水の彼方 ~Double Mono~

著者 : 田原
制作 : 泉京鹿 
  • 講談社 (2009年6月26日発売)
3.38
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  • Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062154710

作品紹介

作家×ミュージシャン×女優
中国13億人のミューズ衝撃の日本デビュー

中国80后(80年代生まれ)のやるせなくもせつない10代の破片と、静かに崩れていく少女の心を鮮やかに紡いだ、美しくて残酷な幻想的青春小説。ロックバンドのボーカルとしてデビューし、女優としても多数の映画に出演する中国のスーパー・スターの最高傑作、日本解禁。

水莽は、毒草なり。葛のごとき蔓が生じ、花は紫であずきに似る。誤って食すれば、たちまち死して、水莽鬼となりき。この鬼 輪廻転生かなわず、ふたたび毒にて死するものあれば、これにとってかわるべし、という。――『聊斎志異』「水莽草」

高校時代、誤って水莽草を食べてしまった私は、表でもなく裏でもない、ふたつの世界の間に閉じこめられてしまったのです。――田原

自分たちの居場所は、いったいどこにあるのか。どこでもいい、ずっとずっと遠くへ行こう。幼なじみの少年と少女は、月に向かってどこまでも落ちていく……。

水の彼方 ~Double Mono~の感想・レビュー・書評

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  • 舞台は武漢。自叙伝に近いのだろうか。ただ単純に、若い著者の枠を越えられないために、物語の主役が著者と重なるのだろうか。ロック好きの主役は、ニルヴァーナを好み、よく夢を見て、破滅的な恋愛をする。しかし、破滅的なのに、静謐だ。頭が麻痺したような、眠りと覚醒の狭間を、見事創り出し、もやっとした虚ろな世界を再現している。決して巧くはないのだが。

    中国版綿矢りさ、と感じたのは、著者のルックスの所為だろうか。あるいは、登場人物が著者の延長線にある枠を越えられない印象が、両者に共通するものだからか。しかし、圧倒的に綿矢りさの方が巧い。当然。訳者を介した所為だろう。

    中国の文学は、中国独特の感性で描かれる。従兄弟との兄妹感覚は、日本人のそれとは異なる。学生の問題に対し、親が教師を酒に誘って解決する。階段に吐かれた痰、海賊版DVD、親が買い与えるマンション、などなど。

  • 現実と幻想の狭間を行き来する10代の多感な女の子の話。後半になればなるほど、どんどん幻想に飲み込まれていく。

    ストーリーというよりは、独特の世界観を楽しむための小説。例えば食堂の環境が劣悪だとか、そういうごちゃごちゃした現代中国の風景をここまで幻想的に、魅力的に描き出せるのはすごい。

  • 中国期待の若手の星なんでしょうけど、ちょっとついていけない部分がありました。現実と妄想が交錯する世界、たぶん主人公の意識が行ったり来たりしているからなんでしょうけど、もう少しメリハリがあればいいのに、と思います。それに、たぶん将来に漠然とした不安を抱える若者群像と言ってしまえばその通りなんでしょうけど、だから何が書きたいの、言いたいの、という感がなきにしもあらずです。

  • ▼悪くない。ただし、人を選ぶ。
    ▼書き出しの数ページで、センスがある書き手だと思った。才能があるのだろう。ディティールがすごくいいなーと思った。色彩の鮮やかさが強い。読んでると、書き手との共感覚が凄い。書き手が気持ち悪いときは読み手も気持ち悪くなる。
    ▼だけど、いまの日本に、これを読む層が存在しない気がしてならない。こういうナイーブさが女子にあんまりウケないというか。今の女子の人生テーマは、90年代の自閉症的な感覚じゃなくて、もっとアッパーな安野モヨコばりの、「仕事も恋も超がんばっていこう!」か、あるいはNANAみたいな「欝で依存してて病んでるけど逆にバリバリ病んでいこう!」かの、二択っぽいところがある。あるいは、もっと物語を消費しちゃってる感覚とかね。
    ▼「これ講談社BOXってどういうこと」と思いながら読んでいたけど、結構、「思春期の彼女たちの感性を刺激する」っていうポイントを突いてると思った。むしろ講談社BOXより他にないよね、こういう、悲しみよこんにちは的なのは。でもなあ、読み手がなあ、うーん……。
    ▼語りの視点が相当揺れるのと、時間軸の動きが超曖昧で、全体的に夢みがちな雰囲気。確かなものがないったらない。ゆえに、なんか酔っ払ってるような酩酊感があって、ものがとってもきれいにみえて~……という、ちょっと危うい感じがした。
    ▼半分読んだ。途中からちょっと吉本ばななっぽくなってくる。これはきっと女の子版スタンド・バイ・ミーなんだろう。話じたいはかなり気に入ってる。……でも、装丁ががっかりすぎる。フォントはきれいだから、外をきれいなイラストにしてくれたらいいのに。あとタイトルが原題だったら、もっとうれしいんだけども。
    ▼読み終わった。いいじゃん! すごくいいじゃん! 妊娠してから先がめちゃくちゃカッコいい。この人にしか書けない文章がいっぱいでてくる。手巻きオルゴールの澄んだ音がしんみりとにじんで、乾いた床に散らばった……とか、(コーヒーの中に葉を落としてかき混ぜる記述が)長い間ホコリに埋もれていた記憶が、熱の中で広がって、カラカラに干からびた葉の中の隠れていた魂が目を覚まし、葉と一緒にゆっくりと広がってゆく……とか、ほんとに凄い、背筋が寒い。ラストもぞっとするほど……とにかく……キレイかつカッコいいんだ。
    ▼うわー。ぜひ映画化してくれ。新宿武蔵野館なんかで上映されそうだ。
    (09/10/27 読了)

  • 田原 (Tian Yuan)さんが、パンドラで紹介されてから気になっていた本を読み終えました。

    日本と中国とで若干文体が異なるのですが流れるような文体などはゼロアカ世代と同じ新しい感覚があります。

    ただ女性ならでは心理描写が繊細なところなど、オールドタイプで男性の僕には難しくって、
    なんだか不思議な雰囲気につれていかれている感じがしました。

    このあたりは、年代や性別の違いもあるのか、女性の感想も知りたいところです。

    あとは、日本の文化が中国にも影響があるのだなと、彼女の本を読んで、改めて知りました。

    いままでは歴史や政治的な話でしか知らない隣国について、より近さを感じることができました。

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