「諜報的生活」の技術 野蛮人のテーブルマナー

著者 :
  • 講談社
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感想 : 35
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  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062152242

感想・レビュー・書評

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  • 堅苦しく言えば、ビジネスに転用・応用できる様々なインテリジェンス技術が紹介されている本ということであろうが、ただただ単純に面白い。
    こんな話は映画や小説の中の話だけかと思っていたが、実際にある話なんだと実感させられる。

    なお、前半が本編、後半は対談集

  • 筆者は自身を右翼・保守陣営に属していると規定しながら、
    「筆者の理解では、人間の理性を信頼し、合理的な計画で理想的社会を構築できると信じる者が左翼・市民主義陣営をつくっている。これに対して、人間の理性や知恵は、しょせん限界があるものなので、合理的な計画でつくった社会などろくなものではないと諦め、人知を超えた伝統や文化、さらに神様や仏様を尊重するのが、筆者が理解するところ右翼・保守陣営である。」(p17-18)
    と左翼と右翼を定義しているが、これはなかなか妥当な説明のように思える。

    「右翼思想は、「男のロマン」を重視するために、緻密な理論構成には弱い」(p21)
    なるほど、そういうものか。

    本書の中で、小林多喜二の「蟹工船」の相当に長い引用があって、その圧倒的な迫力は健在。
    数十年前に一度読んだきりだが、また読みたくなってきた。

  • これはあまり面白くない。対談も、大物(くせ者)を、集めているわりには差し障りのない内容で物足りない。

  • 前半に「テーブルマナー」、後半が対談の本です。

    対談の相手が、どなたもくせがあって、魅力的な人ではあってもそばに近寄りたくはないひとたちの言葉が非常に印象的です。

    情報を獲るために金を払うとどういうことになるか。
    「ここだけの話し」を教えてくれる人は、自分のことも誰かに「ここだけ」することになること。

    一筋縄でいかない世の中を渡る上での「マナー」が身に沁みる本です。

    なかなか、こんな胆力のある人になって生きることはできない、とも思いますが。。

  • 元外交官だった著者のノウハウを惜しみなく披露した本。スパイ小説を読んでいるような気分になる。この佐藤優さんの本は時々読むことにしている。ロシア方面のビジネス感覚を身につけることにもなるのでは。私自身はまったく関係のないロシアだが。。。

    "野蛮人のテーブルマナーシリーズ?第2弾。佐藤優さんのコラムが前半、後半は対談となっている。この本で私が気に入ったところは、前半のコラム。後半は、読み物としては楽しめた。基本的に対談をまとめた本はあまり読まないことにしている。手抜きをした本のような気がしてしまうのである。しかし、実際の対談の雰囲気を伝えたいと思う出版社側と、生の対談雰囲気を感じたいという読者側のニーズが合えばいいのですがね。対談はライブで聞けば、その場で済むが、活字にして同様の量を読ませられるの勘弁してほしいと思ってしまう。やはり、対談形式にとらわれず、その場で生まれたものずばりをまとめて活字にするのが本来だと思ってしまう。
    脱線をしてしまった。前半のコラムをメモ書きしておく。
    1.佐藤優式インテリジェンス読書術
      これは、佐藤さんのように膨大な量をアウトプットするからには、それ相応のインプットが必要で、半歩先をみて読んでおくべき本を読んでおくというもの。さすが~
    2.公開情報からですら、差はつけられる
      公開情報から得られるものも、見る人がみれば生きたものになる。
    3.信頼されるためのサード・パーティー・ルール
      情報のやりとりを生業とする人たちのルールは覚えておかないといけない。勝手に気安く第3者に知り得た情報を渡してはダメ。情報元に一言承諾を得ることで信頼感は増す。
    4.つなぎ役(リエゾン)の重要性
    5.大物になると、常に生命は危険
    6.交渉に役立つ人間行動学
      動物は食事の時は無防備。この本能が人間にも残っている。食事を共にすることで、信頼関係を構築していくことができる。なるほど。
    7.余計な秘密は知らない方がいい
    8.安心できる裏取りの技法
    9.憎まれることなく嫌われる技法
    10.上手なカネの渡し方
    11.逃げ出すタイミングの見つけ方
    12.始める前に、終わりについて決めておく"

