ドーン

  • 講談社 (2009年7月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784062155106

みんなの感想まとめ

テーマは、近未来のアメリカを舞台にした有人火星探査と大統領選挙の舞台裏に絡む群像劇であり、登場人物たちの多面性や心理描写が巧みに描かれています。物語は、平野啓一郎の提唱する分人主義を基にし、個々のキャ...

感想・レビュー・書評

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  • 久々に手に取った平野啓一郎作品は本書『ドーン』。
    それは、ながらく本棚の奥で静かに眠っていた初版本——2009年7月9日発行の一冊だった。
    手にしたのは今年の7月9日。
    まるで本と私の間に、時を越えた約束があったかのような偶然。
    読了まで約2ヶ月半。
    (ちょっと他の本を読みすぎた^^;)
    ページをめくるたびに、火星の赤い砂漠と、窓の外に広がる横浜の空が交錯した。

    (´ρ`*)コホン
    では、本書の内容を含めた感想を。

    物語は、火星探査という壮大な舞台を背景に、個人の内面と社会の構造を描く。
    主人公・佐野明日人は、火星に降り立った日本人医師として英雄視されるが、その栄光の裏には、静かに蠢く陰謀と、自己の揺らぎが潜んでいた。
    平野作品に通底する「分人主義」の思想——人は関係性によって異なる「自分」を生きる——が本作にも色濃く反映されており、現代社会における自己の在り方を問い直す契機となる。

    ただ、正直に言えば、読書中ずっと物語の熱量に乗り切れなかった。
    火星という非日常的な舞台設定が、登場人物の感情や関係性を遠ざけてしまったようにも感じた。
    平野啓一郎の作品に期待する、言葉の繊細な響きや心理描写の深さが、今回はやや硬質な構造の中に埋もれていた印象がある。

    それでも、彼の文章には常に日本語の奥深さと、哲学的な問いかけが宿っている。
    同年代の作家として、彼が言葉を通して社会や人間の本質に迫ろうとする姿勢には、変わらぬ敬意を抱いている。
    『ドーン』を読み終えた今、作品そのものよりも、平野啓一郎という作家の歩みと思想に改めて触れたような感覚が残った。

    読了後、ふと窓を開けて風を感じた。
    少しずつではあるが、確実に季節が進み始めた季節、窓を開けるのは最近のお気に入り。
    火星の無音の空気とは違う、都市の隙間を縫うように吹き抜ける風。
    その一瞬に、読書の余韻が静かに胸に降り積もった。
    積読の時間もまた、作品との距離を育む一つの過程だったのかもしれない。
    (なかなかのプラス思考σ(・ω・`))
    次に手に取る平野作品では、より深くその世界に浸れることを願いつつ、これからも彼の言葉を追いかけていきたい。


    <あらすじ>
    2033年、人類初の火星有人探査を成し遂げる宇宙船「DAWN」が火星に着陸。乗組員6名のうち、唯一の日本人である医師・佐野明日人(さの・あすと)は、地球帰還後、英雄として称えられる。しかし、2036年、彼はDAWNの航行中に起きたある出来事をきっかけに、巨大な陰謀の渦中へと巻き込まれていく。宇宙船内で交わされたある会話や行動が、アメリカ大統領選、さらには世界の未来を左右する重大な秘密に繋がっていたのだ。

    物語は、明日人の視点を通して展開され、火星探査という壮大な舞台の裏で、人間の内面や社会構造が緻密に描かれる。特に注目すべきは、平野が本作で提示する「分人主義(dividualism)」という概念。人は一つの固定された人格ではなく、対人関係や環境によって自然と異なる「分人」を持つという考え方であり、明日人自身も、宇宙船内での人間関係や地球での家族との関係の中で、複数の「自分」を生きることになる。

    火星での孤独、地球での名声、そして陰謀の真相を追う過程で、明日人は「本当の自分とは何か」「人間とは何か」という問いに直面する。SF的なスリルとともに、哲学的な深みを持つこの作品は、読者に「個人」のあり方を再考させる力を持っている。『ドーン』は、宇宙という広大な空間を背景に、人間の心の奥底を照らし出す、まさに現代文学の挑戦的な一作である。



    本の概要
    最高の純文学にして究極のエンターテインメント! 2033年、人類で初めて火星に降りたった宇宙飛行士・佐野明日人。しかし、宇宙船「DAWN」の中ではある事件が起きていた。世界的英雄・明日人を巻き込む人類を揺るがす秘密とは?

