ともしびマーケット (100周年書き下ろし)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 85
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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062156288

感想・レビュー・書評

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  • ともしびスーパーマーケット鳥居前店で見かけるたび
    必ずネスカフェの大瓶を、孫をあやすように右腕でだっこして
    時折り「おおよしよし」といわんばかりに揺すりながら歩いている、ネスカフェおばさん。

    わたし、気になります!
    と、某人気小説のヒロインじゃないけれど、
    冒頭から、もう気になってしょうがない謎のこの人物!

    札幌のともしびスーパーマーケット鳥居前店に集う人々の
    なにげない日常を描く9篇の連作短編集なのですが

    「いい日、一日、ネスカフェ一本」をモットーに(とてもいい日は二本買うらしい)
    いい日の証が積もり積もって10本になると、「ボランティアン♪」と称して
    老人ホームにゆうパックで送りつける月足さんが傑作です!

    この素敵なネスカフェおばさん月足さんをはじめ、
    恋という一大事に、靴屋のこびとが走り回る音を胸の中に聞きながら
    金髪に染めることに始まるバレンタイン大作戦を決行しようとして
    悉く不器用に失敗する、ネスカフェおばさんの姪、シズク

    ひきこもりから脱却するため、とりあえず自分の通帳を作ろうとして
    「あたしがあたしだって証拠」を提示できないことに愕然とするまひろ

    もやし、たまねぎ、ラム肉、ビールと、いちいち復唱し、行儀よく行進しながらカゴに入れ
    売り場で知り合った女性まで当然のように仲間に入れて夜の森に分け入り
    ジンギスカンをつつきながらの花見を始めるのっぽ、ちび、太っちょの三人組

    と、ちょっとだけ世間とズレた雰囲気の愛すべき人たちが淡々と描かれ

    8篇めまでに登場したみんなが、
    ともしびマーケット前で、恋人の怒りをかっておつかいに出された大悟の愚痴に
    「土下座だわね」 「土下座だな」 「土下座でしょうね」と
    口ぐちにつっこみを入れる9篇め、
    ほのぼのと温かい共感が生まれるラストシーンにほっとする
    北海道らしいおおらかさに満ちた作品です。

    • まろんさん
      これを読んで以来、スーパーに行くと
      買いもしないのについ、コーヒーの棚でネスカフェを見てしまう。。。

      このおばさんが気になってしょうがない...
      これを読んで以来、スーパーに行くと
      買いもしないのについ、コーヒーの棚でネスカフェを見てしまう。。。

      このおばさんが気になってしょうがない女性が
      おばさんの家にうず高く積まれるネスカフェを想像するシーンもケッサクよ♪
      2012/08/27
  • 朝倉かすみさんの作品を読むのは、田村はまだか、に続いてこれが二つ目。
    淡々とした静けさ、川上弘美さんのような少しレトロで綺麗な言葉つづり。
    本作品は、北海道のマーケットに集まる人たちを視点をかえて書かれたもの。
    どこか奇妙な人たちなのに、なぜか愛しい。
    特に、しずくちゃんのバレンタインのエピソードと、最後のダメ男に群がるかつての主人公たちが爽快。
    夕暮れに、知らない町を歩いているような心細さを感じるけれど、きちんと帰り道がわかるような、寂しいけど明るいそんなお話。

  • あまり難しく考えず、
    平凡な日常をつらつら読みたい時には良いかも。
    刺激を求めている場合は物足りない。

    それぞれの短編の中で、
    魅力的なキャラもいれば素通りするキャラもいる。
    それが日常を反映していておもしろい。
    最初に登場するネスカフェおばさんが妙に気にかかっていたら、
    いろいろなところでひょこひょこ顔を出すので、
    もしかしたら作者さんもお気に入りだったのかなと思った。

  • ともしびマーケットを中心とする短編集。
    登場人物がマーケットにつとめていたり、常連だったり
    マーケット勤務の人の家族だったりして、話と話が絡み合い
    (あっこっちの登場人物がこっちに出てるとか、そういうの
    見つけるの大好きなので読みごたえがあった。)
    最後の章ではほとんどすべての登場人物が登場して
    大円団という感じでエンターテイメント制のある物語として
    よく出来ていたと思う。何度も読み返せる本か?というところが
    うーん、もう1回くらいは読むけど、かみしめるような面白さと
    いうわけではないので、繰り返しは読まないかも。なので★4つ。

  • 少し前に「田村はまだか」で話題になった朝倉さん。
    「田村はまだか」はかなり期待して読んだけど・・・。
    気を持たせる割にオチがいまいちだったので、残念。

    で、朝倉作品に再チャレンジ。

    最近、短編が少しずつつながって、最後にまとまる〰という小説を読むことが多くて。意識的にそうしてるわけではなく、たまたまなんやけど。
    この作品もそんな小説。

    ともしびマーケットで買い物する人々や、働いている人々が少しずつつながっていて、最後に強引にまとまるお話。

    途中まではまあまあおもしろかったけど、ラストのまとめが強引すぎて、ちょっとひいてしまった。

    小説の雰囲気は好きなんやけど、あとちょっと展開がほしいなあ。

  • 「100周年書き下ろし」と書いてあるが…何がだろう??  読んだ事、ありそうでなかった著者の作品。ともしびマーケットというスーパーが出てくる短編集だが、、なんだか舞台みたい。ラストに全員集合するあたりが。

  • 札幌の実在するスーパーを想像しながら読んでしまった。

    学生時代よく足を運んだスーパーだったのでなんだか懐かしい気持ちになってしまった。

    スーパーにいる一人一人に物語りはあるんだなぁ。。。

    2017.5.23読了

  • 再読。内容を忘れていたので読み進めた。

    内容
    北海道にあるスーパー、ともしびマーケット鳥居前店にまつわる連作集。
    ネスカフェをかかえる未亡人。新婚で転勤してきた主婦。精肉部門の中年女性、ヴァイオリンが趣味。片思い中の中学生女子…。

    全文に結末があるわけじゃない。朝倉作品の中では毒が薄め。スーパーってもともと誰にでも間口を開いてくれている場所だから、淡々とした物語に合うんだと思う。静かにちょっとづつ読んだ。

  • 誰かの「いい日」に、ともしびを。
    たくさんの買い物客がうごめいています。
    みんなあんなに生きている。
    スーパーマーケットの白くあかるい照明にひとしく照らされている。
    (アマゾンより引用)

    『ともしびマーケット』というスーパーを舞台にしたオムニバス短編。
    読みやすかったし、ほんわかした(*´∀`*)

  • 図書館で手に取り、読む。

    ネスカフェおばさんの印象が強くて、この本といえば、ネスカフェおばさんを思い出しそう。

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著者プロフィール

1960 年生まれ。北海道出身。04 年「肝、焼ける」で第72 回小説現代新人賞、09 年「田村はまだか」で第30 回吉川英治文学新人賞、19 年「平場の月」で第35 回山本周五郎賞受賞。

「2021年 『ぼくは朝日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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