Portraits of silence

著者 :
  • 講談社
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レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (114ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062154567

感想・レビュー・書評

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  • イラク戦争で亡くなった兵士たちが残した家族、主を失った部屋の写真集。兵士たちは皆若い。30代の人もいるけれど、多くは自分が普段接しているような、大学生、大学院生と同じくらいの年齢。

  • 映るべき人のいない肖像写真。
    アメリカ軍人を失った、人や物や場所のポートレート。
    もういない存在を映し出す。感じ取る。

    陽の射す庭。着古した服。小さなころの写真。星条旗。ガレージ。趣味のもの。学生時代のトロフィー。軍服、軍靴。お母さん。CD。認識票。星条旗。お父さん。図書館の利用者カード。強い筆跡でノートに描かれた落書きみたいな将来設計。星条旗。生前の部屋。死後に寄せられたメモリアルキルト? 星条旗。星条旗。星条旗。

    映って「いない」のは若い人たち。
    名前やインテリアからわかる範囲のルーツは様々。
    軍に入った動機は愛国心や、学費のためだったり、まさか戦地に行くなんて思いもしなかったり。
    死因には怪しげな事故が混ざる。
    親たちは、子どもと同じ場所でがんばるアメリカ兵を応援したり、戦争に疑問を呈したり、近所の子どもを可愛がったり、子どものものを身につけたりして慰めを得ようとする。

    こうやって、もう語ることのないひとりひとりを並べていくと、愛国心にあふれた貧しくない男性白人アメリカ兵の死でさえ悲劇なのだとわかってしまう。

  • この写真集は、私の2009年ベストブックに間違いなく入る一冊。
    何も語らない、何も語れない風景。
    おそろしいほどの残酷と愛情がつくりだす圧倒的な無言の存在感。
    イラクで戦士した若者を映した、でも”本人はいない”…ポートレイト集です。
    写真集で泣いたのは初めてです。

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