    著者について
    平野啓一郎(ひらのけいいちろう)
    1975年愛知県蒲郡市生。北九州市出身。京都大学法学部卒。

    1999年在学中に文芸誌「新潮」に投稿した『日蝕』により第120回芥川賞を受賞。40万部のベストセラーとなる。

    以後、一作毎に変化する多彩なスタイルで、数々の作品を発表し、各国で翻訳紹介されている。2004年には、文化庁の「文化交流使」として一年間、パリに滞在した。

    美術、音楽にも造詣が深く、日本経済新聞の「アートレビュー」欄を担当(2009年~2016年)するなど、幅広いジャンルで批評を執筆。2014年には、国立西洋美術館のゲスト・キュレーターとして「非日常からの呼び声 平野啓一郎が選ぶ西洋美術の名品」展を開催した。同年、フランス芸術文化勲章シュヴァリエを受章。

    また、各ジャンルのアーティストとのコラボレーションも積極的に行っている。

    著書に、小説『葬送』、『滴り落ちる時計たちの波紋』、『決壊』、『ドーン』、『空白を満たしなさい』、『透明な迷宮』、『マチネの終わりに』、『ある男』等、エッセイ・対談集に『私とは何か 「個人」から「分人」へ』、『「生命力」の行方~変わりゆく世界と分人主義』、『考える葦』、『「カッコいい」とは何か』等がある。

    2019年に映画化された『マチネの終わりに』は、現在、累計58万部超のロングセラーとなっている。

    2021年5月26日、長編小説『本心』(文藝春秋社)刊行。

    photo: @ogata_photo

    [受賞歴]
    『日蝕』(1999年 芥川龍之介賞)
    『決壊』(2009年 芸術選奨文部大臣新人賞受賞)
    『ドーン』(2009年 Bunkamuraドゥマゴ文学賞)
    『マチネの終わりに』(2017年 渡辺淳一文学賞)
    『ある男』(2019年 読売文学賞)


    [審査員・選考委員履歴]
    三島由紀夫賞(2008年~2019年)
    写真の町東川賞(2008年~2017年)
    木村伊兵衛賞(2018年~)
    芥川龍之介賞(2020年~)

    • ヒボさん
      まきさん程ではないですが、私も何冊か読了し、何冊か詰んでます。
      こ難しいし、哲学的…
      わかります( ˇωˇ )

      でも好きなんですよねー
      平...
      まきさん程ではないですが、私も何冊か読了し、何冊か詰んでます。
      こ難しいし、哲学的…
      わかります( ˇωˇ )

      でも好きなんですよねー
      平野啓一郎にしか書けない日本語の文章。

      本書はきっと読了までに時間をかけすぎたのがいけなかったんです。
      アタフタヾ(・ω・`;)ノ三ヾ(;´・ω・)ノアタフタ

      それなのに火星探査から始まり、大統領選、テロ問題に、生物兵器(蚊)…
      近未来の設定なんですが、こんがらがっちゃいました( ˘•ω•˘ ;)
      2025/09/24
    • bmakiさん
      あ、多分私はヒボさん以上に分かってないと思います。
      頭悪いので、難しいこと書かれる人に憧れがあるのかもです(*´꒳`*)

      ヒボさんもいつも...
      あ、多分私はヒボさん以上に分かってないと思います。
      頭悪いので、難しいこと書かれる人に憧れがあるのかもです(*´꒳`*)

      ヒボさんもいつも凄い文章力。
      凄いなぁと感心しきりです。
      天才です!
      2025/09/24
    • ヒボさん
      ぞんな事ないですよー(ヾノ・∀・`)ナイナイ
      著者とは同級生ではないですが、同年代なんですσ(・ω・`)

      なので余計に彼の日本語に憧れ、魅...
      ぞんな事ないですよー(ヾノ・∀・`)ナイナイ
      著者とは同級生ではないですが、同年代なんですσ(・ω・`)

      なので余計に彼の日本語に憧れ、魅了されています。
      まぁ、その分難解なんですが^^;

      私のレビューもお恥ずかしながら誤字脱字いっぱいで…
      upしてからの修正の多いこと多いこと…
      (;´д`)トホホ…
      2025/09/24
  • 人類初の火星に行き帰還したクルー達。2年にも及ぶ宇宙飛行の中で何が起こっていたのか?真実を好評するか隠ぺいするかで悩むクルー達。人類の為か愛する人の為かの難しい選択。なかなか難しく読み応えがありました。

