新参者

著者 :
  • 講談社
4.04
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本棚登録 : 10035
レビュー : 1331
  • Amazon.co.jp ・本 (354ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062157711

作品紹介・あらすじ

日本橋。江戸の匂いも残るこの町の一角で発見された、ひとり暮らしの四十代女性の絞殺死体。「どうして、あんなにいい人が…」周囲がこう声を重ねる彼女の身に何が起きていたのか。着任したばかりの刑事・加賀恭一郎は、事件の謎を解き明かすため、未知の土地を歩き回る。

感想・レビュー・書評

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  • ガリレオシリーズより新参者シリーズの方が好み。舞台が下町だからか、温かみがありほっこり感がある。もちろん殺人事件を軸に捜査する訳だから真相には暗い部分があるが。

    翻訳業をしていた三井峯子が何者かに殺害される。事件当日彼女と会う約束をしていて遺体の第一発見者になった友人、離婚した夫、俳優を目指し家を出ている息子…

    誰が彼女を殺したのか。事件と無関係に思える些細な出来事にも関心を持ち、独自に捜査を進める加賀恭一郎の推理と聞き込みが面白い。

  • 加賀恭一郎シリーズ 日本橋第一作。
    加賀というと思わず阿部寛の顔が瞼に浮かんでくる。

    巻末の初出から見ると五年間にも及ぶ連作短編集ということらしい。
    一作が僅か40P弱の短いものながら、一人一人のキャラが明確で、起承転結と落としどころをしっかり抑え結末まで持っていく。
    一章ごとに独立した短編に、様々な太さの糸を複雑に絡ませ、伏線を張り巡らせながら、最後の九章でその糸が解けると殺人犯が解明されるという筋立て。
    その全体の構成と流れが秀逸である。

    さらには、煎餅屋、料亭、瀬戸物屋、時計屋、民芸品屋などで働く人物の姿を詳細に描くことで、人形町や小伝馬町界隈の人情味溢れる雰囲気も見事に醸し出している。
    それぞれの登場人物やストーリーのどこにも無駄が感じられない。
    小説の作り手として見事な腕前だ。

    東野圭吾ってこんなに短編上手だったのかとあらためて思い知らされた。
    彼の作家としての技量の凄さを垣間見せる名作と言って良いだろう。
    第一章ともなると十年近く前に書かれたことになるのだが、やはり気合を入れて書いた作品は違う。
    東野さん、「いきなり文庫」なんて無理はやめて、これからも気合を入れた作品を書き続けてくださいな。

    話は変わるが、こういった連作集はきちんと書籍化されてから読むに限るね。
    2004年八月号の「小説現代」で初めて第一章の「煎餅屋の娘」が発表されたのだが、第三章の「瀬戸物屋の娘」と第四章の「時計屋の犬」の間なんて、まるまる二年以上も空いているんだよ。
    物語がまだ序盤で、その後の謎解きの展開は全く予想がつかないので、そんなに待たされたら「次はいったいいつ出るんじゃあ・・・・・・」と叫びたくなるもんなあ。

  • シリーズ8作品目。ますます刑事としての加賀さんに磨きがかかって来た作品です。「…でも、刑事の仕事はそれだけじゃない。事件によって心が傷つけられた人がいるのなら、どの人だって被害者だ。そういう人を救う手だてを探し出すのも、刑事の役目です(P220)」彼の事件に取り組む姿勢はここだったんだと納得しました。そして犯人に自白させられるのは上杉しかいないと本人を説得するあたり、加賀刑事の疑問を緻密に埋めていった結果描かれる心あるシナリオに泣かされました。

  • 事件とは直接的な繋がりのない関係者にも一人ひとりとしっかり向き合い大切なものを啓示する加賀。ばらばらの方向を向いているようでも実は一本の軸で繋がっている家族。離婚しながら結局求めたのは家族の絆。コロコロ揺れる人の思いのおもしろさと難しさ。事件には必ずしも結びつかない人達の心の機微、心の深いところにある愛情に触れながら、ほっこり胸を温かくしていたが、これで終わるわけではなかった。中盤以降、俄然色めき立ってくる。短編集と思いきや連作短編、というか寧ろ壮大な長編。関係のないものと思いなしていたことが全て事件解決に向けての伏線となっている。誰もが見向きもしないような些細なことに拘り、決して手を抜かず真相を突き止めようとした姿勢がついには事件本丸の真相を見出すことに。意想外の連続に最後まで目が離せなかった。

