- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062155830
作品紹介・あらすじ
先駆者の栄光!日本初バチスタ手術…"神の手"の軌跡。医療エンタテインメントの人気作家が初めて取り組んだノンフィクション。
感想・レビュー・書評
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映画がされたバチスタの筆者が書いたドキュメンタリー!日本の先駆者、須磨医師のバチスタ導入までの話や映画化にあたっての話など面白い♪
ただこの本を読む前にはバチスタの映画をみた方が一層楽しめると思います☆ -
wikiで神の手を検索すると神の手と呼ばれる外科医が何人かいるが須磨氏もその一人だ。ドラマにもなった「医龍」やこの本の著者である海堂尊氏の「チーム・バチスタの栄光」で有名になったバチスタ手術を日本で初めて執刀した。この2作の医療監修を行ったのもうなづける。海堂作品の読みやすさのまま須磨久義医師を紹介しているのだが、元々「チーム・バチスタの栄光」は心臓を止めるのなら何の手術でも良かったのが須磨を描いたプロジェクトXの映像と地上の星のメロディが浮かびバチスタに決めたそうだ。
「一流になるには地獄を見なければならない。だけどそれでは所詮二流です。一流になるには、地獄を知り、その上で地獄を忘れなくてはなりません。地獄に引きずられているようではまだまだ未熟ですね」
人材を育てるにはという質問には「本物を見るのが一番いいでしょう」なかなかセリフも格好いい。
須磨氏はボウズがいやで甲南中にすすみ、中二で医師を志望する。高校時代成績は良かったが高三の夏休みに受けた全国模試である科目がわずか8点しか取れず愕然とする。ショックを受けた須磨は部屋に閉じこもり一心不乱に勉強するのだが、両親に声をかけるなというのみならず学校に行って無茶な質問をする。「授業を受けて100点取ったら医学部へ行けますか?」「絶対に無理だ」「それなら自分で勉強したいので明日から学校に来なくていいですか?」これを認める先生方もたいしたものだ。須磨家の出した条件は国立以外は大阪医大だけ。大阪医大を受験し1000人中80人に入ってしまった。
心臓外科医の竹内教授にかわいがられたのに、試しに受けた虎ノ門病院に合格し一般外科の研修医になる。初期研修の成績が認められ有給の後期レジデントへの延長を持ちかけられたと思ったら、順天堂大の胸部外科教室に入り心臓外科として又一から研修医となる。そして当時の教授が異動する際に竹内教授に呼び戻され大阪医大に戻った。わざわざ遠回りしているように見えるがこれが後に新たな術式を生み出す元になっている。
人口心臓を見たいとユタ大学になぜか夫人の伝手を頼って紹介してもらい留学を決め、心臓外科の最新の世界を見て来たことで35歳にして冠状動脈バイパス外科のヘッドに大抜擢されると、近傍の開業医に患者の紹介を依頼し次々と評判を読んで年間20例ほどだったバイパス手術が4年後には年間100例を超える。当時の関西の2大巨頭である京大も阪大もせいぜい数十例の時代だった。89年に三井記念病院に移るとバイパス手術だけで年間200例を超える日本一バイパス手術をする病院になる。
バイパス手術には足の静脈を使うのが一般的だったが後に手術後の予後を調べたところ移植した静脈がぼろぼろになっていることがわかった。静脈より一桁高い血圧のかかる動脈のバイパスには動脈を使う方が良いのだがなかなか手頃な血管がない。須磨の留学はちょうどこの転換期にあたっており、内胸動脈を使う方法は出て来ていたが左右二本しかなく届く範囲も限られている。そこで須磨が選んだのが横隔膜を切って胃大網動脈をつなぐというアイデアだった。通常外科であっても胸部と腹部は専門が分かれているため心臓手術のために開腹するというのは盲点らしく誰も思いつかない。一般外科で修行していたこともあるのだろうがきちんと論理的な筋道にそって得た結論のように見える。しかし当初はこの術式を発表しても聞いた方は口あんぐりという状況だった様だ。
その後もベルギーでこの手術の公開手術を受けて立つ。新しい術式を広めるのが目的だがただ手術に成功すれば良いというのではなくもっと良く見せろという様な注文が飛んでくる。もし失敗したり手技が下手だったりすればもう相手されなくなるのでリスクも高い。日本最初のバチスタ手術にしても成功率は元々高くなく、手術自体は成功したものの患者は術後肺炎で死亡してしまう。それでもすぐに二例目の手術を執刀する。「この手術には二つの命がかかっていた。患者の命とバチスタ手術の命だ」と語ったわけは心臓移植ができない場合放っておけば長くない命を延ばせる可能性があるのがバチスタだからだ。後に病変位を特定して切除したり、切らずに縮小して縫い縮めるスマ手術と言える術式に進化させている。
