鉄の骨

著者 :
  • 講談社
4.02
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本棚登録 : 1887
レビュー : 375
  • Amazon.co.jp ・本 (546ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062158329

作品紹介・あらすじ

「次の地下鉄工事、何としても取って来い」でも談合って犯罪ですよね?謎の日本的システムの中で奔走する、若きゼネコンマン平太の行末は-。

感想・レビュー・書評

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  • 初・池井戸潤。
    さすが話題の人気作家さんだけありますな。
    こんなに分厚くてしかも建設業界の談合なんて
    全然未知の世界がテーマでも、
    がっちり引きこまれて一気読みでした。

    ドラマ”倍返し”を観て、硬派な男の世界を描きつつも
    シリアスすぎずちゃんとエンターテイメントになってるんだな、
    という印象を持ってやっと手に取ってみたのですが、
    他のも読みたくなりました。

    否応なしに談合に巻き込まれながらも、
    自分で悩み考えて行動していく平太と
    4年来の恋人平太とイケメンエリートの先輩行員の間で
    揺れる萌の視点で描き分けられていて、
    とっつきにくい話題の中にも恋愛要素があったりで、
    企業小説を読みなれない人でも読みやすく楽しめると思います。

    一松組業務課のメンバーがキャラ立ち過ぎて面白い。
    西田がどんどんかっこよく見えてくるし、
    権力のある神や仏はどんどん人間味を帯びてくる。
    まぁ、平太みたいなのは現実離れしてるとしても
    入札、談合、裏金、公共事業…本当にこんな世界なのかしらん。

    ただ、ラストがあまりにあっけなくて、
    これだけの長さの話に見合うエピローグがほしかったな。

  • 建設業界の談合にスポットをあてたストーリーです。

    中規模建設会社の一松組。現場で働く若手社員の平太が突然の人事で業務課に配属される事になります。
    業務課は別名”談合課”とも呼ばれ、公共事業の受注獲得の為に駆けずり回るいわば受注の最前線。「談合は必要悪だ」と言い切る先輩の言葉にとまどいつつも、まだまだ古い体質が残る建設業界に身を置くサラリーマンとして流れに呑まれていきます。

    ゼネコン、銀行、検察、政治家、あらゆる角度から物語が進んで行き、またもやページをめくる手が止められない状態に!
    誰がどうこうという訳じゃなく、仕事に打ち込む男はやっぱりカッコイイ!!権力やしがらみや駆け引きの中で自分を見失わなかった平太もまた良かったし、なんか男の社会だな~と女には無い人間関係が見れた気がしました。

    また、この作品は仕事だけじゃなく平太の恋人との関係も描かれています。学生から社会人になってお互いの置かれている環境の違いや、仕事に対する考え方の違いで徐々に気持ちがすれ違っていく様が淋しく感じました。だけどそれは、それぞれ人間として色んな経験をして成長している事であってどっちが悪いとかではないんですよね~。

    まだまだ池井戸さんの作品は読み始めたばかりですが、他の作品も期待大です。

  •  今まで読んだ池井戸作品は、主人公が社長ばかりだった。つまり、結構年いっておられる、企業経営のトップの視点から展開される話が主だったんだけど、今回の主人公は、ぴちぴちの25歳!!おお、親しみが沸く。

     後半、ぴちぴちの25歳、平太くんよりも、めっぽう仕事のできる男、西田さんのほうが活躍してた気がする。まあ、池井戸作品は、仕事のできる男が前に出るからな。キャラが一人歩きしたのかも。
     それにしても、今回も絵に描いたような勧善懲悪。悪役キャラはとことん悪く描写され、最後、やつらは必ず地獄に落ちる。園田さんは、そこまで性格悪く描かなくてもいいのになあ、と思った。むしろ、萌と距離が空いても、まったく平気な平太の方が冷たいやつだなあ、と思った。あと、平太、帰るの遅すぎる・・・

