青雲の梯 老中と狂歌師 (100周年書き下ろし)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 106
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (362ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062153904

作品紹介・あらすじ

老中田沼意次、足軽の子と蔑まれ、名門譜代勢力から「賄賂政治家」の名を残されながらも、幕府の抱える難題に取り組む。国家の行方を憂えることもできないのか。狂歌師大田南畝、たいした仕事も、出世する見込みもない下級武士であるがゆえ、狂歌にのめりこみ、庶民の圧倒的支持を集める。才能を開花させることも許されないのか。二人の武士の苦悩と葛藤を、企業小説の名手ならではの視点で描き、現代と通じる「組織と個人」の問題を炙りだした著者初の歴史時代小説。

感想・レビュー・書評

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  • 田沼意次と大田南畝、この2人を中心に描かれている。最大の組織の江戸幕府を背景に、足軽の子でありながら老中まで登りつめた田沼意次の思想や知恵が飛び交う。大田南畝もただの御徒に過ぎない身分であるにもかかわらず、狂歌師で名を伏せるまでの才能を開花する。著者が言うように、組織で生きる現代のサラリーマンにも共感する部分があって面白い。

  • なかなか面白かった

  • 田沼意次と大田南畝。ふたりの生きた時代とその生き方。苦悩と迷い、研鑽の日々が描かれている。

  • 意次の見方とか太田南畝の見方とか、特に新しいものではない。

    組織の中に置いたところが新機軸か。

    それにしても南畝が何度も何度も「稿料が安い」とこぼすが、よほど著者も身につまされているのか。
    勤め人をやめて、筆一本で食べていくのは大変なんだ。

  • 老中は田沼意次、狂歌師は太田南畝。企業法務小説を得意とする著者の時代小説第1作。
    二人のかかわり、対照を無理に書こうとせず、どうせなら田沼一人に焦点を当てた方が、と感じた。
    後藤一朗「田沼意次 その虚実」を参考文献にしているところは高く評価できる。
    田沼が失脚しなければ、日本はどうなっていたか。

  • 老中、田沼意次と狂歌師大田南歩
    足軽の子から老中まで上り詰め、賄賂政治家として有名な田沼意次、下級武士であり狂歌師として名を成した大田南ぽ
    平賀源内、山東京伝、杉田玄白なども登場

    世の中にたえて女のなかりせば男の心のどけからまし

    いかほどの洗濯なれば香具山で衣ほすてふ持統天皇

    世の中は金と女が敵なりどふぞ敵にめぐりあひたい

    狂人、天才、山師 平賀源内
    「人には生きていくうえで、必死にすがっている何かがある。それを壊されたら、生きていくのが辛かろうな」「源内さんは最初から、青雲の梯を踏み外した人だった」

    著者のあとがき「30年近くサラリーマン生活を送り、会社という組織と人間関係のしがらみに悩んできた。時代小説を書きながら、人間というものは進歩するのだろうかという、深い疑念にとらわれているのです」

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