獣の奏者 (4)完結編

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (434ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062156332

作品紹介・あらすじ

王獣たちを武器に変えるために、ひたすら訓練をくり返すエリン。-けっしてすまいと思っていたすべてを、エリンは自らの意志で行っていく。はるか東方の隊商都市群の領有権をめぐって、激化していくラーザとの戦の中で、王獣たちを解き放ち、夫と息子と穏やかに暮らしたいと願う、エリンの思いは叶うのか。王獣が天に舞い、闘蛇が地をおおい、"災い"が、ついにその正体を現すとき、物語は大いなる結末を迎える。

感想・レビュー・書評

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  • 冒頭で3巻のレビューで書いたことがほぼまんま書かれていて「やっぱ、わしすごくね?」とひとりで喜んでいたら、さらにあとがきで『獣の奏者』は「歴史の物語」だとの記述があって震えました
    さすがカリスマレビュアーです
    もう上橋菜穂子さんの生まれ変わりと言っていいのではないでしょうか(失礼だしそもそも生きてるし)

    人の世が続く限り絶えることのなかった「争い」をなくすために為すべきこととはなにか
    そんなことを問い続ける物語でもあったのかなと思います
    人々が獣たちから学ぶことも一つの解決策なのかもしれません

    生き物たちは縄張り争いのように群れを守るための小規模な争いが起こることはありますが、お互いの群れに大きな損害を与えるような争いはうまく避けるように出来ているように思います
    強者が弱者を襲うような場合でも相手を完全に滅ぼすようなことにはなりません

    野の生き物たちが備えているストッパーのようなものを人は持っていないような気がします
    元々持っていないのか?どこかでなくしてしまったのかは分かりませんが、人々の知恵によってそのストッパーを持つことができるのではないか
    そんなことを感じた物語でした

    • ひまわりめろんさん
      あきさん

      深くみせてるだけで激浅です
      騙されましたね
      あきさん

      深くみせてるだけで激浅です
      騙されましたね
      2023/03/02
    • ひまわりめろんさん
      一休さん(誰?)

      はいもうあらゆる穴全開でいきます
      一休さん(誰?)

      はいもうあらゆる穴全開でいきます
      2023/03/02
    • 1Q84O1さん
      すきすきすきすきすきすき
      あいしてる
      すきすきすきすきすきすき
      一休さん♪

      ひまわり師匠、ほんと誰?ですよ!
      穴閉めといてください!w
      すきすきすきすきすきすき
      あいしてる
      すきすきすきすきすきすき
      一休さん♪

      ひまわり師匠、ほんと誰?ですよ!
      穴閉めといてください!w
      2023/03/02
  • (2015年4月19日 再読)

    「闘蛇編」「王獣編」で完結した物語の続編とは思えないほどのスケール感で、「獣の奏者」の世界は4巻での完結に相応しい物語だと思う。

    でも、あの結末はやっぱり悲しすぎて厳しすぎる。
    物語の落としどころとして、ああいう決着のつけ方が避けられなかったのかもしれないけど、でも。

    「見つけたことを伝えるために、死に物ぐるいで生き抜く」というエリンの言葉通り、あの場で命をかける選択をしないでほしかった。
    音無し笛を吹く前にどうにかしてリランの耳を塞いで生き延びてほしかった。

  • 読み終わっちゃいました。
    ご都合主義のハッピーエンドじゃないことは知っていたけど、切ないなぁ。

    過去から学び、使わないことを選んだ物語のなかの人間。
    現実は、その脅威を知っていてもなお、持ち続けることを選んでいるわけで。
    考えさせられます。。。

  • 物語が完璧な形で終わった。
    人と獣との交わり、人として成長していくエリンやジェシ達の姿が見れて本当に面白かった。
    ファンタジーの世界やけど、どこか現実味があり、現実世界と繋がりも見え、考えさせられることが多々あった。

  • 圧巻の読み応え。
    なんといっても、最後の方はジェシが大人になってエリンの話を伝えていく…。ファンタジーでは言い表せない物語です。生について深く考えさせられました。涙なしには読めないです。

    一番印象に残ったのは、エリンとイアルのリンゴの木です。

    この物語は、本当に考えさせられる。

  • 1,2巻でも十分に完結していた物語でしたが、全4巻通してみると、ここまで描かれて「王獣」と「闘蛇」、エリンの物語がすべて幕を下ろしたのだと実感として納得することができました。書かれるべき「その後の話」だったと思いました。
    結果としてはあまりにも哀しいものが残ってしまいましたが、そのための決断はけして絶望からではなく、希望から導いた答えでした。だから、辛くとも皆前を向いて歩き出せたのではないかとも思ったのでした。それでもやはり、中盤の親子・夫婦のふれあいの挿話は先に待っている未来への諦観を感じさせて、切ないばかりでしたが…。普通の幸せがあるということの大事さを、もっと感じて生きなければいけないなあと感じたり…。
    ……とにかく、全4巻、堪能しました。子供も大人も関係なく、広く読んでもらいたいです・・・!

