リーマン・ブラザーズと世界経済を殺したのは誰か

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062158183

作品紹介・あらすじ

ウォール街を初めとする世界の金融界は、今回のショックにもかかわらず、しばらくするとまた元の活力を取り戻し、ハイリスク・ハイリターンの商品に傾斜してゆくだろう。市場原理主義とまではいわないまでも自由な市場を尊重する立場と、それを規制する国家・政府の役割を議論するなかで、アメリカ政府は、残念ながら正しい解答を見いだせそうにない。そして、悲観的な見方ではあるが、いつの日にかまた歴史は繰り返されるだろう。-それでもバブルはまた必ず訪れる!!

感想・レビュー・書評

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  • 10年も前の本をいまさら読んでみた。

    というのも、コロナ禍にあって、日米の株価が企業業績とか、いわゆる「ファンダメンタルズ」を全く反映していないから。

    株価が実態を反映していない状態を、バブルというのなら、まさに今がそれ。これから何が起こるのか?リーマン破綻時に起こったことが参考になるかもと考えた。

    で、本書には目をむくような驚きの事実はなかったのだが、「百年に一度」とか「想定外」は、案外しょっちゅう起こっていることを再認識。

    日本のバブル崩壊以降でも、90年代後半の金融危機、アジア通貨危機、2000年代に入ってネットバブル崩壊、リーマンショック、本書出版以降も、東日本大震災、コロナ禍と、ぱっと思いつくだけでも百年に一度くらいじゃない頻度で危機が訪れている。

    「渦中にいるとバブルはわからない」「危機は必ずやってくる」前提で、あたふたしないのが吉か。

  • リーマンショック時にリーマン日本法人社長だった桂木氏の回顧録。あまり事細かに書いてないようにもみえるが、日本ではこうした類の本は出にくいので貴重。
    リーマン倒産前後の対応は大分はっきりするが、何故リーマンが潰れたのかという点には正面から答えてないように思える。サブプライムローンの証券化と不動産バブルについては解説している。
    彼にとってリーマン倒産は米政府、特に財務長官ポールソンの失敗によるところが大きいのだろう。

  • 後半はサブプライムの一般的な話っぽかったので、さらっと。

    面白かったのは前半。
    よくよく考えれば、この方は、外資系投資銀行の日本代表なので、本社の失態にはあんま関係ないんだよね。

    自分の会社がなくなるかもしれない&自分の資産の結構な部分が吹っ飛ぶかもしれないという経験は中々あるもんじゃない。
    しかも、トップとしては、潰れて終わりではなく、身売り先を探したり、身売り後も残って破産処理をしなければいけなかったりと、辛かったろうなと思う。

    今は、独立系のアドバイザリー会社を営まれているそうで、一皮向けた経営者となられているのだと思う。

  • 2008年9月8日から米連邦破産法チャプター11を申請するまでの15日間を元リーマンブラザーズ証券社長が自らの日記をもとに綴る。物語仕立てで金融も分かるといった一冊。殺しの犯人はヘンリーポールソン元財務長官という筋立て。バーナンキやグリーンスパン、ディックでもない。

  • リーマン・ショックがどういうことだったのか、ようやく少し分かった。
    投資銀行が何をやっている会社かも理解できた。

    みんなのお金を儲けたいという気持ちだけで出来ている業界。
    アメリカではそういった欲望がポジティブに捉えられているので投資が過熱するが、
    日本ではネガティブな見方がされるのでこれからも余り流行らないだろうと思う。

    金融の複雑な商品は、投資銀行の社員でも理解するのは難しいと書いてあって、
    一般人は別に理解出来なくていいんだーと安心した 笑

    バブルは防げないらしいことも理解出来た。
    中国で不動産投資が過熱、とかニュースでやってて
    どうせ日本の二の舞いになるのに馬鹿じゃなかろうかと思っていたが、
    世の中そんなものでバブルは防げないようだ。
    残念ですね。

  • たった一度だが会ったとき、ワイシャツが安物っぽいノーアイロンでちょっとしょぼい感じだなという印象で、リーマン日本法人のトップという肩書きからは違和感があった。仕事一筋でプライベートな生活はほとんどないのだろうかと感じた。そんな人が、リーマン破綻の日本の責任者としての舵取りをやる羽目になりどんな思いをしているのだろうかと思っていたので、非常に興味深く読んだ。

    リーマンを破綻させたのは、ベアスターンズを救済して批判を受けたポールソン財務長官が、リーマンまで救済することによる批判に耐えられないと考えたためというのが著者の認識だと思うが、それはポールソンがインベストメントバンカーだったせいで、マーケット出身だったら、そんな判断はしなかったはずという見方が印象に残った。

  • 元リーマン・ブラザーズ証券社長の日記に基づいた手記。インベストメント・バンカーとして昇りつめ、アジアにおける業績も好調。順調なキャリアのまま平穏無事にすごしていた著者。アメリカを舞台とするサブプライム問題で会社は傾き始めるが、どうすることもできないジレンマ。ヘンリー・ポールソン元財務長官の決断と彼への怨念。当事者としての思いと無念がにじむ。

  • 結局犯人は人間の欲という、もっともすぎる答えなので、陰謀論的なものを期待していた人にとってはもの足りない内容かもしれないが、実際に中にいた人のお話を聞けるのは大変興味深い。

  • 元リーマン・ブラザーズ証券の社長桂木氏の著。

    2008年に起こったリーマンショックの影響の残る現在。
    ギリシャに端を発したユーロ危機と、また金融危機が起こっている。

    過去の経験をなかなか活かせない金融危機に対して、
    どうしていくべきか?という視点で読んだ。

    破綻前後について、内部の経営層にいた立場として書かれており、
    大変興味深く読める。

    主観でA級戦犯を挙げている辺りも面白い。


    FRBの対応を見る限り、確かにリーマン破綻は別のやり方があったはず。
    但し、ようやくリーマンで出始めた膿を出しきることをせずに、
    再度蓋をするという対策では、本質的な解決にはならない。

    また、サブプライムローンといった高利率の金融商品に対する
    規制の必要性も痛感できる。

    現在のユーロ危機は、リーマンの反省を活かせていないと思う。
    ユーロ自体の抱える問題もあるが、次を起こさないためにも、
    世界規模での金融改革が必要なのであろう。

  • 読みやすい。もっと早期に出す予定だったようで内容は薄い。インサイダーがどう纏めるかという意味で読んでよかったが、タメにはならなかった。
    ポールソンが引き金を引いたとして、終始ポールソン批判に徹している。だがそもそもの真犯人は「人間の本性だ」としており、儲けたいという人間の欲を究極の原因としている。一方で、「喉元を過ぎれば熱さを忘れる」アメリカ人の特性や「人間の本性」が消えることはなく、「歴史は繰り返される」だろうとのこと。

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