  • ドーン

    多分、平野氏の小説ははじめて。
    有人火星探査機「ドーン」で火星探査をやり遂げて帰還した6人の宇宙飛行士。その栄光、その勇気、その献身。その・・・。熱狂的に英雄として迎えられた6人の抱える闇。
    火星に着く前に狂ってしまったノノ。副大統領候補の娘のリリアンの妊娠と堕胎疑惑と過去の口外できない経歴。主人公の明日人は東京大震災で息子を亡くしたことをひきずりながら医師として参加する。そして否応なく、大統領選挙にまつわる陰謀に巻き込まれ、翻弄されていく。
    SF的な設定やガジェットがなかなか考えられていて、SFとしても楽しむことができます。竹蔵は、あらゆるところに張り巡らされた防犯カメラのネットワークとその検索システムである”散影”や個人は対する相手によって様々な面”ディビジュアル”の統合されたものであるという理論、ウィキの進化形としての”ウィキノベル”などのアイデアに関心しました。
    無政府状態と化した東アフリカへの軍事介入の是非が大統領選挙の大きな争点になって行くのですが、その際に下請けとして使っていた民間企業が開発した”忍者”と呼ばれる100パーセントの致死性を持つマラリアを用いた生物兵器の機密が焦点となり、主人公やリリアンを巻き込みながら物語は加速していきます。
    物語の最後には、題名の通りDAWN(あけぼの)がかすかに見えるのですが・・・
    小説の醍醐味をあじあわせてもらいましたが、ストーリーの難解さもありちょっと500ページはしんどかったです。

    竹蔵

  • SF小説かと思いきや、アメリカ大統領選の話になり、とにかく舞台のスケールがとんでもなく大きいんだけど、それを俯瞰して描かれていたので、すごくすごく高いところで(宇宙の彼方で)読んでいるような気になった。
    アメリカが抱える問題点、そして一番重きを置かれていたのは『ディヴィジュアル』、火星に行って帰ってくるのに2年もかかるとは知らなかったし、分人主義における夫婦の在り方‥盛りだくさん!

    もう大人だけど、読み終わって大人になった気がした。一方だけを見るのではなくて、色んな角度から物事を見て、客観的に考えてどう振る舞えばいいのかを考えるのが、大人のあるべき姿なのだろう。

  • 平野啓一郎の分人主義という思想に制約された物語という印象を受ける程、設定上の分人に対する主張が強い。しかし、立ち止まってその事を考える時、単に多面性と何が違うのか。あるいは、内面の個性に対し、まず内面が外的影響に左右されやすい流動体であるという事実。更に、外面はTPOで使い分けられる装いのようなもので、昨日の自分と今日の自分は必ずしも一致しない事は経験的にも常ながら、そこにこだわるのは何故なのか、この強い主張は、残念ながら、物語の雑音となった。

    有人火星探査プロジェクトにおける宇宙飛行士たちを巡るドラマ。政治的な陰謀も含ませ、物語は回想されながらミステリー仕立てで進む。例えば、宇宙飛行士の間で起きた事件と、その事件を起こした分人という描き方が一例だが、日常とは異なる環境における自らは、当然そこに順応しようとした別のキャラクターとなる。違う異性を前にして、現在のパートナーとは違う態度を取るのは分人というよりも、ただの戦略だろう。

    物語は宇宙飛行士のリアルを描いており、AR技術なども取り入れた、遠くない近未来として描かれる。表層の違いを分人とするならば、表面的な反応をプログラミングしたARによって、生命の復活も可能なのだろうか。しかし、前述の通り、変わらぬ人格などないのだが、ARのプリセットは変えられない。コアなプログラムが不変か、可変か。人格は可変だ。この対比は、物語において重要な問いかけのような気がした。

  • 登場人物が多く、同時進行でいくつものストーリーが切り替わり、さらに過去にも遡る。いわゆる群像劇小説、作中の言葉を使うと、分人が沢山いる小説となるのか?近未来のアメリカが舞台なので、世界観に想像が追いつかない。自分の読解力の問題だが、読み始めは理解不能で、全く内容が掴めなかった。正直最後まで読める自信がなかった。
    あまりに複雑すぎる小説だが、読み進めるにしたがい、徐々に物語に引き込まれていった。物語の主軸は二つ(多分)、「人類初の有人火星探査中に起きた事件」と「アメリカ大統領選挙戦の舞台裏」。それらが、平野啓一郎が提唱する分人主義に絡めて進んでいく。事件が選挙戦に影響を及ぼすことは予想していたが、予想外の展開と意外な伏線回収にワクワクしながら読んだ。テーマが壮大で、物語としての面白さが十分にありつつ、登場人物の繊細な心理描写が秀逸。この本一冊で、数冊分の思想や精神、知識に触れられた気がする。その分、読後はどっと疲れたが。
    真面目で賢い人たちの、様々な立場での様々な議論を読んで、自分も賢くなったような気がした。