  • なんとなく評判がよかったので、手を出してみました。
    闘蛇編と王獣編で一度完結しているとは知らず、
    4巻全てつながっていると思っていたので事の真相を知った時は驚きました。
    だって、王獣編の結末は、あまりにもあっけないというか
    そこで終わらせるの?!と叫びたくなったから……。

    それでも続きがあるなら、と気にせず読み続けたのですが、
    王獣編までのめりこんでわくわくしながら読んでいただけに
    あの結末がショックで……正直、読んだ事を少し後悔しています。

    けれど素晴らしい作品である事には間違いはありません。
    重厚に作られた世界観は言わずもがな、
    さすが文化人類学者だと唸らされたのは精霊の守り人シリーズでも同じです。
    そして人の性、親子の愛、進むべき道への激しい苦悩と
    それでもなお諦めずに道を探そうとする姿は本当に強くて美しいものだと思います。
    多少伏線が回収されなかろうが全く気にならない程度です。

    ただ……私には、エリンも、イアルも、そしてジェシですらも、
    あまりにも「強すぎて」深くは感情移入ができなかった。
    英雄を崇めるように彼らをすごいとみる事は出来ても、
    心から愛しいと思える旧友のようには感じられない。
    上橋さんの作品は一通り読んでいるのですが、
    どれも「すごい」とは思うもののいまいち好きにはなれなかった理由が
    獣の奏者を読んで理解できました。
    人は、もっと弱くて情けなくて、逃げ出してもいい……。
    その点、上橋さんは登場人物たちにたいして強くて厳しすぎる、と感じてしまう。
    それがまた上橋さんの良さでもあるとは思うのだけれど、
    私とは少々合わないのが残念です。

  • 迫力の完結編。
    国境を脅かす異民族ラーザは、川を遡って攻めてきます。
    はるか東方の隊商都市の人々は、ラーザに味方する者もでてきます。
    もとは征服者のリョザ神王国を異質な存在と感じ、必ずしも味方ではなかったのでした。
    しだいに事態の渦中へと否応なく運ばれていくエリン。
    王獣を操れる唯一の存在として、母国からも保護だけでなく監視もされる、各国から狙われる立場に。
    「残された人々(カレンタ・ロゥ)」に過去に起きたことの事情を聞きに行くことがかなわないと知り、王獣の訓練を続けます。
    夫イアルは王獣を戦場に出さずに済むようにと願って、闘蛇乗りに加わることに。
    危険な任務のために家を離れることを、一度は泣いて反対したエリンでしたが。
    王獣保護場のカザルム学舎で学ぶ一人息子のジェシ。
    幼いジェシが母の書いた物を読み、母が死を覚悟していると知った悲しみ。
    決戦を前にして休暇を貰ったイアルは、息子のうって変わった様子に驚きます。
    過去の伝承が真実なのか、命がけで突き止めようとしたエリン。
    家族との幸福を取り戻し、ジェシの未来を切り開くために‥
    理由を説明しないままの禁忌ではなく、事実を知らしめることで、今後の方針にして欲しいと願ったのです。
    そのとき、何が起きるのか?
    真王セィミヤ、大公シュナン、シュナンの妹オリ、側近のヨハル、ヨハルの養子で楽師のロラン、隊商都市の示道者クリウ。
    それぞれの立場で苦慮し、決断していきます。
    はるかな土地でひっそり暮らしていて、謎の連絡を受け取った民も‥
    劇的なシーンから、必死の家族、悲痛な出会い。
    意味ある悲劇へ、そして静かな年月の平和へ。
    それぞれの勇気と、家族の絆が心に残りました。
    何度も読み返すには哀しすぎますが、破綻のない構成と確かな筆致には感嘆。
    完成度が高く、印象深い作品です。

  • 全てを知りたいと願った少女は妻となり、母となり、全てを守り抜いて生きると誓った。

    これはある女性の、『信念』を描いた物語。時と共に忘れ去られた知識を掘り起こした者の過酷な運命。

    児童書のスケールでは計り知れない話の重厚さ。まさに大人の読むファンタジーであると言える。

    訳わからないことを書いているのは、これを書きながら半泣きになっているから。

  • エリンの最期についてはそれほど多くは書いていないが、ハッピーエンドでなかったことが救いである。
     闘いを闘いでなく描くことの難しさがある。

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著者プロフィール

作家、川村学園女子大学特任教授。1989年『精霊の木』でデビュー。著書に野間児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞ニッポン放送賞を受賞した『精霊の守り人』をはじめとする「守り人」シリーズ、野間児童文芸賞を受賞した『狐笛のかなた』、「獣の奏者」シリーズなどがある。海外での評価も高く、2009年に英語版『精霊の守り人』で米国バチェルダー賞を受賞。14年には「小さなノーベル賞」ともいわれる国際アンデルセン賞〈作家賞〉を受賞。2015年『鹿の王』で本屋大賞、第四回日本医療小説大賞を受賞。

「2020年 『鹿の王 4』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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