救命拒否

著者 :
  • 講談社
3.07
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本棚登録 : 143
感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062158312

作品紹介・あらすじ

講演中の救命医が爆破死傷事件に巻き込まれた。現場に駆けつけた救急救命士に向かい、彼が言う。「私にブラック・タッグをつけろ」その意味は死。大阪府警が犯人を追う。しかし二転三転する本ボシ。若手刑事は、事件の裏側に隠された真相に辿り着けるのか。乱歩賞作家が書き下ろしで問う、喪わされた者たちの悲しみ。医療トリアージ=命の選別をテーマに据えた骨太エンターテインメント。

感想・レビュー・書評

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  • 救命医の爆死事件の犯人を追う刑事の物語。真相に近づくにつれ明らかになる救急医療現場での救命士の現状なども興味深く、考えさせられた。今まで読んだこの著者の作品の中では一番。

  • なかなか面白かった。ブラックタグをつける医師は大変。
    医療の世界において医師が絶対なのも事実。
    なかなか鋭いとこをついた小説

  • 2019.04.14
    う〜ん、結果を予想出来なかったわ。

  • ホテルのシンポジュウムで講演していた救急医の若林が、爆発事件に巻き込まれた。駆け付けた救急救命士に、若林は、トリアージ・タッグのブラック・タッグ(治療不要つまり手遅れ、死を意味する)をつけろとつぶく。この爆破事件の2年前に、複合型スーパーでガス爆発事故が発生し、死者が2名、重軽傷者合わせて34名の大惨事があった。この時の現場での救命医師が若林だったが……。ホテル爆発事件の犯人は???全く予想外の犯人だった。面白い。
    しかし、このトリアージ・タッグについて初めて考えさせられた作品だった。全く知らなかったが。

  • 結構いい感じだったのに、最後がバタバタと解決していって終わった感じ。

  • #読了。救命医が爆発事件で殺される。最後の言葉は「私にブラック・タッグを・・・」トリアージを巡り、救命士、過去の事故関係者を巻き込む。刑事のキャラクターは面白かったが、この手のテーマにしては若干軽いような。

  • 爆発現場で、救命処置を諦めることを意味するブラック・タッグを自らつけるよう指示したと言われる医師。

    彼は救命の第一人者と言われていた。それがなぜ…。

    という謎で引っ張り、丁寧に解きほぐしていくと、当初とまるで違う意味合いをおびてくる。

    もっと売れていい作品。

  • 最初は引き込まれる感じで読めたけど、終盤からとラストがあんまり好きじゃなかった。メインの刑事二人のキャラは好きだった。

  •  大阪Sホテルのシンポジウム会場で爆発事件が起こり、「トリアージ判断の妥当性」というテーマで講演するために演壇に立っていた若林玲二医師が亡くなった。捜査がすすむにつれ、この爆発は若林医師個人を狙ったのではないかという疑惑が浮上。彼は救命医としても外科医としてもとても優秀で患者や同僚からの評判もすこぶる良く、まさに聖人君子のような人間だったのになぜ? また、爆発現場にかけつけた救急救命士・中杢(なかもく)によると、若林医師は実は即死ではなかったという。助けようとする中杢に向かって、「(自分に)ブラック・タッグをつけろ」と言ったというのだ。

     ドラマでは何度かあるが、トリアージをテーマとした本を読んだのは初めて。現場でトリアージをしたことがあるということで、若林が過去にブラック・タッグを付けた患者の遺族が疑われるのだが、実際の犯人は・・・。こうして落ち着いた状態で、そしてやっぱり本やドラマで見ている分には、患者に優先順位をつけて、そして助けられる命をできるだけ多く・・・というのは理解できない話ではない。が、やはり自分や家族がその当事者となると、まず納得できる人間はなかなかいないだろう。現場でそんな場面を幾度となく経験している救急救命士の苦悩というのは、計り知れない。ましてや、自分が思いつく限りできる限りの行為をできるならまだしも、法律上できない行為がたくさんある立場なら、なおさらである。

      (救急救命士は)救急救命の現場では医師の助手みたいな扱いや。
      目の前の命を救わんといかん、まさにその瞬間もや。
      従うしかないのに、背負わされるもんの重さは一緒なんやで。
      ・・・(中略)・・
      重い荷物を背負わされるんやったら、もっと手を尽くしたいんや

    トリアージ問題や、救急救命士の苦悩など扱うテーマは興味深かったが、それを殺人事件をつなげたストーリー運びはいまいちかなぁ。大阪府警が扱う事件なので大阪弁満載だが、必要以上にコテコテすぎる・・・。Wiki見たら、作者は京都出身で在住・・・なるほど。

  • 医療ミステリ、かな? あまり小難しいものではないけれど、医療と「救命」に関してはいろいろ考えさせられることが多かったです。
    トリアージのブラック・タグってたしかに残酷。患者の身内にしても、医師にしても、できればあって欲しくないものですよね。だけどそれにはそれの必要性があるのも間違いはなく。100%正しい診断というのがあればいいんですけどねえ。

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著者プロフィール

鏑木 蓮(かぶらき・れん)
1961年京都府生まれ。広告代理店などを経て、92年にコピーライターとして独立する。2004年に短編ミステリー「黒い鶴」で第1回立教・池袋ふくろう文芸賞を、06年に『東京ダモイ』で第52回江戸川乱歩賞を受賞。『時限』『炎罪』と続く「片岡真子」シリーズや『思い出探偵』『ねじれた過去』『沈黙の詩』と続く「京都思い出探偵ファイル」シリーズ、『ながれたりげにながれたり』『山ねこ裁判』と続く「イーハトーブ探偵 賢治の推理手帳」シリーズ、『見えない轍』『見えない階』と続く「診療内科医・本宮慶太郎の事件カルテ」シリーズの他、『白砂』『残心』『疑薬』『水葬』など著書多数。

「2022年 『見習医ワトソンの追究』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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