  • (2024/01/13 4h)

  • 2009年の近未来小説(2030年代)ですが、2021年の今こそ読むべき物語だと思いました。
    米大統領選の分断と団結、震災後の生き方、AR、監視社会と顔認証…
    「分人」として、「個人」としての生き方、社会のあり方を考えさせられる一冊でした。

  • 読んでいるというより、読まされた感じ・・・。

    「‘‘目標’’は常に‘‘目的’’の先になければならない!」はいいなと思った。

    他の作品に期待!

  • 有人火星探査といういかにもSF的なモチーフだが、さにあらず。
    その未来では、米国大統領選は白熱し、米国介入型の戦争も続いている。
    確かに私たちの現在の地続きにある未来だ。
    メディア、監視社会などなど未来から現代を見つめる物語である。

    この小説のメインテーマである「個人 individual」と「分人 dividual」。
    本来分かつことができぬはずの個人は、TPOによって分人を使い分ける。
    キャラという表層ではなく、その人との関係のみに生まれる深層部分(ディヴ)がある。
    この興味深い発想とともに描かれる未来。

    人間に希望を見出す意味で、今読まれるべき、骨太な純文学/エンタテイメントだ。

  • 「恥とは確かに、生き延びようとする人間のための感覚で、どうしても、この世界で生きたいと願うなら、捨て去ることの出来ないものだった。受け容れられたいと微塵も願わない人間が、どうして恥に苦しむだろうか?それは、恐らく悲しみに似ていた。生きよと命じ、生きる道筋を指し示しているにも拘らず、切迫するほどに、生きること自体を断念させようとする声とつい取り違えてしまう、一種の苦痛だった。」

    消化しきれない大作。めちゃくちゃ面白い。あまりにも多くのことが起こりすぎて、多くの人が語りすぎて、拾い切る事ができない感情の束の中で、個人はどこまで自分を分化してもなお自分でいられるのか考えさせられる作品だった。

  • 時期大統領戦を巡って、火星探査という歴史的偉業に隠されたある秘密がとんでもない爆弾になる…というお話。
    個人的には、民主党の選挙PR担当のウォーレンがとても重要なポジションだったなぁと思う。この人がいるおかげですごく映画的に場面が想像できた。それぞれに散らばった事象がひとつの事実に結びついて行く過程がわくわくする。
    リリアン・レインを中心として徐々に明らかにされるアメリカの暗部。読み進めていくと明日人よりジムのほうがよほど魅力的に見えた。

    重要なテーマとなっている「分人主義dividualism」
    物体としての存在はひとつだけれど、対人関係ごとに自分は分人化dividualizeされる。個人とは分人の集合である。
    今まで言葉として理解していなかっただけで、とうにこれを知っていたというような、むしろ今までこういう思想がなかったことが不思議になるほど、説明されてスッキリな考え。
    今までの言葉でいうと、様々な顔を持っている、という感覚が近いだろう。

    子どもの時分は、親の前での自分と、学校での自分、友だちごとに違う自分に、自分はなぜひとつきりの自分でどこでも渡り合っていけないのか、嘘つきなのではないかと悩んだりしたもの。

    どんな人にも、様々な顔がある。
    向き合う人の数だけ分人が出来上がる。そうして出来上がった分人同士が自分の中で複雑に統合されて行く。
    無意識に自然に行っていた個人individualを作り上げていく作業を、改めて点検し直す時に分人主義という考えはとても有効だと思う。

    しかし<散影>システムはエデンシステムみたいで、ほんとにそのうち世の中こういう風になりそうだよなーて思った。顔という固有性にも意味がなくなっていく未来なら、より分人という考えは自分を定義するのに必要な考えになるのかもしれない。

    こういうこというとオタク臭くて嫌なんだけど、なんとなく攻殻とかエデンぽいから脳内変換余裕で楽しめました。

  • 自分が恋人や家族、会社など社会の様相で見せる別々の「分人」が存在するといった「分人主義」が提唱された近未来が舞台だ。主人公は人類で初めて火星に飛び立った日本人宇宙飛行士で、大統領選が迫るアメリカで、自らのさまざまな「分人」のはざまで葛藤する登場人物たちの様子は、SNSが発達し、個人の情報量が細分化されている現代の行く末を予兆しているようだった。
     主人公が抱える「隠したい過ち」を直視し、世間に公表することで「善き分人」を取り戻そうとする過程は、日ごろ、「よく思われたい」と行動する自分自身を見透かされているようにも感じる。
     こう書いているととても難しそうに見えるかもしれない。でも、冒険小説とも恋愛小説とも社会小説とも読める作品は、幅広く薦めたい魅力もあると思う。

