- Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062151306
感想・レビュー・書評
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「本気で死ぬ気なら、一年待ちませんか?
その代わり、一年頑張ったご褒美を差し上げます。
眠るように楽に死ねる手段を私が差し上げます。」
それは、決して悪い取り引きではないように、思われたー。
誰にも求められず、愛されず、歯車以下の会社での日々。
簡単に想像できる定年まての生活は、絶望的な未来そのものだった。
30歳を過ぎたころから自分の人生に諦めを感じていた。
死への憧れを募らせる孤独な女性。
公園でぽつりと呟いていた独り言「もう死にたい…」
その声に突然声を掛けられた。
「一年後の眠るような死」を目指して生きる事になる…。
週刊誌の記者・原田は取材対象者2人の死に疑問を持っていた。
突発性難聴で音楽家でいることの出来なくなった天才バイオリニスト如月俊。
妻子を虫けらのように惨殺され、その加害者の死刑を見届けた持田和夫。
どちらも、絶望から一年後に同じアルカロイド系の毒物で死を選んでいた。
何故、一年以上もの間生き続けたのだろう…?
なぜ、二人とも今なのか…?
セールスマンは誰なのか…?
そして、同じ毒物で死を選んだ高野章子の存在を知り、
彼女の死に至る過程を追っていく…。
物語は、一年後の死を目指して生きる女性の視点と、
高野章子の死に至る過程を追う原田の視点が、現在と過去が、
絡み合い交互に展開する。
女性は一年後に眠る様に死ぬことを心の拠り所にして生きていく。
暇つぶしの為に、児童養護施設にボランティアとして通うようになり、
そこでの子供達との交流で、生き生きとしていく様子に、
どうか死を断念して欲しいって願ってる自分が居た。
記者の原田がジリジリと真相に迫っていく様子は、
もどかしい様な気持ちで読んでいた。
始まりは何だか暗いなぁ…って思っていたけれど、途中からは
引き込まれてグイグイ読まされました。
先が気になって、頁を捲る手が止まらなかった。
終盤には、えっえーーーーーっと驚く事ばかり。
大どんでん返し!!
全く予想もしていなくって、完全に騙されてたーー。
でも、気持ち良い騙され方。良かった。本当に良かった。
人生は不平等だし、人それぞれ強さも弱さも違ってる。
ただ一つ公平なのは、人間はいつか「死ぬ」って事。
一年後に死ぬと決めた時に、どの様に一年間を生きていくのか…。
真逆の道を選んだ二人の女性…。
人とは何か?生きるとは死ぬとは…。
何だか、色々と考えさせられました。 -
「その自殺、1年待ってみませんか」
突発性難聴に苦しむ天才若手バイオリニスト、妻子を悪魔のような男にひき殺された夫、そして冴えない毎日を送るOL。
週刊誌記者はこの3人の服毒自殺に疑問を抱き、彼らの周りを取材する。
前者が死を選ぶ理由は明確だが、しかし彼らの自殺は1年引き伸ばされた。
またOL高田章子も退職1年後に自殺を遂げている。その空白の1年がなんとも引っかかる・・・
なんというか、私は大げさな人間でちょっと痛いとかで大騒ぎするし
失恋したらそれだけでもはや尼にでもなるしかない・・・と思いつめるようなところがあるのだけれど
「彼女」のように、「あと1年で楽に死ねる」ことをご褒美に1年乗りきろう、とは思わないだろう。
それでも「彼女」の感じる孤独や無力感には共感できるし、だからこそなんとか「生きて」ほしいと願った。
抜け殻のようにふらふらとしていた「彼女」はボランティアを始め、いつの間にかその場所と子供たちを守るため必死になっていく。1年のタイムリミットが近づくなかで彼女の選んだ選択は・・・!?
「時間は最大のお薬」という言葉はその「時間」が経ってからしか実感できないものだけれど、とりあえず1年待ってみればきっと未来は今より開けている。-
もはや尼にでもなるしかない。。。と思いつめるのはぎりぎりセーフですが
ほんとうに尼にはならないでくださいね!
私がさみしいです(>_<)もはや尼にでもなるしかない。。。と思いつめるのはぎりぎりセーフですが
ほんとうに尼にはならないでくださいね!
