会津と長州、幕末維新の光と闇

  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (194ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062153546

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  • 各藩や幕府、天皇の血筋やおかれた環境などを詳しく分かりやすく対談形式で解説。様々な謀略によって明治維新は起こった。

    孝明天皇が会津藩松平容保を厚く信頼し、容保もこれに義を尽くした。しかし朝敵の汚名を着せられ、戊辰戦争後も死者の埋葬をさせなかったり、流罪、蝦夷開拓の劣悪な環境で会津の人々を死に追いやった。
    ちなみに靖国神社では長州人が優先的に祀られていた。

    この本の結論となった、国を思った会津の人々を理解し、勝者の歴史しか書かれていない教科書を改めて裏歴史も載せて、国家として正式に謝罪するべきだろう。

    2007年の時点で(リップサービスとは言え)安倍晋三が「私どもの先祖が会津若松に大変ご迷惑かけた」と発言している。

  • 会津と長州それぞれの識者の対談形式をまとめた本。
    非常に分かりやすく、単純明快である。
    教科書の歴史しか知らない人には、衝撃的な内容であるとも思う。

    立場による違い、たとえば
    海沿いに住んでいたか、内陸に住んでいたか。
    先祖代々連綿と続いてきた家柄か、金で得た地位か。
    こうしたことから考え方や取る行動も変わってくるという解説は
    非常に面白い。

    教科書や大体の歴史を扱ったドラマを鵜呑みにすると
    江戸時代は野蛮で平和ボケしていて、幕府に任せていたらいつまでも封建政治が終わらず
    それを打ち破り開国、平等という素晴らしい未来に導いた救世主が薩摩と長州である。
    将軍家は腰ぬけ、井伊大老は極悪人、会津藩は了見の狭い頑固者。

    しかし、ちょっと歴史を調べてみると、それらが全く違うことに気がつく。
    水戸藩は結構めちゃくちゃなことをやってひっ掻きまわしていて
    それを止めなければ日本がめちゃくちゃになるとなれば
    所謂安政の大獄も、ただ幕府が志士を弾圧したひどい事件には見えなくなってくる。

    奥羽越列藩同盟は幕府の為に戦ったひとたちではなく
    共和政治や真実、正義への理想であり
    会津戦争も女子供を巻き込んだただただ悲痛な負け戦ではない。

    江戸時代は良い時代。近代化もされていた。
    明治になってからのは表面だけデコレーションされてるだけ。
    薩長が自分たちが救世主と正当化するために野蛮な時代だったと歪めてしまった。
    土佐はお膳立てしようとして裏切られただけ、龍馬も何もしていない。
    こうもはっきりさくさくと事実を言っている本にはあまりお目にかかれない気がする。
    いっそ痛快である。

    靖国神社といい、その例大祭の日付といい、この事実を知っている人は少ないのではないか。
    いや、そもそも靖国自体、どういうところなのかきちんと知らない人が
    多いのではないかと思う。
    明治政府があくどい方法で自分たちの手に主導権を握り
    それをを正当化し続けた結果がこの現状である。
    個人的には、明治政府の成り立ちから、政治=汚いもの という図式が
    なりたってしまったのだと思っている。
    容保は政治をしなかったと言われているが、そうした実直な男が政界で生きていけないというのは
    本来とてもおかしなことではないのだろうか。
    民の為を思い、真面目に誠実に働くことの何がおかしいというのか。

    対外的なことよりもまず、この酷い歴史の歪曲を改定し、国家として謝罪すべきだと思う。

  • 今年出た新書。
    すごくおもしろかった。
    なぜ会津と長州はいがみ合い、現在では会津は長州を心底恨んでいるのか。
    会津の武士道に共感した。
    卒論のテーマを会津にしたいと思った!

著者プロフィール

星 亮一(ほしりょういち)1935(昭和10)年仙台市生まれ。高校時代を岩手県で過ごす。一関一高、東北大学文学部国史学科卒。福島民報記者を経て福島中央テレビに入りプロデューサーとして歴史ドキュメンタリー番組を制作。著書に『会津藩燃ゆ【令和新版】』『天才渋沢栄一』『奥羽越列藩同盟』『武士道の英雄 河井継之助』『斗南藩』『呪われた戊辰戦争』など多数あり。また20年余に渡り戊辰戦争研究会を主宰している。

「2021年 『星座の人 山川健次郎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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