ナンヤネンの来た日

著者 :
  • 講談社
3.50
  • (1)
  • (3)
  • (6)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 16
感想 : 5
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062156530

作品紹介・あらすじ

帰宅するとまっすぐテントにこもる12歳、愛野のところへフィンランド人の家庭教師、ナンヤネン、がやってきた。こころの暗闇に射し込む、まっすぐな愛のファンタジー。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 嫌いではない。が。
    あたい、がちょっとなぁ。

  • すらっとさらっと読めた。フィンランドについて知りたくなりました。鋭いけどあったかい。もっと若い時に読むとまた違ってたかも。

  • 新刊の棚にあったので読んでみました。
    かしわ哲さんって全然知らない方だったんだけど、読みやすくておもしろい。
    気になる箇所がいくつかありました。

    ☆気になったぶぶん

    離婚はふたりの問題ですし、フィンランドでは入籍しないで何十年もいっしょに暮らしているカップルがたくさんいます。結婚だけがすべてではありません。

    自分の世界をしっかり持っている人は、大人です。

    みんなとちがうのはすばらしいことなのです。日本人は『みんなちがってみんないい』とか『ナンバーワンではなくオンリーワン』とか口では言いますが、みんなとちがうことを、みんな恐れています。フィンランドでは、みんなとちがうことは誇らしいことなので、羨ましがられます。

    学校中を敵にまわしても、いつもでよりそって、「あなたは間違っていない魔法」をかけてくれた人。空一面をオレンジ色に描いて先生やみんなからバカにされたときでも、「あなたの眼にそう見えたのならそれでいいんじゃない魔法」をかけてくれた人。ウザいキモい死ねの集中砲火を浴びて帰ってくると、「そんな学校なんかいかなくてもいいわよ逆効果魔法」をかけてくれた人。どんなにひどい態度でも受け入れてくれて、思いもかけない希望へと導いてくれて、ときにはいたずらで、ときには逆ギレして腹を立て、ときには困らせられたけれど、けっして裏切らなかった人。
    夢野さん。あたいのおかあさん。

    こころの中に悪を宿していない人間はいません。というより、人間は、悪いほうへと傾きやすい生きものです。放っておくとどんどん悪いことを考えてしまうのです。

    邪悪なことまで願ってしまうほど夢野さんの愛は深い。

    苦しいときも悲しいときもいつもいっしょなんて、めちゃくちゃ月並みなフレーズだけど、それはあきさんのこころのずうっと奥から湧き出てきた澄んだ想いだと、愛野はかんじた。どんなに上手なシンガーでも、この澄んだ想いにあふれた歌声の前では口を閉ざしてしまうだろう。歌に嘘は通用しない。この上なく美しくうたっても、こころの根っこが汚れていたら、聴く人のこころを揺さぶらない。

    夢野「あなたがいい人すぎるから、あなたがすごく愛してくれるから、あたし、絶対誰にも渡したくなかった。だから自分の汚いとこなんか絶対知られたくなかったし、見せたくなかった。あなたはとてもまっすぐな人だから、あたしの中にある汚いとこを見たら、きっとショックで、いろんなことに絶望してしまうだろうと思った。いちばんこわかったのは、あたしを愛したことに絶望すること。あたしとはちがって、あなたはしあわせな家庭に、ほんと憎たらしいほど幸せな家庭に育ったから、人の裏側は見たくないのよね。どんなことがあっても人を信じたいのよね。だからあたし、一生懸命演じちゃった」

    夢野「あなたは男と女が言い争う場面が苦手だから、あたしのことをなにも責めないで出ていったのよね。あのときあたし、いまみたいに素直に、自分の汚いとこを見せればよかった。そうすればあなたの気持ちも動いたかもしれないのに、バカみたい、あんなときでもあたし演じちゃった。それですごく後悔したのに、今度は、あたし、愛野に、おんなじことはじめちゃった」

    夢野「だって、愛野ったら、あたしにそっくりなんだもの。あたしが一生懸命演じて隠していた部分を、愛野はそのまんまなんだから、もぅ、かわいくていじらしくて、死ぬほど愛するようになった。愛野が愛野のままでいられるように、あたし、また演じはじめちゃった。それがあたしのつとめだと思った。あたし、命をかけて演じようと思った。今度は後悔なんかしなかった。だって、愛野はあたしのすべてだもん。学校でどんだけいじめられても、ぜったい守ってみせるってじぶんに誓った。(略)だって、愛野がいなくなったら、あたし、あたし、この世界に、たったひとりで」

    愛野「なに言ってるんだよぉ!あんたがどんなに汚れていても、超イヤな性格でも、あたいは、あんたのそばからぜったい離れない!あんたがいなかったら、あたいなんかとっくに、とっくに死んでたんだ。あんたがいたから生きていけたんだ。ふたりきりで超さみしかったけど、みんなにいじめられたけど、あんたがいたから、あたい、がんばれたんだ。あんたをおいて、あたいひとりでどこへ行けばいいんだ。あんたといっしょじゃない世界のどこへ、どこへ、行けばいいんだよぉ!」

  • フィンランドの国民的叙事詩「カレワラ」に着想を得たファンタジーということで、著者は5代目NHKうたのおにいさんということです。物語というより、今自分の周囲に生きづらさを感じている子供達やそれをささえる親達への、「大丈夫だよ」というメッセージではないかと思いました。大人でも子供でも、自分を素直にだせる場所や時間が必要だし、寄り添ってくれる人(決してでしゃばるのではなく)がいるといいんですよね。それにしても「カレワラ」 小学生の頃読んだことがあったような・・・ 忘れてしまったけれど、機会があったらまた手にとってみたいです。

全5件中 1 - 5件を表示

かしわ哲の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×