獣の奏者 (4)完結編

著者 :
  • 講談社
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レビュー : 418
  • Amazon.co.jp ・本 (434ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062156332

感想・レビュー・書評

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  • 所々で様々な決断を下し迷いを払って突き進むエリンはいつかきっと取り返しのつかない過ちを犯すんだろうな、と思っていたらまさか死ぬまで止まらないとは…。
    道を切り開いたというよりどん詰まりにはまり込んでいったエリンは愚かだがそこに、行き着とめることのできない物事というものも確かに存在し、破壊しつくされて初めて芽吹くものもあるのかもしれない。


    ---
    「いったい自分はいつ、決定的な曲がり角を曲がったのだろう──Ⅱ部」
    「人を無知なままにして、なにかを守ろうとする姿勢が、エサルは吐き気がするほどに嫌いだ。判断は、事実を知ったあとにするものだ。事実を知らせずにおくということは、判断をさせぬということでもある。─Ⅱ部」
    嫌いだの一言で自分の意思を曲げずにいたエリンはあまりに愚かだ。30代にして子供にすぎる。しかし子供のころの過ちが少しずつ後に響き引き返せなくなってしまっている事態には教訓めいたものを感じずにはいられない。
    先人の知恵を理解できないからと軽んじてはならない。

    元は二部で完結予定だったらしいく確かに三,四部は蛇足に思えるが一,二部の疑問が解消されてほっとした。
    年甲斐もない考えなしだとか、引っかかるところが多く面白さは前半に比べて半減する。だが主人公から離れて、ジェシからの訓話として読めば感じるところのある物語だった。

  • なんとなく評判がよかったので、手を出してみました。
    闘蛇編と王獣編で一度完結しているとは知らず、
    4巻全てつながっていると思っていたので事の真相を知った時は驚きました。
    だって、王獣編の結末は、あまりにもあっけないというか
    そこで終わらせるの?!と叫びたくなったから……。

    それでも続きがあるなら、と気にせず読み続けたのですが、
    王獣編までのめりこんでわくわくしながら読んでいただけに
    あの結末がショックで……正直、読んだ事を少し後悔しています。

    けれど素晴らしい作品である事には間違いはありません。
    重厚に作られた世界観は言わずもがな、
    さすが文化人類学者だと唸らされたのは精霊の守り人シリーズでも同じです。
    そして人の性、親子の愛、進むべき道への激しい苦悩と
    それでもなお諦めずに道を探そうとする姿は本当に強くて美しいものだと思います。
    多少伏線が回収されなかろうが全く気にならない程度です。

    ただ……私には、エリンも、イアルも、そしてジェシですらも、
    あまりにも「強すぎて」深くは感情移入ができなかった。
    英雄を崇めるように彼らをすごいとみる事は出来ても、
    心から愛しいと思える旧友のようには感じられない。
    上橋さんの作品は一通り読んでいるのですが、
    どれも「すごい」とは思うもののいまいち好きにはなれなかった理由が
    獣の奏者を読んで理解できました。
    人は、もっと弱くて情けなくて、逃げ出してもいい……。
    その点、上橋さんは登場人物たちにたいして強くて厳しすぎる、と感じてしまう。
    それがまた上橋さんの良さでもあるとは思うのだけれど、
    私とは少々合わないのが残念です。

  • 楽しみにしていたラストだったけれど、これで・・・と残念だった。
    主人公はもっともっとやれることがあった気がして、何年後かの展開もそれは無理でしょうと突っ込みどころが満載で、ここがファンタジーの限界? と思ってしまった。
    特に、リランに耳栓を入れられなかったか。
    自分だけ飛び降りればよかったのでは。
    真王の力も借りて残された人に会いに行けたのでは?
    これでは、人が繁殖された戦蛇が無敵、ということになってしまう。誰も止められないし。

    王獣はもっと気高く、あって欲しかった。
    イアルも間に合って欲しかった。(二巻のラストのように)
    ファンタジーだからもう少し明るく・・・

    でも、すごく読みたい! と思わせる物語だった。

  • やはり。というラスト。児童書なので、分かりやすいが、「守り人」のラストを思えば、こんな感じかな。蛇足間は否めない3・4巻だったかもだが、前2巻の伏線消化にはこれだけ必要だったんだろうなあと。…分かっていても、エリンの人生には泣ける。

  • 二年経って、王獣はエリンの元で軍隊となっていた。ずっとできなかった繁殖もできるようになったり、闘蛇も改良?されたり、生き物としての研究は進んでいたけれど、決定的なことは分からないまま、戦いの時が来る。
    言い伝えられてきた通りの大災害が起きようとした時、エリンはその命をかけて街を救った。
    ラスト、あのクソ生意気なガキだったジェシが獣医となり、かつ生徒に教えていたのは胸熱。

  • 2006年に闘蛇、王獣で終わらすところを、2009年に探究、完結と時間をおいてから書いたらしい。
    最初の2作で完結しているという方も多い。

    しかし~やはり、過去になにが起こったのかを知りたいし、知らなければ、エリンのやったことに意味がなくなってしまうような気がするので、完結編を読むことができてよかった。

    エリンの母親としての立場と、王獣を慣らしてしまった責任とのせめぎあいがつらい。

  • ML 2016.8.14-2016.8.17
    この暗さは辛いな〜
    ファンタジーはもっと夢がなきゃ。

  • 3巻と4巻は、アフターストーリー。なくても良かったかな。

  • 切ない。

  • 決意を固め、王獣たちの訓練を始めたエリン。
    イアルはまた、ある決意を固め闘蛇乗りに志願し、家族はバラバラになる。
    その時にも、はるか東方の隊商都市群の領有権をめぐり、どんどんと激化していくラーザとの戦い。
    リョザのものであったはずの闘蛇をラーザも保持していることがわかり、もはや王獣を使うしかないと考える王家の者たち。

    しかし、それは絶対にやってはならないことだった。



    前作での謎が解明されていく〈探求編〉と〈完結編〉。
    何というか…やるせないです。
    どんなにそれが正しくても、一人では立ち向かえない強大な波があって、その中で守りたいものがあって、その為に何としても死ぬわけにいかないエリンがとった道。
    それしかなす術はなかったのだと思う。
    自分がいなくても、いつか誰かがやるのなら、私が。そして、必ず幕を引くのだ、とそう思う気持ちもすごくよくわかる。
    でも、それでも、他に方法はなかったのかと思ってしまう。
    ジェシを思う気持ちとリランたちを守りたいという思いは時に対立してしまう時もあって、それが切ない。


    知らないまま、隠されたままの方がよかったのか。
    この事を皆に知らせて、人を信じていく道がよかったのか…。


    次に読む時にはまた違う感想を持つのだろうか。
    いつか、また読みたい。

著者プロフィール

上橋 菜穂子(うえはし なほこ)
1962年、東京都生まれの児童文学作家、SF作家。
1992年『月の森に、カミよ眠れ』で日本児童文学者協会新人賞、2000年『闇の守り人』で第40回日本児童文学者協会賞、2003年『神の守人 来訪編、帰還編』で 第52回小学館児童出版文化賞、2004年『狐笛のかなた』で 第42回野間児童文芸賞受賞他、2015年『鹿の王』で第12回本屋大賞など、多数の受賞歴がある。
2014年には「小さなノーベル賞」とも呼ばれる世界的な賞、国際アンデルセン賞作家賞を受賞している。

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