チェーン・ポイズン (100周年書き下ろし)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 1272
レビュー : 274
  • Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062151306

感想・レビュー・書評

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  • 「その自殺、1年待ってみませんか」

    突発性難聴に苦しむ天才若手バイオリニスト、妻子を悪魔のような男にひき殺された夫、そして冴えない毎日を送るOL。

    週刊誌記者はこの3人の服毒自殺に疑問を抱き、彼らの周りを取材する。
    前者が死を選ぶ理由は明確だが、しかし彼らの自殺は1年引き伸ばされた。
    またOL高田章子も退職1年後に自殺を遂げている。その空白の1年がなんとも引っかかる・・・

    なんというか、私は大げさな人間でちょっと痛いとかで大騒ぎするし
    失恋したらそれだけでもはや尼にでもなるしかない・・・と思いつめるようなところがあるのだけれど

    「彼女」のように、「あと1年で楽に死ねる」ことをご褒美に1年乗りきろう、とは思わないだろう。
    それでも「彼女」の感じる孤独や無力感には共感できるし、だからこそなんとか「生きて」ほしいと願った。

    抜け殻のようにふらふらとしていた「彼女」はボランティアを始め、いつの間にかその場所と子供たちを守るため必死になっていく。1年のタイムリミットが近づくなかで彼女の選んだ選択は・・・!?

    「時間は最大のお薬」という言葉はその「時間」が経ってからしか実感できないものだけれど、とりあえず1年待ってみればきっと未来は今より開けている。

    • まろんさん
      もはや尼にでもなるしかない。。。と思いつめるのはぎりぎりセーフですが
      ほんとうに尼にはならないでくださいね!
      私がさみしいです(>_<)
      もはや尼にでもなるしかない。。。と思いつめるのはぎりぎりセーフですが
      ほんとうに尼にはならないでくださいね!
      私がさみしいです(>_<)
      2012/12/04
    • hetarebooksさん
      まろんさん

      大丈夫です(*' '*)なかなか受け入れてくれそうな尼寺がありません(笑)

      もし万が一尼になっても瀬戸内寂聴さんのよ...
      まろんさん

      大丈夫です(*' '*)なかなか受け入れてくれそうな尼寺がありません(笑)

      もし万が一尼になっても瀬戸内寂聴さんのように本を読み続けます♪
      2012/12/05
    • まろんさん
      ほっ(*^_^*)
      ほっ(*^_^*)
      2012/12/06
  • 「本気で死ぬ気なら、一年待ちませんか?
    その代わり、一年頑張ったご褒美を差し上げます。
    眠るように楽に死ねる手段を私が差し上げます。」
    それは、決して悪い取り引きではないように、思われたー。


    誰にも求められず、愛されず、歯車以下の会社での日々。
    簡単に想像できる定年まての生活は、絶望的な未来そのものだった。
    30歳を過ぎたころから自分の人生に諦めを感じていた。
    死への憧れを募らせる孤独な女性。
    公園でぽつりと呟いていた独り言「もう死にたい…」
    その声に突然声を掛けられた。
    「一年後の眠るような死」を目指して生きる事になる…。

    週刊誌の記者・原田は取材対象者2人の死に疑問を持っていた。
    突発性難聴で音楽家でいることの出来なくなった天才バイオリニスト如月俊。
    妻子を虫けらのように惨殺され、その加害者の死刑を見届けた持田和夫。
    どちらも、絶望から一年後に同じアルカロイド系の毒物で死を選んでいた。
    何故、一年以上もの間生き続けたのだろう…?
    なぜ、二人とも今なのか…?
    セールスマンは誰なのか…?
    そして、同じ毒物で死を選んだ高野章子の存在を知り、
    彼女の死に至る過程を追っていく…。

    物語は、一年後の死を目指して生きる女性の視点と、
    高野章子の死に至る過程を追う原田の視点が、現在と過去が、
    絡み合い交互に展開する。
    女性は一年後に眠る様に死ぬことを心の拠り所にして生きていく。
    暇つぶしの為に、児童養護施設にボランティアとして通うようになり、
    そこでの子供達との交流で、生き生きとしていく様子に、
    どうか死を断念して欲しいって願ってる自分が居た。
    記者の原田がジリジリと真相に迫っていく様子は、
    もどかしい様な気持ちで読んでいた。
    始まりは何だか暗いなぁ…って思っていたけれど、途中からは
    引き込まれてグイグイ読まされました。
    先が気になって、頁を捲る手が止まらなかった。

    終盤には、えっえーーーーーっと驚く事ばかり。
    大どんでん返し!!
    全く予想もしていなくって、完全に騙されてたーー。
    でも、気持ち良い騙され方。良かった。本当に良かった。