  • 図書館で見つけて、さらっと。
    初夏の風のようにさわやかに、駆け抜けていきました

    日本橋人形町で起きた一つの殺人事件を横糸に、
    そこで生きる人々の群像劇を縦糸にの、連作短編のような。

    東京下町の、昔ながらの人と人とのつながりが、
    綾糸のように絡みながら、多彩な色合いを見せてくれます。

    さて、二人の新参者の物語はどうつながっていくのでしょうか。
    ちょうど今の時期(初夏)に読むのに、いいかなぁ、、とも。

    ふと、昔あった『ブギーポップは笑わない』を思い出しました。
    ドラマもやっていたとのことで、今更ながら観てみようと思います。

  • 加賀恭一郎シリーズの中で、一番最初に読んだ作品。
    ドラマ化されるということで読みましたが、ガリレオシリーズとは違った味わい方がありました。ガリレオではトリックを楽しむのですが、こちらは人間の心情を楽しむ印象でした。
    また、今回の舞台は日本橋ということで、下町の人々ならではの人情模様が楽しめました。
    ミステリーとして読むと、トリックは複雑というわけではないので、物足りなさはあります。
    しかし、読んだ後はスッキリとした気持ちになってくれましたし、様々な人たちの切なさ・暖かさなどそれぞれの思いを味わい深く楽しめました。ただ、犯人を捕まえるのではなく、一人一人の絡まった関係を修復していくという繋がりの大切さ・重要さも大切であると感じました。
    何よりも「加賀恭一郎」の存在さが大きかったです。
    この作品をきっかけに今でも好きなシリーズのひとつとして、最新刊がでたら、必ず読ませていただいています。

  • 第1章を読んだときは、後味はいいけど終わり方が曖昧な短編集かな?と思いましたが、パズルゲームのようでいてテンポの良いステキな作品でした。

    東野さんが以前住んでいたからなのかわかりませんが、「東京の東側」の昔ながらの風情と人情感が、加賀恭一郎を通じて暖かく記されていてすごく楽しませていただきました。
    今の時代に逆行している超アナログ派な加賀さんですが、いつの時代でも忘れてはいけない本質を学んだ気がします。

  • 江戸っ子の粋な計らいにジーンとくる。
    あの街では、ひとりひとりが謎めいていて、その先には人情がある。そのくらいの事疑われるくらいなら、話してしまえばいいのにって思うような事でも、決して話さない江戸っ子の心意気。人形町が目に浮かぶ。面白かった。その町にとっての新参者の加賀恭一郎もかっこいいしよかった。 爽やかで優しくて、でも芯が強い。

    「事件によって心が傷つけられた人がいるのなら、その人だって被害者だ。そういう被害者を救う手立てを探しだすのも、刑事の役目です」

  • 加賀恭一郎シリーズ第八弾。これもドラマを見ました。私の中では加賀恭一郎=阿部寛(笑)
    今回は人情派加賀恭一郎の活躍譚といった感じで、殺人事件の犯人あばきよりも、日常に潜むちょっとしたすれ違いや誤解を解いていくスタイル。
    寡黙でクールだけではない加賀恭一郎大活躍。といっても熱くならない所が彼の持ち味には違いない。

  • なかなかのオススメ本。はじめは短編もの?と思ってたらいろいろな絡みがあってで繋がって続いていく話で面白かった!ひとつの事件解決!ある女性が殺害され日本橋署にきた新参者刑事が解決へ!家族や友人様々な温かい関わりが裏側にありました。スラスラ読めた!

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著者プロフィール

東野圭吾(ひがしの けいご)
1958年大阪市生野区生まれ。大阪府立大学工学部電気工学科卒。大学在学中はアーチェリー部主将を務める。1981年に日本電装株式会社(現デンソー)にエンジニアとして入社し、勤務の傍ら推理小説を執筆する。1985年『放課後』で第31回江戸川乱歩賞を受賞し、小説家としてのキャリアをスタート。2006年『容疑者Xの献身』で第134回直木三十五賞を受賞。2013年『夢幻花』では第26回柴田錬三郎賞を受賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞受賞。現在、直木三十五賞選考委員を務めている。代表作としてガリレオ・新参者シリーズに加え、映画化された『手紙』『ラプラスの魔女』。ほかにもテレビドラマ・映画化された作品が多い。2018-19年の作品では、『人魚の眠る家』、『マスカレード・ホテル』、『ダイイング・アイ』、そして今後の映画化作として玉森裕太、吉岡里帆、染谷将太らの共演作『パラレルワールド・ラブストーリー』(2019年5月31日映画公開)がある。なお、中国で『ナミヤ雑貨店の奇蹟-再生-』が舞台化・映画化され、映画はジャッキー・チェンが西田敏行と同じ雑貨店店主役で出演する。2019年7月5日、「令和」初の最新書き下ろし長編ミステリー『希望の糸』を刊行。

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