- Amazon.co.jp ・本 (370ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062151672
感想・レビュー・書評
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許永中日本の闇を背負い続けた男
森功 著
バブルの深淵に生き続ける政官財の悪党たちとは誰か!?日本で最も恐れられ、愛された男の悲劇。
「BOOKデータベース」より
[目次]
第1章 差別とスラムからの脱出
第2章 アンダーグラウンドの世界
第3章 政商との出会い
第4章 大物フィクサーとして
第5章 竹下登とイトマン事件
第6章 逃亡
第7章 日本の宿痾
「BOOKデータベース」より
大阪に住む知人が、近所に許永中のお父さんが住んでいて、毎朝掃除してはる云々の噂話をきいていたので、いつか読んでみたいと思っていた。
最近、許永中本人が書いた本が立て続けに発刊されたが、こちらも読み比べてみたい。
在日コリアンという生い立ち、バブル景気、日韓の架け橋など、切り口は様々。書かれていること全てを信じるつもりはないが、事実は小説より奇なりという言葉が当てはまる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
東海~関東~東北の方々、台風お気を付けて
ってな事で、森功の『許永中 日本の闇を背負い続けた男』
イトマン事件、石橋産業手形詐欺事件等で財政界、裏社会、芸能界等々、色んな金の匂いのする闇の世界で暗躍した許永中のお話。
3000億円では少ない?ってお金が色んな所から集め、ばら撒きバブル時代が成せた事件じゃったんかな。
しかし、凄い人たらし(褒めてる)じゃね。
じゃが、ある意味良い様に使われて不利な状況や利用価値が無くなるとサッパリ切り捨てられ罪を背負わされる切なさ……。
それでもある意味、許永中みたいに成りたいね
2019年44冊目 -
やや読みにくいけど、興味深い内容だった。全く解明されないまま終わってしまうんですな。バブルという時代の徒花と言ってしまうにはなんとも…。日本政治の暗部ですな。どうか、無くなっていて欲しいと思うものの、きっと今も変わってないんだろうな。
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日本の闇社会と政財界を結ぶフィクサーとして暗躍してきた、「裏経済界の帝王」許永中。その生い立ちから現在までを追った、骨太のノンフィクション。丹念な取材がなされた力作で、360ページを一気に読ませる。
大阪府北区中津の「すり鉢の底のようなスラム街」(許自身による表現)の貧家に、在日韓国人二世として生まれた許永中。学生時代から愚連隊のリーダーとしてのし歩いていた彼は、ヤクザなどと結びついた闇社会で財を成していく。
財力と人脈力、ある種のカリスマ性によって、許はやがて、政財界の名だたる人々とも太いパイプを築くに至る。
そしてその果てに、「3000億円が闇に消えた」といわれる戦後最大の経済事件「イトマン事件」があった。
著者は、そこまでの道のりを丹念にたどる。とくに、許が主役となった「イトマン事件」については、かなりの紙数を割いて真相に迫っている。
中身の濃い作品だが、多くの出来事を盛り込みすぎの観もある。
竹下登、亀井静香から映画監督の大林宣彦(氏は、許らが起こした事件に巻き込まれた側)に至るまで、政財界その他の著名人が次々と登場するのだが、「顔だけ見せてすぐ引っ込む」みたいな描き方をされたケースが多くて、大半の登場人物はあまり印象に残らないのだ。取り上げるエピソードと人物をもう少し絞って、一つひとつをもっとじっくり掘り下げるべきだったと思う。
ただ、闇社会と政財界のパイプ役をつとめてきた許の歩みの背後に、高度成長からバブル崩壊に至る日本社会の歩みが二重映しとなる読後感は、なかなかのもの。書名のとおり、許は「日本の闇を背負い続けた男」だったのである。
世の中には、魅力的な悪人もいれば魅力のない善人もいる。いまも塀の中にいる許永中は、自らも認めるとおり悪党には違いないが、しかしなかなか捨てがたい魅力の持ち主でもある。
というのも、彼は骨の髄まで冷酷ではなく、弱者に対するやさしさも人間的なあたたかさももっているからだ。それは、少年期の貧苦と在日としての被差別体験の反映でもあろう。
むろん、本書にはぞっとするような暴力的エピソードも少なくない。だが、読み終えて心に残るのは、悪人・許永中がふとした瞬間に見せるピュアな部分のほうなのである。
たとえば、彼の実姉は戦時中に空襲で瀕死の大やけどを負い、いまなおその後遺症に苦しみつづけているのだが、許は少年時代からその姉をやさしくいたわり、守りつづけてきた。
その姉は、著者からの取材に際して、許の思い出を次のように語る。
「私はこんな身体ですから、家族にはずいぶん迷惑をかけたんです。でも、あの子はいつも優しかった。夜になると、あの子が布団を敷いてくれました。そうして布団に寝かせてくれるんです。夜中には『姉ちゃん、寒うないか』と、はだけた布団を直してくれる。私は、毎日、毎日そうやって暮らしてきました」
なお、著者は雑誌に発表した取材記事をめぐって許と決裂し、いまでは絶縁状態なのだそうだ。しかし、本書の中に許への悪意は感じられない。むろん、その悪行については客観的に記述しているが、著者が許に向ける視線は終始同情的であたたかいものだ。 -
興味を持って読んだ。が、最後は虚構の世界の出来事に思えて読み終えるのに苦労しました。
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2009.2.5.4刷、帯付
2012.12.10.松阪BF -
こんな世界もあったのか。へえ~。で終わらせてはいけない。
結果的に表の世界が裁き切れなかった闇の世界。そしてその下での彼の行為。それらを生んだ時代背景、巡りあわせ、事実は事実として冷静に捉えたうえで、時代が求めた必要悪と割り切ってはいけない。
何があっても越えてはいけない一線、守るべきルール、倫理はあるはずだ。 -
重い。
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大阪国際フェリー イトマン事件 亀井静香 太田清蔵、磯田一郎、河村良彦、竹下登