私がさみしいです(>_<)2012/12/04 -
まろんさん
大丈夫です(*' '*)なかなか受け入れてくれそうな尼寺がありません(笑)
もし万が一尼になっても瀬戸内寂聴さんのよ...まろんさん
大丈夫です(*' '*)なかなか受け入れてくれそうな尼寺がありません(笑)
もし万が一尼になっても瀬戸内寂聴さんのように本を読み続けます♪2012/12/05 -
2012/12/06
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たった今読み終わった。まず言えるのが、本多孝好と出会えて良かったということ。初めて読んだ作者だが、こんなに素晴らしい物語を書くのかと感動した。もっと早く出会えていれば。でも、これからまだ彼の作品をたくさん読めると思えば、それはそれで幸せなことかな。
物語は、社会に絶望したある女性の目線からと、同じような自殺者を取材していた記者からの目線で進んでいく。2人の自殺者は、記者がインタビューしてから1年後に毒物で自殺をしていた。そんな時、ある女性が同じような毒物で自殺したことがわかり、その関係性をおいかけるのだが…。1年後に死を提供してもらい、その1年間で、人はどう変わるのか。その女性の生き方もすごく共感できるものだったし、物語自体、うまくミスリードしていき、自殺した女性は実はこな女性とは違うのでは?と途中から気づくものも、ミステリーとしての楽しみもできた。また、最後はきちんと収束できていて、読後感もスッキリできた。文句無しの☆5個! -
ラストがすごいという評判に惹かれて読んでみて、ぽかーん。たしかに最初に違和感はあったけど、どんでん返しというより、出し抜かれた気分。まさか疑いもしなかった。
児童の養護施設という舞台で、ありがちな馴れ合いになるのかと思いきや。登場人物みんな、執着するものはあれど、こざっぱりしていて、なにより主人公が「女性らしくなく」ぐだぐだ悩まないので、気持ちよく読めた。このテーマで人生や対人関係をねっとり書かれたらたまらない。突き放し方が上手かった。工藤相手にたきつけるところは爽快。 -
過去に取材した二人の男の死と謎の女性の死に疑問を抱き、個人的に調べていく。このタイプの本によくある、徐々に違和感が出てくる。最後はやっぱり騙される。生と死。重いテーマだったけど、ラストは清々しい。
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1年後に死にます…と死に向きあった主人公。どんなに絶望していても人との関わりが生への希望に向かわせてくれるんだな、と思った。誰かに必要とされてるって大事。
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よかった。
優しい物語だと思う。自殺が奇妙に連鎖するというミステリー要素が全面に出てくるが、そこはこの作者。毎度のことながらどこか希望を信じさせてくれる。
特に理由もない死の理由。特に理由もない孤独。一人分の孤独というフレーズが印象的だった。孤独にしろ、悲しみにしろひとり分ではなく、せめて他人の分まで背負うことができたら希望となりうるのかもしれない。
会社で働き、自分一人だけで何もかもが充足している。多くもなければ少ないこともない。生死も自分ひとりの重みしかないから、境界を簡単に越えてしまう。
危ない。僕だってそれを望んでしまいそうだ。
katatsumuruさんはこの本余り好きじゃなかったの...
katatsumuruさんはこの本余り好きじゃなかったのですね~人それぞれ好みも評価も違って当然ですし、そこがとっても面白いですよね~♪
私は本当にこんな薬があるのなら一粒持っていたいなぁ等と思ってしまいました(笑)
何となく意外です!
あの薬を持っていたいとしのさんが思われるなんて・・・。
でも、その気持ち分かります。
私も使う、使...
何となく意外です!
あの薬を持っていたいとしのさんが思われるなんて・・・。
でも、その気持ち分かります。
私も使う、使わないは別にして、持っていたら気持ちが大きくなるかも・・・。
お守りのような感じで持っていたいと思います(^^)
意外でしたか~(苦笑)
でも、気持ちわかって下さって良かった。
そうなんですよね~使うと思ってる訳じゃないけど持ってると...
意外でしたか~(苦笑)
でも、気持ちわかって下さって良かった。
そうなんですよね~使うと思ってる訳じゃないけど持ってるとお守りみたいな感じになるんじゃないかって思ってしまいました。