- Amazon.co.jp ・本 (158ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062159999
作品紹介・あらすじ
坂は人間を恨んでいる。-心の深みから湧き上がる言葉。海を越え、坂で遊ぶ、大人小説の醍醐味。
感想・レビュー・書評
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隠岐の島と、東京
隠岐の島と東京。
落語の話で、東京の坂道の面白さ。
祖母と私。
隠岐の島の島流し時代の歴史と祖母の歴史と、コロンバンガラ島で戦死した伯父。
何も、つながりのない様に見える話。
最初は、東京にも面白い坂が、あるのだと知って、今度行って見ようか?と思いながら読み進んで行った。
話の坂の道を上るように、隠岐の島の流人の死まで、柿本人麻呂の息子が第一号だった話から、展開して行く。
しかし、戦死した伯父の慰霊祭の話が、大部分になって行く。
坂道でも、島でも、沢山の人が亡くなった話で、最後は、最後は、落ちている自転車の鍵や手帳等も、誰かの遺品かも、、、と、締めくくられている。
海を超え、坂で遊ぶ 大人小説と、帯に書かれていたが、何か、暗い小説にしか、思えない結末であった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
この人を知ったのは、寺尾紗穂の「富士山」を聴いてから。
近所の図書館に置いてあったので、借りてみた。
ストーリーがある様でない様な、
詩集の様な、小説。
この人の詩も読んでみたい。 -
本書の内容をまとめよ、となると「ソロモン諸島のコロンバンガラ島に戦死したおじを弔いに行く話」だと思うのだけれども。慰霊に行き着くまでの、語り手の身辺がそれこそスロープをたどるように、必要な風景だけ拾っていく感じが、至極いいものなのです。
情報は散見するように見えて、最終的には語り手の生活が立体感を持って立ち上がってくる。根底にあるのは、語り手の意識の流れだけかもしれない。ただ、その意識の流れが大変追いやすい作りになっていて、語り手のいうままに部品を拾い集めていたら、いつしかなんか出来上がってるじゃないほらほら、というような。
こういう小説の書き方も、表現のしかたもあるんだよ、というふうに面白く読みました。
これはもしかすると自分で「書く」側の人間にしか持ち得ない感情なのかもしれないけれども、一個人の意識の流れがこれだけ面白くなるというのは、大変素敵なことです。おそらくはそういう事です。 -
いつもの、こころにガツンとくるようなものはなかったですが、読みやすかったです。
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途中で断念
好みじゃない。 -
主人公が、文章の雰囲気からして若いと思っていたら、実はもっと年上だったり、ちょいちょい意外なところがあってそれが印象的でした。シュールな心象風景にはついていけませんでしたが、それは好みの問題でしょうか。
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<blockquote><p><strong>心の深みから湧き上がる言葉で紡がれた物語さかをのぼるように、さかのぼる時と心。「言葉」と「言葉」が繋がり、重なり、踊りながら、物語を紡いでいく。詩人ならではのリズムを底に秘めた絶好小説世界。 </strong></p></blockquote>
独特の雰囲気を持つ一冊である。物語だと思って読んでいると、エッセイのようでもあり、また覚書のようでもあり、読み進むうちにまた物語に戻り、エッセイにつづく。坂道を下っていたらいつのまにか上っていたような、無意識のうちに騙されたような心地にさせられもする。いろんなところに坂はあり、傾斜がついていればそれは坂である。物理的に、心情的に、さまざまな坂のことが書かれているのは確かである。