烏有此譚

著者 :
  • 講談社
3.77
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本棚登録 : 341
レビュー : 55
  • Amazon.co.jp ・本 (156ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062159333

作品紹介・あらすじ

灰に埋め尽くされ、僕は穴になってしまった-目眩がするような観念の戯れ、そして世界観-。不条理文学のさらに先を行く、純文学。

感想・レビュー・書評

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  • ページの下半分を注釈が占めているという、変わったページ構成。

    そもそも話し自体も、いったい何の話なのかよくわからない構成・・・

    そういう作風だし、読むの3作目ともなればいくらか慣れるけど、でもやっぱり難しい・・・

    でも注釈をまた注釈してさらに注釈するってのは、なんだか追いかけるのが結構楽しかったりする。

  • 小難しいことは考えずに読み進めればよろしい。

    正直言うと頁の間を行ったり来たりしていると本文の内容が驚くほど頭に入ってこない。それと反比例するように注釈を読むのが楽しくなってくる。次の注釈を読むために本文を読む進めるという、見事な本末転倒っぷりがおかしい。

    読むのに骨が折れる本というのは世の中に数多溢れてるが、指の数が両手じゃ足りなくなるのはこの作品くらいじゃなかろうか。
    校閲さんの苦労を想像すると自然と頭が下がる。

  • 少し飛び道具っぽい作品だけど、本と戯れるような読書体験が面白かった。

    ページの下段3分の1ほどが注釈に使われており、この注釈を素直に読んでいくと、本文をすっ飛ばしてどんどんページをめくることになる。

    むしろ注釈のほうが熱を帯びて書かれているため、さらに注釈の注釈がまた注釈を加速させるなどし始め、せまいスペースで大暴走している。

    我に返ったように、かなりページを戻って本筋に戻るときの、「つーか、何の話だったっけ?」という感覚がバカバカしくて笑ってしまう。

    この構成は、本作の全体に通底する、「どこからともなく降って湧いてくるもの」を体現していて、テーマに一貫性を感じた。

    部屋にたまるホコリと、わいてくる虫の話から、物理学や数学、宇宙、ゲーム、文学、SF三大馬鹿物質まで、気が遠くなるほどの知識に裏づけされた、なんでも来いの脱力ボケの数々。

    そしていつしか、本文に注釈の番号がふられていると、「きたきたきたあ!」と、歓喜している自分に気がつくという、痛快な奇書である。

  • 久々に再読。「わけがわからない」の極致とはまさにこの事。穴の話が面白かった。

  • 注と一緒に読んだ。
    全体をつかむことはさっぱりできなかったけれど、部分でへぇって思ったりこういうところ面白いなーって思ったりしたので、これはこれであり。

  • ネタバレの内容どころか何がネタバレなのかもわからない内容。氏の作品には宇宙が広がってると言うか作品自体がもう宇宙。
    意味なんてないのかもしれない。よくわからないものをよくわからないままよくわからないく書く、って逆に凄いことだし、個人差はあれど、私には何故か面白くて楽しいものばかり。何故って訊かれてもわからないけど。
    意味が分からないのに面白い本、というのは本当に稀で(これも個人差はあるだろうけど)、これはそんな本の一つ。注釈がまた良い味を出しているとも思えるし、注釈の所為で置き土産が沢山散りばめられている。新たな世界への扉がそこかしこにあると言ってもいいかもしれない。
    SF好きならニヤッと出来るネタが中々多く、まあ普通に楽しい。
    ただ問題は、注釈を読んでいると色々考えた挙句本文が進まず「何だったっけ」が増えること。本文→注釈→本文(もしくは並行読み)がおすすめかもしれないし、そうじゃないかもしれない。要は「どんな風に読んだって、わかんないものはわかんない」。
    やっぱり円城塔が好きだなあと再確認されられた本だった。一つ前に読んだ、『シャッフル航法』は理解できる内容が多かったから。
    そしてやはり円城塔の世界が好き。この一言に尽きる。

  • 単行本を読んだ上で文庫になるのが楽しみな本という稀有な存在。いつ出るのか。

  • この作者の本で唯一最後まで読んだ記憶がある
    その記憶しかない

    灰の男の話が良かった

  • 本文と注釈の比率がほぼ一対一という稀によくある形式で自己言及を繰り返す、今までになかったけれどもいつかはやるだろうなあという意味で円城塔らしい小説でした。ところで結局、緑って何者だったのだろう、少なくとも人間ではないというか、そもそも尋常な生物かどうか疑わしい。

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著者プロフィール

円城塔(えんじょう とう)
1972年、北海道生まれ。東北大学理学部卒。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。複数の大学で研究員を務める。34歳の時、研究を続けることが困難となり、2007年にSEとして一般企業に就職。2008年に退職、専業作家となる。
デビューのきっかけは、研究のさなかに書いていた「Self-Reference ENGINE」。各所で認められデビュー作となった。2007年『オブ・ザ・ベースボール』で第104回文學界新人賞、2010年「烏有此譚」で第32回野間文芸新人賞、2012年『道化師の蝶』で第146回芥川賞、同年『屍者の帝国』(伊藤計劃との共著)で第31回日本SF大賞特別賞、第44回星雲賞日本長編部門をそれぞれ受賞。他にも2012年に咲くやこの花賞(文芸その他部門)、2017年「文字渦」で第43回川端康成文学賞をそれぞれ受賞している。
その他代表作に『これはペンです』『エピローグ』などがある。「新潮」2016年5月掲載号で川端康成文学賞を受賞した短編小説、『文字渦』が2018年7月に発売された。

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