獣の奏者 (4)完結編

著者 :
  • 講談社
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レビュー : 418
  • Amazon.co.jp ・本 (434ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062156332

作品紹介・あらすじ

王獣たちを武器に変えるために、ひたすら訓練をくり返すエリン。-けっしてすまいと思っていたすべてを、エリンは自らの意志で行っていく。はるか東方の隊商都市群の領有権をめぐって、激化していくラーザとの戦の中で、王獣たちを解き放ち、夫と息子と穏やかに暮らしたいと願う、エリンの思いは叶うのか。王獣が天に舞い、闘蛇が地をおおい、"災い"が、ついにその正体を現すとき、物語は大いなる結末を迎える。

感想・レビュー・書評

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  • (2015年4月19日 再読)

    「闘蛇編」「王獣編」で完結した物語の続編とは思えないほどのスケール感で、「獣の奏者」の世界は4巻での完結に相応しい物語だと思う。

    でも、あの結末はやっぱり悲しすぎて厳しすぎる。
    物語の落としどころとして、ああいう決着のつけ方が避けられなかったのかもしれないけど、でも。

    「見つけたことを伝えるために、死に物ぐるいで生き抜く」というエリンの言葉通り、あの場で命をかける選択をしないでほしかった。
    音無し笛を吹く前にどうにかしてリランの耳を塞いで生き延びてほしかった。

  • 圧巻の読み応え。
    なんといっても、最後の方はジェシが大人になってエリンの話を伝えていく…。ファンタジーでは言い表せない物語です。生について深く考えさせられました。涙なしには読めないです。

    一番印象に残ったのは、エリンとイアルのリンゴの木です。

    この物語は、本当に考えさせられる。

  • 迫力の完結編。
    国境を脅かす異民族ラーザは、川を遡って攻めてきます。
    はるか東方の隊商都市の人々は、ラーザに味方する者もでてきます。
    もとは征服者のリョザ神王国を異質な存在と感じ、必ずしも味方ではなかったのでした。
    しだいに事態の渦中へと否応なく運ばれていくエリン。
    王獣を操れる唯一の存在として、母国からも保護だけでなく監視もされる、各国から狙われる立場に。
    「残された人々(カレンタ・ロゥ)」に過去に起きたことの事情を聞きに行くことがかなわないと知り、王獣の訓練を続けます。
    夫イアルは王獣を戦場に出さずに済むようにと願って、闘蛇乗りに加わることに。
    危険な任務のために家を離れることを、一度は泣いて反対したエリンでしたが。
    王獣保護場のカザルム学舎で学ぶ一人息子のジェシ。
    幼いジェシが母の書いた物を読み、母が死を覚悟していると知った悲しみ。
    決戦を前にして休暇を貰ったイアルは、息子のうって変わった様子に驚きます。
    過去の伝承が真実なのか、命がけで突き止めようとしたエリン。
    家族との幸福を取り戻し、ジェシの未来を切り開くために‥
    理由を説明しないままの禁忌ではなく、事実を知らしめることで、今後の方針にして欲しいと願ったのです。
    そのとき、何が起きるのか?
    真王セィミヤ、大公シュナン、シュナンの妹オリ、側近のヨハル、ヨハルの養子で楽師のロラン、隊商都市の示道者クリウ。
    それぞれの立場で苦慮し、決断していきます。
    はるかな土地でひっそり暮らしていて、謎の連絡を受け取った民も‥
    劇的なシーンから、必死の家族、悲痛な出会い。
    意味ある悲劇へ、そして静かな年月の平和へ。
    それぞれの勇気と、家族の絆が心に残りました。
    何度も読み返すには哀しすぎますが、破綻のない構成と確かな筆致には感嘆。
    完成度が高く、印象深い作品です。

  • 終わって欲しくなかったけれど、人も獣も精一杯生きていてた。悲しくないと言ったらうそになるけど、読めてよかった。

  • とうとう全4巻読み終えてしまいました…もう、なんと表現したらいいかわからないほどで、こんなに感動する作品を読んだのは久しぶりです。
    人間の愚かさが際立つ一方で、人の、道を探し続ける力、一人が死んでも別の人がそれを受け継ぎ、多くの人がそれぞれの思いの上で考えつづける、人間という生き物の群れの力を示してくれたことで、少しだけ人に対する希望が持てた気持ちです。前巻のレビューでも書きましたが、王獣と闘蛇は核を持った現代人と重なってしまいましたから・・・
    エリンの生き方は最後まで彼女らしく、また、最後は彼女の願いであった王獣の開放が叶ったのである意味ハッピーエンドだったのかな。闘蛇も解放されればいいのにな、と思いました。
    とはいえ、私は2巻の荘厳なラストが大好きなので、実はこの結末は納得しかねます・・・悲しすぎてね・・・せめてリランだけでも耳栓してあげられなかったのかなあ。
    政治色の強い3.4巻も、読まなければよかったとは思わないし、良い作品だという気持ちは変わらないけれど、獣と人間のかかわりを多く語った2巻はずば抜けて素晴らしかった。
    気高く神々しいリランが暫く頭から離れそうにありません。