    人生は不平等だし、人それぞれ強さも弱さも違ってる。
    ただ一つ公平なのは、人間はいつか「死ぬ」って事。
    一年後に死ぬと決めた時に、どの様に一年間を生きていくのか…。
    真逆の道を選んだ二人の女性…。
    人とは何か?生きるとは死ぬとは…。
    何だか、色々と考えさせられました。

    • しのさん
      ごめんなさい。コメントが途中になってしまいました。顔文字は反映されないのですね。
      katatsumuruさんはこの本余り好きじゃなかったの...
      ごめんなさい。コメントが途中になってしまいました。顔文字は反映されないのですね。
      katatsumuruさんはこの本余り好きじゃなかったのですね~人それぞれ好みも評価も違って当然ですし、そこがとっても面白いですよね~♪
      私は本当にこんな薬があるのなら一粒持っていたいなぁ等と思ってしまいました(笑)
      2016/11/04
    • katatumuruさん
      しのさんへ♪
      何となく意外です!
      あの薬を持っていたいとしのさんが思われるなんて・・・。
      でも、その気持ち分かります。
      私も使う、使...
      しのさんへ♪
      何となく意外です!
      あの薬を持っていたいとしのさんが思われるなんて・・・。
      でも、その気持ち分かります。
      私も使う、使わないは別にして、持っていたら気持ちが大きくなるかも・・・。
      お守りのような感じで持っていたいと思います(^^)
      2016/11/04
    • しのさん
      こんにちは♪
      意外でしたか~(苦笑)
      でも、気持ちわかって下さって良かった。
      そうなんですよね~使うと思ってる訳じゃないけど持ってると...
      こんにちは♪
      意外でしたか~(苦笑)
      でも、気持ちわかって下さって良かった。
      そうなんですよね~使うと思ってる訳じゃないけど持ってるとお守りみたいな感じになるんじゃないかって思ってしまいました。
      2016/11/05
  • 服毒自殺をした3人を調べていた雑誌記者と、1年後に服毒自殺をすると決めた女性の視点で書かれたヒューマンミステリー。

    見事に騙されました。
    読み返せば、なるほどってことなのかもしれませんが、騙された感じも悪くなく、ラストは思わずにやけてしまいました。

    3人が命を落としたことは間違いないけれど、最後のハッピーエンドに、安心しました。

    上手いですね~ミスリード。
    やられた感満載です。

  • 図書館にて。
    この筆者の描く世界は優しい。
    人の生きる意味を問うてるようでいて、死ぬことの意味も問われているような気がする。
    自分自身に絶望して安楽死を選ぶ人がいると思えば、残りの人生で生きる意味を見つける人もいる。
    死ぬことで人の迷惑になってしまう場合もあり、死ぬ人のお金に群がる人がいる。
    死ぬことは、生きることのラストシーンであり、死の瞬間まで生であるのだ。
    私は自殺を否定するつもりはない。
    でも、どうやっても残った人を傷つける行為だ。
    死ぬ尊厳が描かれる一方、懸命に生きる園の子供たちの姿が生き生きとしていて、考えさせられた。

  • 1年後に死にます…と死に向きあった主人公。どんなに絶望していても人との関わりが生への希望に向かわせてくれるんだな、と思った。誰かに必要とされてるって大事。

  • よかった。

    優しい物語だと思う。自殺が奇妙に連鎖するというミステリー要素が全面に出てくるが、そこはこの作者。毎度のことながらどこか希望を信じさせてくれる。

    特に理由もない死の理由。特に理由もない孤独。一人分の孤独というフレーズが印象的だった。孤独にしろ、悲しみにしろひとり分ではなく、せめて他人の分まで背負うことができたら希望となりうるのかもしれない。
    会社で働き、自分一人だけで何もかもが充足している。多くもなければ少ないこともない。生死も自分ひとりの重みしかないから、境界を簡単に越えてしまう。

    危ない。僕だってそれを望んでしまいそうだ。

  • この本を読もうと思ったのは
    手に取ったとき目に入ってきた最初の1行がきっかけだった。
    中学生の頃に読んだ『二十歳の原点』の冒頭部分。
    まさかあの一節から物語がこういう方向へ広がるとは。

    1年の猶予を与えられたにもかかわらず
    一方では『予定通り』に死を選び、
    また一方では生きることに対する未練が芽生えたのに
    守りたい人のために命を落とそうとする。
    その対比が不謹慎ながらも面白いと思ったし、
    死を身近に感じているからこそ生きていける、という
    ある意味逆説的な感情が存在するってことを実感した。
    本来は叙述トリックの謎解きがメインなんだろうけど
    どっちかというと物語の流れを楽しんで読み進めた気がする。
    つーか途中まで叙述トリックものだとは全く気付かなかったので
    それはそれは見事に鮮やかに騙されたというね(笑)。

