- Amazon.co.jp ・本 (98ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062155861
作品紹介・あらすじ
益川教授は、にこやかに語りかけます。「新しい時代を生きるみなさんには、世の中の変化を読み取る力というものが必要です。ぼくはこの本で、将来みなさんが熱中できる対象を発見するための、ヒントのようなものを伝えていきたいと思います。さまざまなことに好奇心を燃やして、いったい自分が本当に好きなものは何なのか、それをフラフラしながら探すことの楽しさ、大切さについて、いっしょに考えていきましょう」
感想・レビュー・書評
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93ページのあっというまに読める本。益川先生の中学生へのメッセージは、あまり早くから目標を決めてしまわず、フラフラと、その時々で一番興味のあることに全力でやっていけ、といったところだろうか。スティーブ・ジョブズが伝説のスピーチで言っていたことと似ている。
これを見て思うのは、子供にとってやはり親や先生の存在が大事だということ。益川先生にとっても科学への興味のきっかけとして、父親が銭湯の行き帰りに語る科学話があったとのこと。父親は商人だが、科学大好き人間。こういうのが大事なんでしょうね。親が好きなものに子供は興味を持つのでしょう。
あと、学生時代益川先生が強い憧れをもった人はガロアであったとのこと。やはりガロアは人気ありますね。私も大好きです。 -
15歳の寺子屋 その2
タイトルどおり、というかこの本の内容もフラフラしている。前半はただの自伝。
強いるという字を使う「勉強」よりも、知る楽しみという語源を持つ「study」のほうが好ましいって。なるほど!物事は正しい名前で呼ばなくちゃね -
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益川 敏英
1940年、愛知県名古屋市中川区生まれ。実家は、家具製造業、砂糖問屋などを営む。名古屋市立向陽高校を経て、58年、名古屋大理学部に入学。67年、名古屋大大学院博士課程修了。73年、京都大理学部助手の小林誠氏とともに、CP対称性の破れとクオークが6つあることを予言した論文を発表し、その後、この理論はつくば市の高エネ研による実験などで裏付けられた。東京大原子核研究所助教授、京都大基礎物理学研究所教授などを歴任し、2003年、退官。現在は、京都産業大理学部教授。08年、「小林・益川理論」による物理学への貢献で、ノーベル物理学賞を受賞した。
父は家具職人の修業をしていたころ、電気技師を目指して、早稲田大学の通信教育を受けていた時期がありました。小学校しか出ていなかったため、数学のサイン、コサインのあたりでつまずいて、結局、断念したのですが、電気や機械技術などの知識は豊富で、科学全般に強い関心を持っていました。近所でも「もの知り」で通り、 「下町のエジソン」なんて呼ばれていたこともあったらしいんです。本人もそれが自慢で、ぼくに向かってあれこれ知識を披露していましたよ。
本がギッシリ詰まった棚の中から適当に抜きだして、パラパラと頁をめくります。 すると突然、震えるような感動がわいてきました。それまで、本といえば教科書しか開いたことのなかったぼくでしたが、開いた頁に載っているカラフルな図版や、びっしり書きこまれた文字を見て、いままで感じたことのない胸の高ぶりを覚えたんです。
学校では授業中も授業と関係のない本ばかり読んでいました。ぼくは授業中に眠るということができません。いまでもそうですが、聞いている話がつまらないと、ついついべつのことを考えてしまうんです。で、机の中に本を置いて、読書。さすがに小説はマズいと、数学の参考書や化学の問題集などを読んでいました。英語の時間は読書もしたし、「内職」にも精を出したなあ。授業がはじまるやいなや、数学の問題集を開き、問題を解きながら時間を潰していました。
このころから古本屋に熱中しはじめます。図書館通いだけでは物足りなくなったんです。鶴舞公開の近くに三、四報の古本屋があり、そこをぜんぶ載いてから、さらに足を延ばし、市内の古本屋をじっくり見て回るのが大きな楽しみになりました。
で、そのおカネを握りしめて古本屋にすっ飛んでいくんです。小遣いのほとんどが本代に消えました。当時愛読していたのは、戸鵬配歩や脊川歡之作の小説でしたが、数学や物理や化学の古本を買いこむこともありました。いまのように本や雑誌が大量に出回っている時代ではなかったので、戦前に書かれた理科系の本が古本屋の店先にころがっていたりしたんです。それも、とびっきりの安さで。
「あこがれ」という点では、数学の授業で「昔、こんなすごい人たちがいたんだ」 先生が話してくれた何人かの数学者たちにも、ぽくは強く心を惹きつけられました。 そのひとりがフランスの数学者、エヴァリスト・ガロア(一八一一〜三二年)です
二年生の終わりになって大学進学を決意したのは、もっと数学や物理の勉強をしてみたいと思ったのが最大の理由ですが、大学に行けば、父から「店を継げ」とうるさく言われなくてすむから、という気持ちも少なからずありました。 しかし、父はぼくの大学進学に反対です。母がぼくの味方をしてくれたおかげで、 なんとか大学受験の許可はおりましたが、受験は一回だけ」「名古屋を出ることはあいならん」という条件がついてしまいました。
父はぼくが大学生になってからも、家業を継がせることをあきらめず、大学時代の四年間も、言いあらそいが絶えませんでした。ようやくあきらめてくれたのは、大学院にすすみ研究者としての道を歩みはじめてからのことです。
議論に熱中するあまり、「おまえとは絶交だっ!」なんてケンカ別れをしても、 二、三日するとまた平気で議論していました。そんなふうにして生まれた信頼関係は、一生続くほど強い絆を育んでくれます。みなさんも、ぜひ、友だちどうしで議論することの大切さや楽しさを、これからの学生生活で身につけてほしいですね。
なぜ、この程度のことが発明王エジソンにわからなかったのでしょうか。それは彼が高等教育を受けておらず、交流の仕組みを理解する数学的な知識がなかったからです。エジソンの失敗は、科学の世界ではいくら天才的な頭脳の持ち主で、鋭いヒラメキを持っていても、基礎的な知識がないとうまく活かされることはない、ということを教えてくれます。基礎的な勉強をしていなかったエジソンが「発明王」になれたのは、彼が、科学がまだ未発達だった十九世紀の人間だったからなんです。 -
この本の価値は最後の方にある。
益川さんの自伝的部分は興味深いとはいえ、本当に頭のいい人はきっとこうなんだろうというエピソードで、とりたてて面白いわけではない。
益川さんが幼いころの戦争体験から、科学者は平和に貢献しなければならないという決意を表明したのは素晴らしいと思う。 -
図書館で借りた。頭がいい人は違う
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15歳のこどもに向けて書かれているが、98ページなので読み易く、大人にもしっかり入ってくる。
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益川敏英の本。まぁまぁ
クラウゼヴィッツ 「戦争論」 -
15歳くらいの子どもたちに勧めるには良さそうだ。
本の厚みもさほどなく、エッセイなので読みやすい。
「ノーベル賞をもらった先生」と考えると堅そうだが、文章と人柄は可愛らしい。
当時インタビューにて「うれしくない」と語った先生。
「あまのじゃくだなぁ」と当時は思いましたが、その本音を読んでなるほど。
「若い頃は興味を絞らす、フラフラしてもいい」
思わず自分に置き換えて勇気づけられました。