須磨が見た地獄の答えはこの本にはないが恐らくこの1例目を乗り越えたことじゃなかろうか。 -
☆☆$$ミステリーでなく、ノンフィクションだが面白く読めた。$$須磨さんのすごさが存分に伝わる1冊。$$医者はすごくつらい職業であることを痛感。
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日本で初めてバチスタ手術を行った人のお話。
ひとつの新しい技法が認められるまで本当に大変なんだな~。
責任問われたりバッシング、皮肉…それでも人を助けたい思い。
頭が下がります~。 -
「チーム・バチスタ?バチスタ手術?何やそれ」というわけで、とりあえずその日本での第一人者である須磨久義先生についてのこの本を読んでみることに。
まず読みやすさに驚いた。医療関係ときくと、もしかしたら途中ギブアップするかもな、と思ってたけど、苦もなく完読。
須磨先生の冒険物語のような人生も面白かった。なぜうまいこと転換期がやってくるんだろう。いや誰でも転換期は訪れていて、それに乗るか乗らないか、と海堂氏が言うことに確かに、、とか思わされたり。
もちろん手術の成功は輝かしい。だが挑戦するそのこと自体がすごいのだと考えさせられた。
地獄を見る、そしてその地獄を忘れる、それが一流というものだ。 -
世界的に有名な心臓外科医、須磨先生を「チーム・バチスタの栄光」等で知られる作家の海堂先生が取材して書かれた1冊。須磨先生のこれまでの人生、軌跡を追うと同時に、公開手術という世界、難手術を実際行うまでの倫理委員会や厚生省への手続きなど病院側のさまざまな努力等、ふだん一般の私たちがなかなか知ることのない貴重な内容も学べた。そして何よりも、技術のすごさもちろんだが、とてつもないプレッシャーを超えて、難手術を行う須磨先生のタフさ、ポジティブさ、決断力が圧巻。ひとえに「ひとを助けたい」という想いの強さに胸うたれる。超一流の方の、生き方、考え方、姿勢を学べるすばらしい1冊。
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外科医 須磨をリスペクトしているのだろうが、面白くなかった。
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抜きん出た人生を歩む人は己に素直で己の思うままに確固たる信念を貫く。そして人間性も豊かで常に自己を高め他人を否定せず、全力を尽くす。
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日本で初めて、バチスタ手術を成功させた、実在する医者の話。(バチスタ手術とは、心臓が肥大してもとに戻りにくい、拡張型心筋症の治療法で、心臓の一部を切除する手術)ドラマで、水谷豊が主人公だったので、本の方も読んでみた。そういえば、この本を読んでいた時期、医療小説にはまっていたなぁ(笑)私は、医療技術に詳しいわけではないが、この医師のすごいところは、海外で功績を納めているにもかかわらず、日本にやってきたことだ。当時、心臓移植でさえ難しかった日本で、バチスタ手術を試みるとは!たしかに、移植手術ができないからこそ、バチスタが必要だったのかもしれないが、かなりの批判を受けたに違いない。ドラマでは、かなりあっさりと描かれていたが、実際は、あんなに順調な道ではなかったであろう。とても尊敬する。それでも私は、医者嫌いである(笑)
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個人的に実在の人物を描いた作品は苦手なのだが、この作品は不思議と読みやすかった。
人間的に魅力があるのだろうか?
海堂さんの小説に出てくる人物のように、まさに神がかったようにサクサクと一つのステージから次のステージへと駆け上がっていく。
彼が作り上げた病院は、子どもたちに社会科見学などで大人の働いている姿を見せることを出来るという。ひいてはいずれ医師を目指す子どもの為、もしくは自分がいつかは入るかもしれない医療のことを考える為――。医療も幼い頃から教育の一環とすることも必要なのかもしれないとふと思う。 -
オリジナルはこんなスゴイひと!
