ドーン (100周年書き下ろし)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 677
レビュー : 118
  • Amazon.co.jp ・本 (498ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062155106

作品紹介・あらすじ

2033年、人類で初めて火星に降り立った宇宙飛行士・佐野明日人。しかし、宇宙船「DAWN」の中ではある事件が起きていた。世界的英雄となった明日人を巻き込む人類史を揺るがす秘密とは?愛はやり直せる。

感想・レビュー・書評

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  • 読んでいるというより、読まされた感じ・・・。

    「‘‘目標’’は常に‘‘目的’’の先になければならない!」はいいなと思った。

    他の作品に期待!

  • 有人火星探査といういかにもSF的なモチーフだが、さにあらず。
    その未来では、米国大統領選は白熱し、米国介入型の戦争も続いている。
    確かに私たちの現在の地続きにある未来だ。
    メディア、監視社会などなど未来から現代を見つめる物語である。

    この小説のメインテーマである「個人 individual」と「分人 dividual」。
    本来分かつことができぬはずの個人は、TPOによって分人を使い分ける。
    キャラという表層ではなく、その人との関係のみに生まれる深層部分(ディヴ)がある。
    この興味深い発想とともに描かれる未来。

    人間に希望を見出す意味で、今読まれるべき、骨太な純文学/エンタテイメントだ。

  • 「恥とは確かに、生き延びようとする人間のための感覚で、どうしても、この世界で生きたいと願うなら、捨て去ることの出来ないものだった。受け容れられたいと微塵も願わない人間が、どうして恥に苦しむだろうか?それは、恐らく悲しみに似ていた。生きよと命じ、生きる道筋を指し示しているにも拘らず、切迫するほどに、生きること自体を断念させようとする声とつい取り違えてしまう、一種の苦痛だった。」

    消化しきれない大作。めちゃくちゃ面白い。あまりにも多くのことが起こりすぎて、多くの人が語りすぎて、拾い切る事ができない感情の束の中で、個人はどこまで自分を分化してもなお自分でいられるのか考えさせられる作品だった。

  • 時期大統領戦を巡って、火星探査という歴史的偉業に隠されたある秘密がとんでもない爆弾になる…というお話。
    個人的には、民主党の選挙PR担当のウォーレンがとても重要なポジションだったなぁと思う。この人がいるおかげですごく映画的に場面が想像できた。それぞれに散らばった事象がひとつの事実に結びついて行く過程がわくわくする。
    リリアン・レインを中心として徐々に明らかにされるアメリカの暗部。読み進めていくと明日人よりジムのほうがよほど魅力的に見えた。

    重要なテーマとなっている「分人主義dividualism」
    物体としての存在はひとつだけれど、対人関係ごとに自分は分人化dividualizeされる。個人とは分人の集合である。
    今まで言葉として理解していなかっただけで、とうにこれを知っていたというような、むしろ今までこういう思想がなかったことが不思議になるほど、説明されてスッキリな考え。
    今までの言葉でいうと、様々な顔を持っている、という感覚が近いだろう。

    子どもの時分は、親の前での自分と、学校での自分、友だちごとに違う自分に、自分はなぜひとつきりの自分でどこでも渡り合っていけないのか、嘘つきなのではないかと悩んだりしたもの。

    どんな人にも、様々な顔がある。
    向き合う人の数だけ分人が出来上がる。そうして出来上がった分人同士が自分の中で複雑に統合されて行く。
    無意識に自然に行っていた個人individualを作り上げていく作業を、改めて点検し直す時に分人主義という考えはとても有効だと思う。

    しかし<散影>システムはエデンシステムみたいで、ほんとにそのうち世の中こういう風になりそうだよなーて思った。顔という固有性にも意味がなくなっていく未来なら、より分人という考えは自分を定義するのに必要な考えになるのかもしれない。

    こういうこというとオタク臭くて嫌なんだけど、なんとなく攻殻とかエデンぽいから脳内変換余裕で楽しめました。

  • 自分が恋人や家族、会社など社会の様相で見せる別々の「分人」が存在するといった「分人主義」が提唱された近未来が舞台だ。主人公は人類で初めて火星に飛び立った日本人宇宙飛行士で、大統領選が迫るアメリカで、自らのさまざまな「分人」のはざまで葛藤する登場人物たちの様子は、SNSが発達し、個人の情報量が細分化されている現代の行く末を予兆しているようだった。
     主人公が抱える「隠したい過ち」を直視し、世間に公表することで「善き分人」を取り戻そうとする過程は、日ごろ、「よく思われたい」と行動する自分自身を見透かされているようにも感じる。
     こう書いているととても難しそうに見えるかもしれない。でも、冒険小説とも恋愛小説とも社会小説とも読める作品は、幅広く薦めたい魅力もあると思う。

