女性のいない世界 性比不均衡がもたらす恐怖のシナリオ

制作 : 大田 直子 
  • 講談社 (2012年6月22日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062160186

作品紹介

男女の産み分けが容易になったことや一人っ子政策などで、中国やインド……世界の至るところで男が増え続けている。その根底には英米を中心とした国際機関による恐るべき人口抑制策の存在もあった。
本書は、男女比不均衡が引き起こす世界規模の社会的問題について、外国人花嫁や売春婦の人身売買・強奪、暴力犯罪や戦争の増加など、赤裸々な実話を交えてその深刻さを読者に訴えかける力作ノンフィクション。

女性のいない世界 性比不均衡がもたらす恐怖のシナリオの感想・レビュー・書評

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  • 女性のいない社会は殺伐としていて犯罪が多く住みにくい。少ない女は閉じ込められ、社会的な地位は底辺に置かれたままになる。

    世界には男女の性比が極端に男に偏った国がいくつもある。超音波診断装置が発達して、どこでも簡単に安く胎児の性別がわかるようになったことが原因だ。産み分けはまず堕胎から。

    裕福で知識階級の人々は男の子を欲しがる。世の中のトップは男性だから。彼らの産み分けは人工授精。

    1950年代のアジアの人口を減らすために欧米が行ったこと。家族計画により何億という女性が生まれることができなかった。そこには余った若い男性が社会不安の原因となっていく。

    女性の地位を向上させ、自立できるようにする。そんな社会が「娘を産もう」キャンペーンの目玉だが、高い学歴と給料を取るようになった娘たちは結婚が難しい。

    男たちは他国から嫁を買うか売春婦を買う。それは貧しい国から女性を奪うことだ。性感染症も蔓延する。

    とてもパーソナルなことが地球規模で連動し、二世代の時間がたつと思わぬ方向に走っていたということだ。修復は難しそうだ。

  • 前半はどうして男が増え、女が減ってきたのか、中国・インド・韓国などの事情を読み解いて行きます。
    そして後半男女比バランスが崩れたゆえに何が起きたか、これからますます女性の少ない状態が続いたらどうなるかが書かれています。

    女性が少なければ、女性がモテテ大事にされるのかと思っていました。ところが・・・・。
    女性の地位が低いまま、女性の価値が上がったところで、その対価は女性の周りの男性、親や兄に流れるだけでした。
    貧しい国から富める国に嫁に行った娘が里帰りしても、親は娘が婿に大事にされているかどうかを気にしたりしない。気にするのは婿がどれだけの金を嫁の実家に持ってくるかだけ。

    売るために育てられる貧民層の娘でなくても、誘拐や拉致の危険がつきまとうのが「女性のいない世界」。
    お腹の子が女の子だからと中絶するのは女性、男の子を生めと強制する姑も女性、高いお金を出して買った息子の嫁が逃げ出さないようにと見張るのも、女性。
    女子教育を行きわたらせ、女子の経済的自立を可能ならしめない限り、女が女を貶める連鎖は止まない・・・・。

  • 一人っ子政策に加え、医学の発達により男女産み分けが可能になったことから、中国やインドなど世界のいたるところで出生における男女比が不均衡になり、男が増え続けている。男女比不均衡が引き起こす世界規模の社会的問題について、その現状のレポートとデータを踏まえた近未来予測を織り交ぜたノンフィクション。

    本書によれば、もしアジアの出生性比がこの数十年間、自然な平衡値である105を維持していたならば、アジア大陸にはあと1億6,300万人の女性がいたはずだという。日本の総人口よりも多い数の女性が、アジアだけで生まれる前に消されているのだ。

    私はジェンダー関連の問題には関心があるので、途上国における割礼やイスラム圏における名誉の殺人といった明らかな女性差別に関してはいくつか本を読んできたが、この「産み分け」の問題がこんなに深刻だとは本書を読むまで知らなかった。しかもこれは、どちらかといえば文明が発達し、きちんとした医療を受けられる、ある意味でそれなりに男女平等が進んでいるはずの国や地域に特に深刻な問題なのだということは皮肉である。

    著者は「根本的なところで男女は決して平等ではなかった」という趣旨のことを書いているが、これが世界中で改められない限り、産み分けは続けられ、男が増える社会の動向は止められないだろう。
    かといって、そうするためには国のそれぞれの文化、宗教、歴史の中で根付いてきた男女の役割をも変えねばならず、いったいどうすればこの問題を解決できるのか途方に暮れてしまった。

