サザビーズ-「豊かさ」を「幸せ」に変えるアートな仕事術

著者 :
  • 講談社
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感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062156868

作品紹介・あらすじ

ライフスタイルをアートで表現する「幸せ」とは何か。

感想・レビュー・書評

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  • 世界を駆け回り美術の仕事をする。素晴らしい。

  • アートオークションの最大手サザビーズの日本支社長、石坂泰章さんの著書。画家の小話や、富豪との会話もあってかなり興味深い内容だった。特に最後に出てくるピカソの絵を買った日本の富豪の方。まさに物語に出てくるようなお金持ちだった。本当のお金持ちは、着飾らずに精神的な豊かさを持ってるってのが良くわかる。アートはお金持ちのものって誤解されやすいけど、この本には少ない収入でも自分の好きなアートをコレクションしている夫婦の話も出てくる。私もそんな風に日々の生活に追われることなく精神的な豊かさを持っている人になりたいな。

  • 著者は世界有数のオークション会社サザビーズの日本支社トップ。親の仕事の関係で子供のころから海外生活が長く、人並み以上の美的感性を育てられ、語学力も度胸も人並みでない。そんな著者が画商として独立してから約30年のアート業界での経験とノウハウを惜しみなく公開した一冊。特別なつてもなく、アンディウォーホル財団の日本でのライセンス管理をまかされるにいたった交渉術、ウオーホール×ユニクロのコラボTシャツを実現させ、100万枚超のヒットにみちびいたくだりなどはそのままビジネスドラマになりそう。日本のアートマーケット記事は貧弱でワンパターンという指摘も刺激的。アート好きでなくても楽しめる。

  • アートな世界

  • 面白かった! 普段馴染みのないアートの世界というのが垣間見れたし、美術とビジネスという一見両立しがたいように思える世界を両立させている話は非常に興味深く読めた。

    アートは美しいものというのは誤解である。アートは装飾品ではない。クリエイティブなモノか模倣であるかを見抜くにはある程度美術品を知っている必要があるという指摘にはナルホドと膝を打った。

    <blockquote>また、美術品ものは、時には醜いものもある。人間は、自分の価値観と異なるものには、嫌悪や拒絶をしめすからだ。すんなりなじめるものには、むしろ独創性が乏しかったりする。(P.64)</blockquote>

    著者は三菱商事を経て、画廊に転身、サザビーズに入社するが上記引用文のように美術を見る目を持っている。それは石坂泰三の孫というような育ちの良さ、恵まれた環境もあるのだろうけれど。因みに石坂敬一(日本レコード協会顧問/現WEA代表取締役社長)も石坂泰三の近縁(甥っ子)だそうで。芸術に理解のある一族なんでしょうね。


    このような貴族的気風が美術界を育てているのだろうけれど、そうでない普通の人々のアートへの理解の違いが諸外国と日本にはあるなというのも感じた。アートのオークションのニュースはニューズペッパー、タブロイド紙でも報じられ広く馴染みがあるものらしい。

    どうしてもアート=ハイソなもの→とっつきにくにモノというイメージが強いけれど、基本的には(少なくとも欧米や中国、華僑社会では)ないんだなと思った。まぁ、この本に書かれているようなオークションの世界は無縁であるのには変わらないけれど。多くの人が美術に親しむという前提があるからこそ、美術館。ギャラリーも巨額のオークションに参加できるのだろうし。


    また、「絵の価格なんてあってないようなもの」というのも大きな誤解だという。確かに価格の変動に特別な法則はない。
    需要と供給のバランス。または工業製品であれば大量生産によるコストダウンやコモディ化による価格、利益率の変動と同じだ。

    海外では美術品を担保に貸し出す時、オークションの落札予想価格の下限、50%くらいまで貸し出すという。

    つまり、理にかなった市場動向を反映した価格があるのだ。そういった部分への言及がこの本の読みどころだろう。


    ただ、書名は若干ミスリードかなぁ。
    「豊かさ」、「幸せ」がテーマではないし、「仕事術」の話でもないし。

  • アートビジネスの裏側を垣間見た!奥深いなあ〜。

  • サザビーズの社長が、サザビーズに入る前の生い立ちと現在を語っている。
    この人の仕事は趣味の延長で、限りなく羨ましい。
    でも、それが仕事になるというのは簡単ではないのかも。
    でも、アートが身近に感じられる今、ある意味精神的豊かさということに目を向けるのもいいのかも。
    作品は自由に見れますし。

  • 海外では、美術品を購入する際に「Can you live with it?」と聞かれるそうだ。
    確かに、良いものってのは一緒に時を過ごすことでその輝きは変化するし、ある時ふっとその真の良さに感動することがあるもんね。逆に安くて大して良いと思わなかったけど買っちゃった物の、部屋に飾ったあとのチグハグ感には、あっし確かに、思い当たるフシがありんす。
    特に心に残ったのは次の部分。

    『われわれ日本人は、高度経済成長期以降、物質的な豊かさは得たものの、それと引き換えに、精神的な充足を失ってしまった。失ったというのが言い過ぎなら、ごく浅い満たされ方しかしていない。対して、フォーゲル夫妻(ミニマルアートの世界的なコレクター。特に資産家というわけではない)は、ある一点をうがつことで、アートという豊かな水脈を掘り当てたのだ。夫妻はいつでもそこから、極上の美の水をくみ上げることができる。』

    興味がありつつも敬遠してしまっていた世界をぐっと引き寄せてくれた名著でした。

  • この人の人生に憧れて美術商の世界に入ったら、とんでもない目にあいそうだ。
    とりあえず大事なのは目。

  • なかなか面白かった。

    美術館にはよく行くが、そのアート作品の手に入れ方や裏側の画商・オークションのシステムは知らなかった。
    面白い内容だが、筆者の経歴がすごいので、やはり高額なアートは一般人とは縁がないんだろうなぁと感じた。

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