ニサッタ、ニサッタ

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 630
感想 : 118
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  • Amazon.co.jp ・本 (522ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062157230

作品紹介・あらすじ

最初の会社を勢いで辞め、二番目の会社が突然倒産し、派遣先をたて続けにしくじったときでも、住む場所さえなくすことになるなんて、思ってもみなかった。ネットカフェで夜を過ごすいま、日雇いの賃金では、敷金・礼金の三十万円が、どうしても貯められない。失敗を許さない現代社会でいったん失った「明日」をもう一度取り返すまでの物語。

感想・レビュー・書評

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  • 最初の会社を勢いで辞め、二番目の会社が突然倒産し、次々と仕事がうまくいかない。いよいよネットカフェ難民となってしまった主人公。成功や結果までの一歩が遠い。確かに彼自身にも甘えがあったり根気がない部分も多々あるものの、今の日本で居場所をなくしていく若者にエールを送りたくなる。

  • うまく行かない人生、積み上げては崩れる人生、もどかしさが続く展開だが、主人公の気持ちに入り込んで寄り添える。恵まれない境遇の中、ささやかな希望を感じるラスト。今の時代の若者の共感を得られるのかもしれない

  • 地のはてからの続編ではないが、関連している。心優しい耕平のどうしようもない人生、死にたいと思ってた気持ちがひっくり返るような杏奈の生い立ち。乃南アサさんの小説はほんとに読みやすくて、一気に読んじゃった。

  • 図書館のリサイクル本で出会った。

    ホントにおまえもっとがんばれよって言いたくなるほど、失敗続きなんだけど...
    その失敗を繰り返していくうちに確実に主人公の心の中になにかこうしっかりした基盤みたいなものが徐々に出来上がっていくのも読み取れて、最後はもうホントに幸せになるんだよ!って応援したくなる。
    そんな本。

  • ここまできて、まさか、まだ、こんな展開とは。
    波瀾万丈とはこういうことをいうのかも。
    おばあちゃんがあの…というところにも納得。
    最後に「黄色いフキノトウ」がでてきて、おばあちゃんの物語との連続を感じることができた。

  • 就職が決まり、しばらくその会社に通うも、会社が倒産してしまいます。

    それがきっかけとなり、主人公の生活もどんどん悲惨なものになっていきます。

    テーマは、辛い時はとりあえず今日のことだけを考えて生きなさい。だと思います。

    主人公がどんどんと落ちていくので、読んでいるだけでも落ち込んでいきましたが、今日のことだけを考えて生きました。

  • 欠かさず読んでいる乃南アサさん。

    簡単に言えば何をやっても裏目裏目に出る片貝耕平(かたがいこうへい)と言う男の物語です。

    この主人公程に酷くはなくても人は誰でも「何をやっても上手くいかない時」が多かれ少なかれあると思います。

    5章まではこの先一体全体どうなる事かとハラハラでしたが6章では思わずホロっとさせられて人間の弱さと共に温かさを存分に感じる事が出来ました。

    エピローグで思わず笑顔にさせられる様な、読後感も爽やかな作品に仕上がっています。

  • 入った会社が倒産、借金。自業自得の事故で怪我をしせっかく見つけたバイトを辞めざるを得なくなったり、もう死にたくなったり。主人公の耕平は、今時の若者の悩みを様々なタイミングで背負っていく。
    生い立ちがかなり重たい杏奈の存在も救われるが、なにより耕平の祖母ちゃんの達観した姿に何度も救われた。
    家族や信頼できる人との出会いや関わりが、自分をつくる。そんな大切なことを教えてくれた。
    どうにもならないことは誰もが経験する事だが、その時にどんな人と出会ってどんな言葉を知るかでその後の人生はどうにでも変わる、と私は思う。
    この本には分厚いぶん、人生で大切なワードがたくさん散りばめられている。
    生きていることに疲れたら、明日を迎えたくなくなったら、手に取りたい本。
    まずは今日を大切に生きてみよう。

  • 手にしたとき、分厚さにひるみそうになったが、読み始めてみるとスイスイ読めた。何度もどん底に落ちる耕平に、ハラハラしながらも、応援せずにはいられない。耕平はいろいろ馬鹿なことをしてしまうけど、新聞店の皆が杏菜をセクハラでからかうのを「心の底から嫌悪し」たり、その杏菜が強姦されそうになったとき、本気で怒って飛びかかって助けたり、そういうところから、耕平の性根は腐っていないのだとわかる。
    謎に包まれていた、健気な杏菜が、最後の方で生い立ちを語るところではつい涙が出てしまった。

  • 「ツイてなかった」「自分は不運だ」こんなふうに考えたことは何度かある。でも9割は自業自得なんだね、とこの本を読むとよくわかる。北海道出身の若者の、挫折と再生と挫折の物語。主人公の耕平は、考えが甘くて根性がなくてアホでダメ男だが、「救いようのないクズ」まではいかないのがリアル。若者って、こんな所あるよね、と思う。ヒロインの杏菜には泣ける。終盤は感動。北海道の風土などを盛り込んだヒューマンドラマで、読み応えがありとても面白かった。今日を生きるのが大事。ニサッタ(明日)が楽しみになる日常を迎えられるのが理想だ。

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。88年『幸福な朝食』が第1回日本推理サスペンス大賞優秀作となる。96年『凍える牙』で第115回直木賞、2011年『地のはてから』で第6回中央公論文芸賞、2016年『水曜日の凱歌』で第66回芸術選奨文部科学大臣賞をそれぞれ受賞。主な著書に、『ライン』『鍵』『鎖』『不発弾』『火のみち』『風の墓碑銘(エピタフ)』『ウツボカズラの夢』『ミャンマー 失われるアジアのふるさと』『犯意』『ニサッタ、ニサッタ』『自白 刑事・土門功太朗』『すれ違う背中を』『禁猟区』『旅の闇にとける』『美麗島紀行』『ビジュアル年表 台湾統治五十年』『いちばん長い夜に』『新釈 にっぽん昔話』『それは秘密の』『六月の雪』など多数。

「2022年 『チーム・オベリベリ (下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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