    いずれにしても、こういうことが世界で起きていると知ることができるという意味で、非常にわかりやすい良書である。

  • 人口学関連に興味はあれど、なかなか読めずにいたのでこれが一冊目になる。とてもおもしろかったし人口学の奥深さを堪能できた。
    性比の不均衡が科学技術と経済発展により促進され世界が緩やかに変わりつつあり、その状況を我々は目の当たりにしているにも関わらずどこか他人事としてしか捉えていないために問題をさらに肥大させ、取り返しのつかない状態に追いやろうとしている。
    ベトナム女性がこぞって台湾へ嫁へ行っている実態や、中流階級の産み分け、アメリカの子供選別など知らない世界の出来事がたくさんあった。
    ページをめくる手が止まるような話は数あれど、中でもアメリカの暴力性が入植時の性別比率から来ているという分析は目からウロコだった。確かに冒頭で書かれている通り、無謀な旅をしたがるのは男性の特徴でもあるし、堅実な女性は西部開拓なんかに参加はしなかったのだろう。西部のイメージと男性性は強く結びついている。思えば石川好もアメリカンドリームは女性をなんとかして呼び寄せようとする男たちが作り上げたと著書で書いていたし、性問題とアメリカは切り離せない歴史があるんだろう。
    「女なんて星の数ほどいる」というセリフが通用しなくなってきたな。
    裕福な地域は男性を選んで産み、貧しい地域は女性を選んで産むことによる性の格差を止めないとここ数年で頑張って持ち直してきた性の平等がまた無に帰ることになる。

  • 新聞で紹介されていた本。表題の”女性がいない”は産み分けにより女性が産まれてこないという意味。インドや中国では人口抑制政策により子供の数が規制されるため後継ぎとしての男性が優先され、そのため女性を妊娠していると分かると中絶するという現実がある。しかし、その事が女性の出生率を下げ、男性の結婚を難しくしているという現実も生み出している。本当の男女平等な世界にならないと、この問題は永遠に解決しないことなんだろうなあ。

  • 性比のアンバランスが超音波検査の普及によって蔓延していることを知る。手段が与えられた時の行動が、ほとんど文化に依存しない共通性があることに戦慄する。
    例示された中で米国だけが女児を選んでいるが、本質的な差はないと感じられた。
    アジア東欧を中心に、男児を選ぶ文化圏が広がり、結婚難、国際国内の人身売買が起きている。その状況も酷いが、産み分けの実行者とさまざまな意味での被害者がずれているところに、罪の深さを感ずる。
    この産み分けが、西欧による地球人工抑制策から始まり、その手段として始まったことに戦慄する。

  • 男女産み分けができるようになった結果、男性が多く生まれることにより起こっていることを著した本。

    調べたことを、調べたように書いているのだが長い。
    もっと端的に書いてくれたら読みやすいと思う。

    また、翻訳したものに割と多いのだが、訳語調で理解しずらい文章が散見され、これも読む気を阻害する要因となっている。

    ななめ読み。

    この本では、中国・韓国で至近に至るまで、女性の人身売買が大規模に行われていることが著されている。
    これが事実であれば、昨今の「従軍慰安婦」問題を世界に問う韓国の動きは、ちょっと解せない。(解せないことをする国なのかもしれない)

    私が見聞きする情報はほぼ日本語のものに限られているため、韓国に関する情報に関していえば、ある程度日本のマスコミのフィルターがかかったものなんだと思う。

    それが、右傾的な傾向のものであっても、左傾的な傾向のものであっても。

    英語をもう少し勉強して、世界でどういった議論が行われているかということを知る必要があるのかな。と思った。

  •  視野が日本のライターさんでは逆立ちしても見通せないほどグローバルで、分析が実に学際的。その手際はなんともしなやかで、章立てもとても工夫されている。国際紛争といったら軍事や経済、宗教、資源をめぐる争いだと思っていたら、男女比のアンバランスが深刻な火種を抱えているとは思ってもみなかった。
     それにしても皮肉に満ちた話だ。
    ・明るい家族計画のはずが、人口問題の「最終的解決」に至り、ひいてはテストステロン過剰な男どもによる殺伐とした暴力世界を生むという皮肉。
    ・日本占領中に、共和党員で筋金入りの保守派の指導者たちが、左派顔負けの日本国憲法を作り、熱心に中絶を推し進めるという皮肉。
    ・米のフェミニストが世界で産み分け禁止を唱えれば唱えるほど、本国で中絶自体を禁止しようとする世論が盛り上がるという皮肉。
    ・日本は世界で初めて人口抑制政策の実験場になったのに、産み分けの次のステージで先頭を走っているのは韓国であるという皮肉。
    ・荒くれ者の西部開拓者がルーツとされ、最も暴力的な先進国であるアメリカが、近い将来女だらけになるかもしれないという皮肉。
     訳文はとても読みやすく、原注をPDFにして厚みをなるべく抑えようという配慮が見られるのは好感が持てるが、あとがきになぜ日本における性比の現況が触れられていないのか理解に苦しむ。

  • 男女の産み分けが世界的にこんなに行われ、男女比の差が拡大しているとは思ってもみなかった。男女産み分けが、自分の家庭だけの問題ではないとは、考えずらいのかもしれない。男女比だけでなく、「子供を持つ」という事に倫理的問題が多くなってくる。

  • M・ヴィステンドール『女性のいない世界』講談社、読了。実地取材とデータを元に産み分けの実情(女児中絶)の現在を報告する一冊。助長するのは文化ではなく経済発展。女性が少ない地域では商品価値は上がるが地位は上がらない。男女の人口比から政治経済、生命倫理へと思索を促す驚愕のレポート。了

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