     サラリーマンは、部品そのもの。いなくなれば、新しい部品がそこに収まる、か。うん、そうなんだよな。そうやって、この世は動いているんだから。今回は、ただ、スカッとするだけでなく、自分に置き換えられる要素が多いせいで、ずーんと重い読後感だった。歯車であることを、受け入れた上で、自分の進退を決めていかないといけない。サラリーマンは、歯車だけど、意思を持った戦士なんだから。

    • bluebird-ryuryuさん
      コメントくださり、ありがとうございます。

      私も平太くんと同世代かつ同い年なので、平太くんを自分自身と重ね合わせて読みました。

      もし自分自...
      コメントくださり、ありがとうございます。

      私も平太くんと同世代かつ同い年なので、平太くんを自分自身と重ね合わせて読みました。

      もし自分自身が平太くんと同じ境遇に立っていたら、自分なら一体どのように社会の現実と向き合っていただろうかと、いろいろと考えさせられました。

      萌と距離が空いても、まったく平気な平太の方が冷たいやつだというのは、私も同感です!笑
      2012/09/13
  • 若手社員、平太から見た土木業界と談合の話。内容がリアルでドキュメンタリーかと思います。企業小説ですが、業界の予備知識がなくてもすんなり読み進められます。談合は根絶すべきなのか、はたまた社会の潤滑油としての必要悪なのか、社命を受けて談合の一翼を担う平太の葛藤が描かれています。
    フィクサーと呼ばれる大物に対して意見が言える平太はかっこいいのですが、現実にはそんなことは不可能だろうと思います。
    ところで、この本には大なり小なり色々な悪人が出てきますが、私が思う悪人トップ3は、3位:城山代議士、2位:尾形常務、そして1位は野村萌でした。皆さんはどうでしょうか?

    • besso0903さん
      1位と3位は、同意です!
      1位と3位は、同意です!
      2018/12/24
  • この本の第二章半ばを読んでいるあたりで、なんと現実の官製談合事件がニュースになった。
    本書の二章半ばまでしか読んでいないのに、そのニュースで書かれていることの意味が、「談合」素人の私にも手に取るように理解できたのでビックリした。
    この本が教科書というか解説書というか、そんな感じ。

    読み終わって本当は色々と考えることはある。

    けれどここではあえてお気楽に単純に小説内の人物に対して悪態をつくだけにとどめておくなら、一番の悪は私腹を肥やすだけの大物政治家。
    経営努力をしてこなかった側の会社やら、いけすかない銀行員、そんな薄っぺらい男になびいて二股かけた女。

    クライマックスの入札シーンは最高にドキドキしたし、良かった。
    取調室での平太のセリフも良かったぁ。
    面白かった!

  • 建設業界の悪しき慣習「談合」をテーマにしたエンターテイメント。
    話がトントン拍子に進むところに若干リアリティの欠如を感じたが、それでもストーリーはとても面白かったし、官製談合の世界を垣間見ることができて勉強になった。

    主人公の先輩社員、西田吾郎の仕事ぶりは圧巻!本作で一番好きな登場人物。2010年にドラマ化されたときはカンニング竹山が演じていたらしい。うん、ピッタリの配役だと思う!

    談合調整役の三橋は、この話のキーマンでとてもシブい。悪しき慣習「談合」を憂いながらも、談合に飲み込まれてしまうこととなり、それが必然だと分かっていても少し残念だった…

  • ゼネコン業界や談合のことがよく分かった。
    銀行のこともそうだけど、池井戸サンの企業小説は勉強になる。

    本作は平太のまっすぐなとこが良かった。
    池井戸作品らしく最後はスカッとしたし、まさかの尾形常務!!でした。
    でも萌に関しては、、ちょっと都合よすぎじゃないですか?と言いたい。

  • ゼネコンの話
    平太の彼女は図々しい

  • 面白かった♪ストーリー自体にはスピード感があるのに、しっかり読みたくて日数がかかりました。しがらみや挟まれる立場のサラリーマンは大変だ…。こんな風にして建物やインフラは整っていくのかな。あまり知る機会がなかった裏側を垣間見れた気がします。ちなみに園田の魅力は私には皆無。萌が何に揺れていたのか判りません。

