佐野洋子対談集 人生のきほん

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  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062160902

作品紹介・あらすじ

「生きることは、死ぬまでのひまつぶし」
『100万回生きたねこ』の佐野洋子 最後の肉声

『100万回生きたねこ』を通してめぐりあった佐野洋子とサイバラ&リリー。
抱腹絶倒トークの向こうに、「生」への真摯な思いが炸裂!

感想・レビュー・書評

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  • 佐野洋子の対談集。本書の発行は2011年2月。佐野さんが亡くなられたのが2010年11月なので、佐野さんの死後の発行であり、人生の最晩年の対談。対談の相手は、西原理恵子とリリー・フランキー。佐野さんを含め、3人ともが武蔵野美術大学、いわゆる「むさび」のご出身。リリー・フランキーとの対談では、佐野さんはベッドでということだったようなので、体調も相当悪くなっていた時期だったのだろう。ただ、対談内容は、佐野さんの他の対談集と変わらず愉快なものであった。
    西原理恵子は、デビュー作の「まあじゃんほうろうき」をたまたま愛読していた。とても面白い漫画だったし、何よりも作品中に出てくる本人が面白かった。その後の活躍はここで書く必要もないが、ご本人の知らなかった側面が佐野さんとの対談で現れており、それがとても興味深かった。
    リリー・フランキーは「東京タワー」で一躍有名になった。正確には「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」という長い題名の本である。私はこの本を、とても面白かったと記憶しているのであるが、このたなぞうでは、登録していない。もしかしたら、映画で見ただけなのかもしれない。記憶はいいかげんなものだ。

  • 図書館で借りた。
    佐野洋子も西原理恵子もリリー=フランキーも何冊か著作を読んだことがある。
    対談集。
    リリー=フランキーは聞き上手だな、と。
    西原理恵子はがめついな、と。
    佐野洋子の最晩年の対談集ということになるか。

  • この対談集を読んでいたら、世の中にはいろんな人がいていろんな人生があって、今私が悩んでいることなんて「ちっせぇ〜なぁ」と笑い飛ばしてしまえるような元気さをもらった。
    平凡な人生を全うするのは、至難の業だと思うのね
    働かないで食うなんてありえないです
    女には、なかなか折れない強さがあるよね
    息子をニートにしない。娘を売春婦にしない。
    金と命を惜しむな
    という言葉にはなるほど〜と思った。

    私をいちばん変えたのは、出産だと思うね
    にはそのとおり!と深く頷いた。

  • 一般論ではなくお三方の"人生のきほん"が語られている。
    まず、自分が西原さんを苦手だというのを再認識。辛口だとか言いたい放題という面ではなく(それはむしろ好ましいくらい)、暗く黒い自分、怒りから離れられない自分、病んでいるかもしれない自分を認めながら(そこも良いと思う)それを売りにできてしまうところが嫌なのだと気付いた。もちろん見誤っているだけかもしれない。何しろこれだけ受け入れられている方なのだから、本質はそうではないのかもしれない。ただ私は、毎日かあさんを知人に贈られても一読したのみで数年経っても再読したいという気にならないし、まぁ単に相性が悪い、または同族嫌悪的なものかも(笑)
    一方佐野さん。西原さんともども"怒り"が人生の基本だと意気投合し、同じように辛口ではあっても何かが決定的に違うと感じた。それは例えば向田邦子さんが溢れんばかりに持っていた昭和の日本の心根のようなものに通じる気がする。もうひとつ、本書で語っている"生"に対する揺るがぬ根本的姿勢だか思想があるから佐野さんは他の人と違うんじゃないかと思った。今の世の中では批判糾弾されるのがオチだから声を大にして言ってしまえる人の少ない死生観だけど、とてもよく理解できるし、自分のベースがその死生観の上に成り立っているんであればそれは強いはずだよなぁと思う。
    リリーさんとの対談は非常に気持ちよく読めた。お墓の話が秀逸。植木等(金のないやつぁ 俺んとこへこい♪)か!と(笑)...そしてふと思った。私はこれまで割と多くの本を読んできた方だと思うけど、翌日外出できないほど目が腫れるまで涙を止められずに読んだのは『東京タワー』だけだったなと。佐野さんが、リリーさんはお母さんに完全に愛され切った実感があるでしょうというようなことを問い、それを肯定していたリリーさん。佐野さんも私も(一緒にするのはおこがましいが)そういう人に憧れるのだなと思った。お二人の後半部分の対談が行われなかったのは残念な限り。

  • ドイツ人に哲学者が多いのは、
    あまり生きることが楽しくないから

    生きることとは?

    と、考えちゃうからだと思う。

  • 佐野洋子 対、西原理恵子とリリーフランキーの対話。
    皆さんドラマチックな人生歩んでいるけど、地に足がしっかりついている考え方で、好きでした。

  • 佐野洋子さんの最後にされた対談。西原理恵子とリリー・フランキーは武蔵野美術大学出身で佐野さんの後輩に当たります。
    三人の力強い生き方を見ているとスカッとします。
    「生きることは、死ぬまでの暇つぶし」とは佐野さんらしい言葉だと思いました。

  • 入院中、活字飢えの私を満たしてくれた一冊。特に西原さんは破天荒そのもにをネタにした生き方をする女性で、あまり好きではなかったけど、人の生き死にに関しての考え方があまりに自分と共通点があるので驚いた。
    佐野さんの奇抜さにのうらにあるどっしりとした一貫性は本当にかっこよくてあこがれる。
    リリーさんのお父さんと、井上陽水さんのくだりは病室で吹き出した。

    三方とも、私の兄の出身大学、武蔵野美大出である。とくにリリーさんは兄と世代がかぶっていることもあり、あの頃の東京を思い出す。


    三者とも、人生、というより、生死に関する考えが、私が思っていてもなかなか表現できないような、あれこれいいわけしてしまうようなことを、バサーーーッと語ってくれた爽快さがよかった。

  • 佐野洋子と西原理恵子、佐野洋子とリリーフランキー、それぞれとの対談集。
    本来の性格でもあろうが、がん再発の状況下で何に対するこだわりもない著者が、人生と格闘中の西原や、浮遊感のあるリリーと自然体で語り合った対談集。
    彼女の本を読むとなぜか励まされる。

  • やっぱり素敵だ、佐野さん。癌でもうあちこち身体がガタガタだったと思うけど、タバコをプカ~っと。宵越しの金は持たない、好きなものは好き。そんな生きざまがカッコ良いです。西原さん、リリーさんと言うインパクトの強い方々との対談の中でも、佐野さんの個性がキラリ。親、配偶者、子供の話が中心で、三人とも愛情深い方々。

    改めて、佐野さんのご冥福をお祈りいたします。

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著者プロフィール

1938年、北京生まれ。絵本作家。ベストセラー『100万回生きたねこ』のほか『おじさんのかさ』、『ねえ とうさん』(日本絵本賞/小学館児童出版文化賞)など多数の絵本をのこした。
主なエッセイ集に、『私はそうは思わない』、『ふつうがえらい』、『シズコさん』、『神も仏もありませぬ』(小林秀雄賞)、『死ぬ気まんまん』などがある。
2010年11月逝去。

「2021年 『佐野洋子とっておき作品集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

佐野洋子の作品

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