  • 読み通すのがちょっとしんどい。時間、空間があっちこっち飛び回るし、横文字の名前ばっかりだし。。。
    ディヴの概念はとっても面白い。自分の生顏って一体なんなのかしら 何て考えちゃう。
    物語的に色々な方向に手を出しすぎて収拾付かずといった感じがする。それぞれの話が大き過ぎて細部まで作り込むには倍の枚数が必要じゃないかしら??
    明日人が死なずに済んだことと、今日ちゃんと和解出来た事とで 読後感は爽やかでした。

  • 平野さんの書く小説は、まさに現代にふさわしい小説だと思う。
    この「ドーン」は勿論、「決壊」でも現代、あるいは近未来における科学的な発展に伴う弊害に焦点を当てつつ、人間(人類?)が抱える普遍的な問題を描いている。こういった文学の中で社会への問題提起がなされるべきだ、とは思わないし、必ずしも必要なものだとは思わないけど、未来を予見するような平野さんの小説はこの現代社会にあって書かれるべくして書かれた、という感じがする。確かに普遍的な問題を描いていることで、既に語り尽くされた感のある物語と言えなくもないけど、これは今読まれてこその価値がある作品のような気がする。
    今作中では、「個人」=「individual」に対する「分人」=「dividual」という概念が描かれている。「分人」というのは、「個人」が使い分ける人格のようなもので、例えば一人の人間が家族の前、友人の前、上司の前等で、普通それぞれに対して適切な態度を使い分ける、その一つ一つを「分人」と呼び、「個人」は「分人」の集合であると述べられている(さらにこの考え方を「分人主義」=「dividualism」とも呼ぶ)。

    個人的に、火星探査船「ドーン」をテーマにした同人(!?)小説がネット上で書かれ、読まれ、という展開に笑った。すごくリアル。

  • ある集まりで遊ぶときの自分のポジションはどうあるべきだったか、なんてことを集まりごとで思い出してから遊びにいくだとか、友達と上司に接する自分は当然のごとく違うだとか、無意識のうちに多くのディヴィジュアルを僕(人)は持っているものだと改めて気づかされた。 20数年後を想像した描写はそれだけでとても楽しく読むことが出来たし、それだけじゃない、思想とか意義とか何つうかそういう思念的なものがふんだんに混ぜ合わされていて読み応え抜群だった。とても楽しく読むことが出来た。(登場人物がカタカナでしかも多いってのはちょっと苦しかったけど)
    決壊を受けてのドーンという印象を強く持った。
    自叙伝をつづって、主人公が今後より魅力的に活動するにはどうしたら良いかというアプローチの方法で人生を解いていた場面。
    最後に読者に提唱してくれた、どう生きるべきかというダイエットの話が好きだった。
    ジョージオーウェルの1984年にしろ、未来に希望は無いのだろうか---。
    読書する時間と同じくらい物語について考えた作品だった。ここ最近読んだ中では一番良かった。
    (2009.8.25)

  • ちょっと散漫

    2014/1/15 未読だと思って買ったら既に読んでたw

  • 2015-02-03 38頁で挫折。読点多すぎて読みづらい。

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著者プロフィール

平野 啓一郎(ひらの けいいちろう)
1975年、愛知県蒲郡市生まれ。生後すぐ父を亡くし、母の実家のた福岡県北九州市八幡西区で育つ。福岡県立東筑高等学校、京都大学法学部卒業。在学中の1998年、『日蝕』を『新潮』に投稿し、新人としては異例の一挙掲載のうえ「三島由紀夫の再来」と呼ばれる華々しいデビューを飾った。翌1999年、『日蝕』で第120回芥川賞を当時最年少の23歳で受賞。
2009年『決壊』で平成20年度芸術選奨文部科学大臣新人賞、2009年『ドーン』で第19回Bunkamuraドゥマゴ文学賞、2017年『マチネの終わりに』で第2回渡辺淳一文学賞、2019年『ある男』で第70回読売文学賞(小説部門)をそれぞれ受賞。2014年には芸術文化勲章シュヴァリエを受章した。『マチネの終わりに』は福山雅治と石田ゆり子主演で映画化が決まり、2019年秋に全国で公開予定となっている。

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