ポケットの中のレワニワ (下) (100周年書き下ろし)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062154161

作品紹介・あらすじ

あなたは、きっとレワニワが好きになる。ティアン、仕事ができるんだかできないんだか微妙な徳永さん、コヒビト、偏頭痛持ちの三浦さん、中年のSEXフレンドあみー、そして、レワニワ。

感想・レビュー・書評

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  • 本書がとらえる世界観は、けっして甘いものではないのに、
    読後感があたたかいのは、
    レワニワへのあつかいの、あたたかさと、
    登場人物に、偽悪的なひとはあっても、
    みな、一様に、こころねが美しいことにあると思った。

    理想と現実、あわせて描き、
    作品のなかですり合わせているかのようだ。
    こんな作品をつくる伊井先生が好きである。

  • レワニワが登場するなんて!
    まさかの展開。
    普通だった登場人物が徐々に魅力的になる。
    単調に見えて奥深くて面白かった。

  • んー 上巻から、
    なんかもり下がったなー
    自分の中で。

    空中分散した感じ。

    結局、恋愛小説なのかこれは。

    レワニワは嘘なのか真実なのか。

  • 上・下巻と読んでみましたが、なかなか複雑で、私にとって難しいストーリーでした。社会の中の色んな問題と、主人公の自分に自信の持てない思いの部分と、その他の人間関係の部分とか、そんなのが複雑に絡んで、読み終わっても、すっきりするというよりも、深く考えさせられてしまうような、そんな物語でした。レワニワの出てくる意味がいまいち理解できなかったけど、読んでみて、こうじゃない?という方がいれば、教えて欲しいなと思いました(苦笑)

  • 群像2009年7月号書評より

    新潮2009年8月号書評より

  • いよいよ変わってしまったティアンと、そんな彼女を気にしながらも一歩踏み込めずにいるアガタは、レワニワに後押しされて、空回りする生活から踏み出ようとする。
    難民、という言葉がとても重要な意味を持って作品の中央に据えられている。
    難民であったがゆえの苦労、差別、自負心、敵愾心、あるいは仲間意識が、この物語の中のあちこちでのぞく。国を捨ててきた、本来自分がいるべき居場所がない、というアイデンティティのゆらぎは根深い。
    そして、本当の意味での難民だけではなく、社会に居場所のもてない、日本人であっても難民のようにしかあれない人々もまた、この物語で重要な位置を占めている。
    未来に対して諦めを持って生きている人々が、それでも幸せを見つけるために生き続ける、静かな優しさに満ちた物語だ。

  • 下巻は、切ない気がします。いろんな意味で。
    やっぱり、幸せになるって難しいんだなと。

  •  昨日、いきなり辞表が送られてきた。電話をして引き留めたが、全然聞いてくれない。お父さんの介護が大変だから、の一点張り。職場で一番親しいのは君らしいから聞くんだが、どうしたんだろう?何か知ってる?
    「何も聞いていません」正直に答えた。
     事前の予告もなく、冬のボーナスが出るのを待って会社に来なくなるなんて、アルバイトだってこんなひどい辞め方はしないぞ。正直、あきれた。……ティアンと親しい俺も同罪とでもいうようなとがめる口調だ。アルバイトにボーナスは出ませんけど、と言いたかったが黙っていた。俺だって、ティアンのやり方はひどいと感じていた。
    (本文p.33)

  • 鴨電の派遣社員アガタシンイチ安賀田
    正社員の町村圭子 本名
    ティアン ベトナム難民
    小学校に転校してきたベトナム難民達は団地に住む 治安悪化し団地を出た大学を出るがPCマニア向け電源のコールセンターの派遣 上司の親会社社員はやる気なし 徳永さんがやって来て変わった
    ティアンをリーダー抜擢徳永に誘われ親会社の野球チームの応援に
    団地の近く ヒエン ハンに再会 近所付き合いはうまくいっていない
    彼等の両親はサイゴンで上層部
    ハンは経歴詐称、戸籍売買、廃品の闇商売で会社を興していた ハンはティアンを誘った
    ティアンが会社を休みがちになる
    ティアンが退社
    探しに行くヒエンに待ち合わせ場所を聞く
    ハンの会社に入らずベトナム語を勉強しに祖国へ帰りにハンの仲間に襲われ団地に近づくなと恫喝
    徳永さんの活躍が親会社の方針と異なりコールセンターから外され営業に野球であった徳永の同期でオジサンと不倫中の三浦(女)に教えてもらう
    徳永さん転職

    団地から戻るとポケットの中にレワニワ
    理解教師の父から聞いた願いを叶えるトカゲ
    人間に化けて人間を食う小学校で噂話が広がる

    ベトナムに連れて帰るとティアンの語学学校を教えてくれた

    ヒキコモリの母の再婚相手の息子 ハンの会社で社員になった

    ベトナムで再会したティアンには町村さんと呼びさようなら

    ティアンから帰国の知らせ ハンの会社はティアンの父が日本人でなく中国人だと分かりクビ

    人妻セフレの携帯から電話 クリスマスイブに自殺と父親がかけてきた
    5年前に離婚していた

    ティアンから電話
    バッティングセンターで待ち合わせる
    ヒキコモリの義弟が自己紹介できた
    美味しいコーヒーを出してくれた
    手を握り合って帰る
    「一緒にいてほしいがまだ言えない」
    「お金持ちになるまで結婚しない」
    「結婚できそうにない」
    「いつかでいい」
    「このままでいい」
    「難しい。ベトナムで感じた。私達が変わらなくても世の中が悪くなるかも」
    「何とかするよ」
    「アガタに言われてもなァ」
    「どこに行こうか」
    ティアンはもう言葉では答えなかった

  • んんんん・・・・

    読み終わってみて
    純愛??かな?
    相手の気持ちをつかめないままの恋愛
    「アガタがお金持ちにならない限り結婚はないからね」
    で終わるんだけど
    このあとも友達未満恋人以上(普通は友達以上恋人未満でしょ)という なんだか分からない関係が続くのかな?
    ティアンの気持ちが 分かるようでわかんなくって 読んでいて欲求不満だぁ。

    それと、キーワードだと思っていた「レワニワ」はそれほど重要ではなかった感がある。
    「おばあさんだらけの意地悪村」って話もあるぞ!

    「人間の女性と話なんて、前は絶対できにゃかった」
    キーワードは猫語を話す充かな!!いい味だしてます。

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著者プロフィール

伊井直行(いいなおゆき)
1953年、宮崎県生まれ。83年「草のかんむり」で群像新人文学賞、89年『さして重要でない一日』で野間文芸新人賞、94年『進化の時計』で平林たい子文学賞、2001年『濁った激流にかかる橋』で読売文学賞受賞。他の著書に『お母さんの恋人』『青猫家族輾転録』『愛と癒しと殺人に欠けた小説集』『ポケットの中のレワニワ』『岩崎彌太郎「会社」の創造』『会社員とは何者か? ─会社員小説をめぐって』などがある。

「2016年 『尻尾と心臓』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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