    残すは外伝のみ!
    楽しく幸せな物語が広がっていますように。。

  • 完結編。本当にすばらしく、飽きることなく一気に読んでしまいました。

    なんといっても最後のエリンの木。心臓がそれこそきゅっとなって本当にこんな風になっちゃったの?そんな…っという具合に胸が締め付けられました。

    一日たった今でも余韻に浸っています。

    ラストがこういう終わりかただからこそか、命とは、また、生きるとはなにか。
    深く考えさせられます。

  • 所々で様々な決断を下し迷いを払って突き進むエリンはいつかきっと取り返しのつかない過ちを犯すんだろうな、と思っていたらまさか死ぬまで止まらないとは…。
    道を切り開いたというよりどん詰まりにはまり込んでいったエリンは愚かだがそこに、行き着とめることのできない物事というものも確かに存在し、破壊しつくされて初めて芽吹くものもあるのかもしれない。


    ---
    「いったい自分はいつ、決定的な曲がり角を曲がったのだろう──Ⅱ部」
    「人を無知なままにして、なにかを守ろうとする姿勢が、エサルは吐き気がするほどに嫌いだ。判断は、事実を知ったあとにするものだ。事実を知らせずにおくということは、判断をさせぬということでもある。─Ⅱ部」
    嫌いだの一言で自分の意思を曲げずにいたエリンはあまりに愚かだ。30代にして子供にすぎる。しかし子供のころの過ちが少しずつ後に響き引き返せなくなってしまっている事態には教訓めいたものを感じずにはいられない。
    先人の知恵を理解できないからと軽んじてはならない。

    元は二部で完結予定だったらしいく確かに三,四部は蛇足に思えるが一,二部の疑問が解消されてほっとした。
    年甲斐もない考えなしだとか、引っかかるところが多く面白さは前半に比べて半減する。だが主人公から離れて、ジェシからの訓話として読めば感じるところのある物語だった。

  • 楽しめる作品だったけど、あまりにもメアリー・スーにかぶってて笑ってしまった。メアリー・スーテストをすると(かなり痛い作品)との評価。たぶん作者は、わざとメアリー・スーテストをベースにして書かれたのだろうが本来メアリー・スーテストとは第2次作品を客観的に評価するために用いるために使うものだからいろいろと矛盾点があって読後感がすっきりしない。まあ、矛盾点については、「作者がプロットを作らず文章を書く」と書いていたのでそのせいかもしれませんが・・・。

  • 完結編。
    とっても読むのがしんどかったです。
    知りたいという気持ちで開けてしまった扉、その先を見届ける責任はあまりにも重くて厳しい。
    ひと時の家族の温かさや学生の時の思い出の話にじんときました。辛いことばっかりじゃなかったんだ、と。
    “幸せという言葉は大きすぎる網のよう”という言葉は深いなと思いました。

  • 読み終わった後、「あぁ、やっぱりこういう結末になってしまうのか…」そう思わずにはいられなかった。切なくて、悲しくて、涙がこぼれた。
    素晴らしい作品であるのは全く疑いの余地がない。キャラクター・ストーリー・舞台設定、全てにおいて秀逸。私の生涯の読書生活で間違いなくベスト3に入るであろう作品だと思います。

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著者プロフィール

上橋 菜穂子(うえはし なほこ)
1962年、東京都生まれの児童文学作家、SF作家。
1992年『月の森に、カミよ眠れ』で日本児童文学者協会新人賞、2000年『闇の守り人』で第40回日本児童文学者協会賞、2003年『神の守人 来訪編、帰還編』で 第52回小学館児童出版文化賞、2004年『狐笛のかなた』で 第42回野間児童文芸賞受賞他、2015年『鹿の王』で第12回本屋大賞など、多数の受賞歴がある。
2014年には「小さなノーベル賞」とも呼ばれる世界的な賞、国際アンデルセン賞作家賞を受賞している。

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