  • 情報の集め方、そして使い方を自身の得難い経験から綴った骨太な前半と、
    いくぶん砕けた文体でディープな話題に切り込む後半の対談。
    いかんせん、後半の対談で挟み込まれる合いの手が全体のリズムを崩している点が残念である。

  • インテリジェンス実践本、第二段。公開情報から差が出ることは日々実感。他にもビジネスにもそのまま使える知識いっぱい。

  • 2009年刊行。軽めの文章で情報収集の要諦と心構えを開陳し、加えて著者との識者との対談が集められている。アントニオ猪木との対談が、予想外に良かった。サシでメシを食う意味が感得できる。

  • 紙の本、特に古典。だから読書は紙の本じゃなきゃいけないと思う。

  • 野蛮人のテーブルマナー、諜報的(インテリジェンス)生活の技術/佐藤優/2011.5.3(8/60)
     OSINT(オシント)Open Source Intelligence 文書諜報:新聞にはその国の考えが現れてくる。
     新聞、雑誌、ラジオ、テレビ、公刊印刷物などに注意して、目的に関係あるものをかたっぱしから
     切り抜いたり、書きとめておいて、これを継続的に整理し、総合判断すると、その区の考えが良く分かる。
     膨大な情報から役に立つ情報を選択することは、インテリジェンス業務に調査・分析に2-3年
     従事した人なら簡単にできる。
     COLINT(コリント)Collective Intelligence 協力情報:
     ここだけの話は危ない。良い例「この話をX氏にぶつけてみたいけど、いいですか?」と事前了承得る。
     third party rule(相手からもらった情報を、第三者に渡す場合は、事前に相手の了承を得る)
     中長期的には、信義則を守るひとだと評価される。
     交渉においては動物行動学が役立つ。動物は、警戒する相手と一緒に餌を食べることを警戒する。
     裏返すと、安心できる相手とならば、一緒に食べる。意見交換するときも、極力、会食の機会を増やすこと。
     食事でなければ、Teaでもよい。信頼感がずっと増す。
     余計な秘密を知ってしまい、関係者になると、面倒にまきこまれることになる。
     ここが勝負というときは、最後は気合が重要となる。
     始めるときに、終わりについて決めておく。NG:物事がどう進むかというより、組織内部の手続きをきちんとふまえているかに関心がいくようになる。
     さらに自分が担当した仕事については、問題を指摘されても、それに抗弁できるように理論武装しておくことにエネルギーを費やす。
     イスラム:酒を飲んではけいけないとコーランに書いてある。しかし、コーランにはブドウで造った酒を飲んだらいけないと書いてある。
     でもウイスキーはブドウからできてないから、飲んでも構わない。+3人の妻を持ち、もう一人残しておく。イスラム教には時間結婚という考え方あり。
     最初に結婚する期間を決めて、離婚する時の慰謝料も決めておく。実質的には売春で女を買っていることにならない。売春宿でなく結婚あっせん所。
     サウジ:公私混同国家、サウジアラビア=サウード家のアラビアの意味。どこまでが国家の予算なのか、サウード家の予算なのか区別がつかない。

    野蛮人のデーブルマナー/佐藤優/2011.5.16
     相手の値札に見合った店選び=私はあなたをこれだけ大切にしている。これだけの金を使う権限を有している。
     2回目に会う口実を作る。例)本を借りる、返すので三回目の口実もできる。
     一緒に飯を食う。3か月以内に3回以上、食事すると、一応の信頼関係ができる。
     記憶術:視覚と音声を結び付ける。+丸暗記で記憶力を鍛える。
     相手の知識水準をひっかけ問題で確認。
     ビジネスマン:胆力、眼力、読解力、トップの癖とか言葉使いを頭に入れておく。
     3人寄れば、必ず2対1となっていじめられる。絶対に負けてはいけない。
     外務省:受けた恩は水に流し、かけた情けは倍付けにする。

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著者プロフィール

1960年1月18日、東京都生まれ。1985年同志社大学大学院神学研究科修了 (神学修士)。1985年に外務省入省。英国、ロシアなどに勤務。2002年5月に鈴木宗男事件に連座し、2009年6月に執行猶予付き有罪確定。2013年6月に執行猶予期間を満了し、刑の言い渡しが効力を失った。『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて―』(新潮社)、『自壊する帝国』(新潮社)、『交渉術』(文藝春秋)などの作品がある。

「2023年 『三人の女 二〇世紀の春 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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