の降る道」は、みーちゃんがいじらしくてかわいそうだった。ヒロくんとヒロちゃん、みーちゃん、スガ兄のあたりは、「冷たい校舎の時は止まる」と重なっている。

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著者プロフィール

1980年2月29日生まれ。千葉大学教育学部卒業。2004年『冷たい校舎の時は止まる』でメフィスト賞を受賞しデビュー。2011年『ツナグ』で吉川英治文学新人賞、2012年『鍵のない夢を見る』で直木三十五賞を受賞。2018年には『かがみの孤城』で本屋大賞第1位に。本書の本編『ハケンアニメ!』は、2015年に本屋大賞3位に選ばれ、2022年5月には映画公開が予定されている。主な著書に『スロウハイツの神様』『V.T.R.』『ハケンアニメ!』『島はぼくらと』『朝が来る』『傲慢と善良』『琥珀の夏』『闇祓』などがある。

「2022年 『レジェンドアニメ! 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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