  • 「ここに骨のある母たちを見る。」

    ゼネコンとしては中堅の一松組で、現場から突然業務課に異動させられた富島平太。そこで与えられた仕事は、他社との入札において慣例となっている談合の対策にあたるというものだった。業界の天皇といわれ、自分とも縁の浅からぬ三橋、常務の尾形、先輩社員の西田に影響を受けながら奔走する平太。かくして建設業界のしがらみと思惑が絡む地下鉄工事の入札は始まる…

    富島平太という一人の若手社員の経験を通して、建設業界の裏事情というものが描かれています。ヤマは「東京都の行う地下鉄工事を落札できるか否か」というひとつで、そこに、平太の彼女であり一松組の取引銀行の行員でもある萌との、互いの仕事をはさんで微妙に変わっていく関係、三橋と平太の母との過去や、上司や同僚との絡みが織り込まれています。

    ゼネコンの裏事情といういかにも男っぽい物語にあって、ひとしお印象に残ったのは描かれている女性たちです。たった4人の業務課で唯一の女性である理彩。仕事は雑務ながら、平太たちとともに戦う彼女は彼らに共感し、ときにはおじさん入ったか?!くらい熱くなる。学生時代からの付き合いであり、純粋で良くも悪くも建設の仕事に一本気な平太と、洗練されたビジネスエリートで先輩社員でもある園田の間で揺れる萌。その微妙に揺れる心を敏感に感じ取るのが、平太と園田、それぞれの母です。

    信州上田のふるさとで、東京の息子の活躍を楽しみに旬の食べ物等をを送って来る平太の母。三橋とのりんごのエピソードなど、ここには農家を守り家族を支えてきた主婦の人生をも想像させる母の姿があります。久しぶりに東京に出てきた母を囲んで、萌を交えて3人で食事をした後、彼女を見送った母は平太に言います。

    「身近なはずの人が、いつのまにか遠くに行っちまうことってのはあるんだ」

    一方、庭に茶室をもつ屋敷に住む山の手の夫人である園田の母は、気品をたたえていながら気さくで、息子の園田とは違い、決して上からの目線で人をみることをしません。登場するのは一場面だけですが、初めて挨拶にやって来て園田の家に気後れする萌を気遣い、その迷いを巧みに見抜くのです。萌が自分について来ることを疑わない息子をよそに、萌の気持ちに寄り添う描写は秀逸です。

    「女っていうのは、いつも現実と理想の狭間で苦しむのよねえ」

    この萌の迷いと葛藤は個人的にはこの作品の読みどころでもありました。最終的に萌の決断の鍵ともなった、骨のある母たち―池井戸さんて男性ですよね?この巧みな女性の描き分けはいったいどうしたらできるのでしょうか。

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著者プロフィール

池井戸 潤(いけいど じゅん)
1963年岐阜県生まれ。慶應義塾大学文学部および法学部を卒業。子供の頃から本に親しみ、作家を志すようになる。『果つる底なき』で江戸川乱歩賞を受賞し作家デビュー。以降、2010年『鉄の骨』で吉川英治文学新人賞、2011年『下町ロケット』で直木賞をそれぞれ受賞。他の代表作に、半沢直樹シリーズ『オレたちバブル入行組』『オレたち花のバブル組』『ロスジェネの逆襲』『銀翼のイカロス』、花咲舞シリーズ『不祥事』、『空飛ぶタイヤ』『民王』『ルーズヴェルト・ゲーム』『七つの会議』『陸王』『アキラとあきら』など。多くの作品がドラマ化・映画化されており、特に「半沢直樹」と「下町ロケット」は非常に高い人気を誇った。 2019年6月21日、人気作『陸王』が文庫化される。2019年7月開始の大泉洋主演ドラマ『ノーサイド・ゲーム』原作を担当し、6月14日に単行本化。

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