    生きるのが心底辛くて『死にたい』と思っちゃってるときには
    この本は手に取らない方がいい。
    『死への誘惑』ってヤツに引っ張られちゃう気がする。
    ただ、
    『死にたいとは思わないけど、今死んじゃってもまぁいいか』
    という程度にココロが弱ってるときなら
    この本を最後まで(←ここ重要)読み切ると
    生きてくチカラと明日への希望を見い出すことができるんじゃないか、
    とちょっとだけ思った次第です。

    売ったりした記憶はないから、どこかにある筈だな。『二十歳の原点』。
    もし見つけたら読み返してみようかな。

  • 未来に絶望し、死への憧れを抱く女性に謎の人物がささやく。「本当に死ぬ気なら、一年待ちませんか? 一年頑張ったご褒美を差し上げます」自殺を決意した彼女の一年と、不思議な自殺の共通点に気付き、その真相を調査していく週刊誌記者の話が交錯する。

    私はミステリーを全く読まないにもかかわらず、なぜこの本を手に取ったのかすっかり忘れてしまった。しかしこれを読み終えた今、そんな理由はどうでもよくなってしまった。物語が進むにつれて目が離せなくなっていき、最後には「やられたぁ!」と思わずにやり(笑)完全にだまされていた自分に気付き、これがミステリーの面白さなのだと実感した。

    もう一点目が離せなかったのは、自殺志願の女性の変化である。女性は「死」までの暇つぶしとして児童養護施設でのボランティアを始める。その施設で生活している5人の子供たちと触れ合う中で、女性は人生の最後に自分の価値を見出していく。あくまでも「死」という一点に彼女の一年は収束していくのだが、その一年の中で自殺が彼女のエゴから利他的な意味を持つものに変化していくところが興味深かった。
    「この世に未練はない」という言葉があるが、この世に未練を残したまま、思いを寄せる対象がある幸せを感じながら死ぬのも良い、と気付かされた。

  • [ 要旨】誰にも求められず、愛されず、歯車以下の会社での日々。
    簡単に想像できる定年までの生活は、絶望的な未来そのものだった。
    死への憧れを募らせる孤独な女性にかけられた、謎の人物からのささやき。
    「本当に死ぬ気なら、1年待ちませんか?1年頑張ったご褒美を差し上げます」
    それは決して悪い取り引きではないように思われた―。
    新境地を開いた驚愕のミステリー。

    いやぁ、おもしろかった。
    「誰にも求められず、愛されず、歯車以下の会社での日々」を送る女性が、死までの猶予として与えられた1年間の内に児童養護施設の人々と関わりあうことで徐々に変化していく様が・・・。
    読んでいくうちに、自分も1年経った彼女と児童養護施設のその後の未来が見たくなり、でも彼女の未来はないことを知っているから切なくなり、でも彼女の未来がないからこそ児童養護施設の未来があるのだと思うとさらに切なくなり・・・
    とページをめくる手を止められずに読み進めていたらっ!!!

    やられた。
    おもしろかった。
    是非どうぞ!

  • 30歳を過ぎたキャリアもないOLの私は
    公園で出会った人に1年後毒薬をもらう約束をした。
    あと1年生きればいい。会社を辞めて生命保険に入った。
    暇つぶしに通りかかった施設でボランティアをすることに。
    一方週刊誌記者の俺は服毒自殺事件について追っていた。
    何故彼らはそろって重大な転機の1年後に死んだのか。
    唯一有名人でなかったOLの死を辿ることにした。
    装丁:高柳雅人 写真:Pete Kobayashi/SEBUN PHOTO/amanaimages

    同時進行していく2人の物語。最後はあっと言わされます。
    ちょっとだけど希望が持てる話。
    子どもたちをもっと生き生き書き分けて欲しかったなぁ。

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著者プロフィール

本多 孝好(ほんだ たかよし)
1971年、東京都生まれ。弁護士になるため慶應義塾大学法学部に入学したが、大学4年生の時、同じ学部の金城一紀に小説執筆を依頼されたことがきっかけで、作家を選択肢に入れる。弁護士になるか迷っているさなかの1994年、「眠りの海」で第16回小説推理新人賞を受賞し、作家となることを決心。
以降、1999年『MISSING』で単行本デビュー。
2008年短編集『FINE DAYS』に収録された『イエスタデイズ』が映画化されたのを皮切りに、『真夜中の五分前』、『ストレイヤーズ・クロニクル』、『at Home』など映画化された作品多数。その他代表作として、『MOMENT』など。

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