  • 読み通すのがちょっとしんどい。時間、空間があっちこっち飛び回るし、横文字の名前ばっかりだし。。。
    ディヴの概念はとっても面白い。自分の生顏って一体なんなのかしら 何て考えちゃう。
    物語的に色々な方向に手を出しすぎて収拾付かずといった感じがする。それぞれの話が大き過ぎて細部まで作り込むには倍の枚数が必要じゃないかしら??
    明日人が死なずに済んだことと、今日ちゃんと和解出来た事とで 読後感は爽やかでした。

  • 平野さんの書く小説は、まさに現代にふさわしい小説だと思う。
    この「ドーン」は勿論、「決壊」でも現代、あるいは近未来における科学的な発展に伴う弊害に焦点を当てつつ、人間(人類?)が抱える普遍的な問題を描いている。こういった文学の中で社会への問題提起がなされるべきだ、とは思わないし、必ずしも必要なものだとは思わないけど、未来を予見するような平野さんの小説はこの現代社会にあって書かれるべくして書かれた、という感じがする。確かに普遍的な問題を描いていることで、既に語り尽くされた感のある物語と言えなくもないけど、これは今読まれてこその価値がある作品のような気がする。
    今作中では、「個人」=「individual」に対する「分人」=「dividual」という概念が描かれている。「分人」というのは、「個人」が使い分ける人格のようなもので、例えば一人の人間が家族の前、友人の前、上司の前等で、普通それぞれに対して適切な態度を使い分ける、その一つ一つを「分人」と呼び、「個人」は「分人」の集合であると述べられている(さらにこの考え方を「分人主義」=「dividualism」とも呼ぶ)。

    個人的に、火星探査船「ドーン」をテーマにした同人(!?)小説がネット上で書かれ、読まれ、という展開に笑った。すごくリアル。

  • ある集まりで遊ぶときの自分のポジションはどうあるべきだったか、なんてことを集まりごとで思い出してから遊びにいくだとか、友達と上司に接する自分は当然のごとく違うだとか、無意識のうちに多くのディヴィジュアルを僕(人)は持っているものだと改めて気づかされた。 20数年後を想像した描写はそれだけでとても楽しく読むことが出来たし、それだけじゃない、思想とか意義とか何つうかそういう思念的なものがふんだんに混ぜ合わされていて読み応え抜群だった。とても楽しく読むことが出来た。(登場人物がカタカナでしかも多いってのはちょっと苦しかったけど)
    決壊を受けてのドーンという印象を強く持った。
    自叙伝をつづって、主人公が今後より魅力的に活動するにはどうしたら良いかというアプローチの方法で人生を解いていた場面。
    最後に読者に提唱してくれた、どう生きるべきかというダイエットの話が好きだった。
    ジョージオーウェルの1984年にしろ、未来に希望は無いのだろうか---。
    読書する時間と同じくらい物語について考えた作品だった。ここ最近読んだ中では一番良かった。
    (2009.8.25)

  • ふむ

  • 図書館で借りてみたのだが、時間がなく、読了できなかった。

    小説家としての比類なき才能は認めるが、これを書く意味って?

    結末まで読む必要がある・・・

  • ディビジョンという考え方を知っていると、少しは客観的になれそうだな。

    明日人の全てぶちまけて、痛みを受けることで自分を慰めたくなる気持ちは理解できるし、ハリスの考えはとても勉強になる。コーチング論とか何だろうか?
    ・相手や媒体によって、同じ事実でも伝えるべき点や伝え方が異なる
    ・失敗や間違いがあったとしても、周りの人や自分を壊してしまわないように考え抜いて対応する

  • ちょっと散漫

    2014/1/15 未読だと思って買ったら既に読んでたw

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著者プロフィール

1975年愛知県蒲郡市生。北九州市出身。京都大学法学部卒業。1999年、在学中に文芸誌「新潮」に投稿した『日蝕』で、第120回「芥川賞」を受賞する。
主な著書に、『葬送』『透明な迷宮』『マチネの終わりに』『ある男』等がある。

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