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凄まじい生き様を見た。
「一人前になるには地獄を見なければならない。だけどそれでは所詮二流です。一流になるには、地獄を知り、その上で地獄を忘れなくてはなりません。地獄に引きずられているようではまだまだ未熟ですね」
道の領域を切り開き続けてきた超一流の医師が発する言葉は、鋭く私の胸を突いた。 -
外科医須磨久善の輝ける足跡をダイジェストで辿る。
医師が最前線にあって何を思い前に踏み出しているのか。
別世界の話で面白かったです。
人間の命を握ってしまうか、会社のデスクでマウスを握るかの違いはあってもその根っこは同じ。
いかに合理的思考と想像力で最善の状態を導き出すか。
失敗を成功への糧として前を見て歩めるか。
須磨氏のナイフのごとき鋭い思考と迷いのなさは爽快です。
後の方で筆者も書いているのですが、「この医師の光の部分しか書いていない」
シャープな頭脳と努力し続ける才能、加えて天にまで愛されているがごとくの快進撃のみがつづられています。
本人が書けば自慢話なのですが、ほとんど崇拝者のような他者が書いていることと、筆者の軽い筆致により、嫌みなく読めます。
葉山ハートセンター。行ってみたいな。 -
そうか、そうだったのか、うなずくばかり
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2012/10/30
マクドナルド -
初めてこの人の名前を聞いたけど、
医龍のドラマとチーム・バチスタの栄光の医療監修
やってたみたいでびっくり。
確かにこの2つの医療監修務めるには最適の人物だと思いました。
新しいこと・出る杭を嫌うネガティブな日本の国民性をもどかしく思ったり、
どんどん新しいことを受け入れるポジティブな欧米の国民性を
羨ましく思ったり、
医療のの専門の細分化に疑問を持ったりしましたが、
一番印象に残ったのは”いつでも初心を忘れない”という
今まで何度も耳にした言葉でした。
最先端医療を開発・活用してもそれはなんのためなのか、
医療とは、ということを常に念頭に置いて進んでいる。
妥協せず、進取の精神に富んでいる。
この人は「病院とは人生を取り戻すための舞台だ。
単に壊れた部品の修理工場というだけではなく、
価値観を見直すためのステージでもある。」
と考え、だから自分の病院を作る時、
「黄泉の世界に旅立つ死人と、
治癒し社会復帰していく生者のために、
立派な舞台を作りあげたい。」
と願った。
そう考えると、私が看護師も、その一端を担う重要な役割なのだと
改めて感じました。 -
〈内容〉“海堂ワールドの新展開、外科医の謎に迫る。” 世界的権威の心臓外科医はいかにして誕生したのか。旧弊な学界から若くして認められるため、どんな奇策をとったのか。現役医師作家にしか書けない、医者の秘密。
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こんなに色々な所へ行って、新しいことに挑み続ける医者がいらっしゃったのか、と思った。
存在感が圧倒的。 -
海堂尊の小説に出てくるスーパードクターが現実にいることを知って衝撃を受けた。まさにリアル桐生であり天城。
破境者として常識を打ち破り、その後ろに人を率いて進む姿は圧巻。
こういった人物が活躍できる日本になってほしいと
思う今日この頃。
まあ、凡人はこういった人物の足を引っ張ることをせずに
つつましげに生きて行きたいと思う。 -
ノンフィクションでしたが、この方の人生があまりにも劇的なのか、それとも著者の腕前なのか、いずれにしても楽しめた。
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海堂を有名にしたバチスタ手術。
そのリアル版だと思うと間違いないでしょう。
読み物としてはやっぱり堅いです(苦笑) -
田口・白鳥シリーズではなくて今回はノンフィクション。
なんと日本で最初にバチスタ手術をした人物。
著者のテレビドラマの監修もしてる。
考え方が凄すぎる。 -
なんとまぁすべてが上手くいく人なのか。ホントの天才はこういう人なのだろうなぁ。ただただすごいなぁと感心するばかり。
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いつもの小説ではなく、ノンフィクションもの。
水谷豊さん主演でドラマ化もされた作品だったので、ついつい勘違いして読んでた。 -
専門を何にしようか悩みながら手にとったドキュメンタリー。リアルブラックジャックな世界に憧れてしまう。ただあくまでいいところしか書かれていないので個人的には権力金女暴力などのエピソードをもりこんで欲しかった。本当にないのかもしれないが。
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狭心症と心筋梗塞の虚血性心疾患のため胃大網動脈冠状動脈バイパス手術という新しい術式を編み出し、それだけでなく日本にバチスタ手術を取り込み、さらにそれの精度を高めたSAVE手術を考案したすごい外科医さんの半世紀。
無駄なことをしなければ手術時間は短縮できる、日本人は飛び出ると駆け抜けだとか叩かれるのはどうなのかねって、それを当たり前に出来ちゃうのがすごいです。
一度はローマで暮らそうとも思うが、心臓移植しか解決の手がないから日本にこそバチスタ手術が必要だ、と持ってきてくれたのがまたかっこいい。
バチスタ読んで桐生さんにかなり共感したみたいで、似ているのかしらとワクワク読ませてもらいました! 張り合っちゃう吉川さんもかっこいい(笑) -
こんな素晴らしい外科医が日本にいらっしゃったとは知りませんでした。
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須磨氏の功績に鳥肌が立った。
努力を惜しまない天才。苦境な事態をもチャンスに変える
力量は、努力の賜物か。
■役に立つ人間になること。何も立派な医師になろうなんて
がんばる必要はない。スタッフから必要とされる、有用な
人間になればいい。
■一人前になるには地獄をみなければならない。だけど
それでは所詮二流。一流になるには、地獄を知り、その
上で地獄を忘れなくてはならない。地獄に引きずられて
いるようではまだまだ未熟。