死ねばいいのに

著者 :
  • 講談社
3.50
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本棚登録 : 4274
レビュー : 766
  • Amazon.co.jp ・本 (402ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062161725

作品紹介・あらすじ

死んだ女のことを教えてくれないか-。無礼な男が突然現われ、私に尋ねる。私は一体、彼女の何を知っていたというのだろう。問いかけられた言葉に、暴かれる嘘、晒け出される業、浮かび上がる剥き出しの真実…。人は何のために生きるのか。この世に不思議なことなど何もない。ただ一つあるとすれば、それは-。

感想・レビュー・書評

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  • 何かを変えるということは何かを捨てたうえで成り立つことなのに何も失いたくないから我慢して妥協する。
    でもそんな生活にはうんざりしていてつい不満がこぼれ落ちる。
    そこをケンヤに正論で突かれると分かっていても認めたくないものだ。
    6人の気持ちがわかるからケンヤの言い分にイライラした。そして自分を見つめなおさせられた。
    自分本位な人間の性質がうまく描かれていて生きるということをすごく考えさせられた本だった。

  • 京極夏彦の現代もの(笑)。

    京極夏彦って、凄いな……と、しみじみと思ってしまった一冊。



    初っぱなから、謎、謎、謎。
    ケンヤの正体は?
    目的は?
    アサミの人間性って?
    アサミの人生って?
    誰が彼女を殺したか?

    そもそも、犯人を探すおハナシなのか?
    出てくる人物、非道いのばっかりだけれど?

    ……連作短編6編のうちの5編目まで、全くの謎だらけ。

    最初の十ページくらいで、ガッチリと心を鷲掴みされ、その後はもうほとんど一気読み。

    ★4つ、8ポイント。
    2016.01.27.図。

    ※5編目までが雑誌連載で、最終編は書き下ろしだとのこと。
    (そのままでもちゃんと作品として成立するけれど…)連載分までしか載っていなかったら、消化不良になってただろうな。

  • 初京極作品。いわゆる心霊現象的な恐い話かと思えばそうではなかった。世の中の常識とか普通だと思ってる感覚が本当に真実なのか考えさせられる作品だと思った。もちろん死んでいい理由、殺していい理由はない。ただ何が本当に幸せか分からないまま生きてる人って多いのかもなと感じた。

  •  こんなスタイルの小説、私、初めて読んだ。これって、ミステリーなのかな?犯人が、自分が殺した被害者について、関係者に話を聞いていく形式。
     しかも、彼が関係者に向かって、必ず言う台詞、
     
     それが、

      「じゃあさ。死ねばいいのに」

     関係者が卑屈すぎるとか、「死ねばいいのに」という方向にうまい具合に持って行き過ぎてるとか、いろいろ思うところはあるけれど、犯人である渡会君は、一番愚直で、そして一番自分に正直に生きている人なのかもしれない。殺したらダメだけど(笑)

  • 掴み所がない主人公が、最後の最後になってはっきりと自分の感情を示すところが印象深かった。死ねばいいのにという言葉は他者ではなく自分に向けられたものだったのか。
    こういう後味が悪いというか不安な気持ちになるような話が本当にうまい。
    最後ぞっとしてしまった。

  • 死んだ女のことを教えてくれないか―。無礼な男が突然現われ、私に尋ねる。私は一体、彼女の何を知っていたというのだろう。問いかけられた言葉に、暴かれる嘘、晒け出される業、浮かび上がる剥き出しの真実…。人は何のために生きるのか。この世に不思議なことなど何もない。ただ一つあるとすれば、それは―(amazonより抜粋)

    絶妙なタイミングで「死ねばいいのに」という台詞が出てきます。

    ①上司
    ②お隣さん
    ③ヤクザ
    ④母親
    ⑤担当刑事
    ⑥弁護士

    という順に出てくるんですが。
    母親あたりまでは面白く読めましたが、五人目あたりまでくると、とうとうこの渡来という男性が少々鼻につく感じになってしまいました。
    アサミという女性はどんな女性だったのか。
    どうして殺されてしまったのか。
    誰に殺されたのか。
    サクサクと読めて面白いです。
    発想が愉快です、こういう感じで物語がすすんでいくのも興味深いです。

    ただやっぱり渡来のキャラが最後になって疲れてきました。
    でもそれでも飽きずに最後まで読めます。
    真相を楽しむというよりもその経緯が面白いかも。

  • 最初の数ページで、「こいつ、なんだ?」と普通じゃなさにザワザワする。不思議な存在感のケンヤくん。
    私、ケンヤ側かケンヤに質問された側かというと、たぶんケンヤ側。死にたい環境にずっといるのが苦手。でも、仕事がはちゃめちゃに忙しくなったときには、質問された側の思考になった。愚痴ばっかり、全部他人のせいで、自分から行動は起こさない。そんな人生は何一つ楽しくないし、何一つうまくいかなかった。それなのに、そういうときに死ねばいいのに、ともし言われても、「なんで私が死ななきゃいけないんだ」って思ってしまうんだよなー。被害者意識ってまじめんどくさい。
    一方で、「死ねばいいのに」って言われて「そっか。死ねばいいのか」と思うことは幸せかというと、それはそれで違うと思う。執着できるものがないからしんでもいいということは、心のなかになにもないということ。それは幸せなことじゃない。不幸が絡み合ってしまった事件。
    ケンヤの「死ねばいいのに」カウンセリングとかあったら、すごく繁盛しそう。

    ミステリーはあとで思い出しやすいように、今まで読んだ◯◯系統、とメモがわりに書いているんだけど今回はネタバレに直結してしまうのでやめとく。

  • 亜佐美という女性が殺された。
    「4回しか会ったことがない」ケンヤという男が、亜佐美と関わりのあった人々を探し聞く。

    「アサミのことをおしえてほしい」

    でも、誰も亜佐美がどんな女性だったか…ということよりも、亜佐美と関わった“自分”のことしか話さない。

    自分も苦しかったんだ、辛かったんだ、でもどうしようもなかったんだ…。

    「死ねばいいのに」

    ケンヤの返すその言葉に、皆そういう発想を全くしていなかったことに気づく。

    どんなに苦しいことも、辛いことも、逃れることができないと思うことも、見方さえ変えれば普通のことに見えるようになる。解決方法がどこかにある。
    他人から見ると不幸のどん底にいるような亜佐美だけれど、自分のことを不幸だなどと思っていなかった。

    最後の最後に明かされる事実。
    ストンと心に落ちる。

  • ニュースを見ていて、周りを見ていて、思うこと、言いたいこと、でも言っちゃいけないから言えないことを渡来が代弁してくれていた。なんというか、スッキリする。
    犯人は自分だから、他の関係者が疑われたら迷惑だろうなと思ってしまう渡来にも、幸せなうちに死にたいと思うアサミの気持ちも、それを汲んでやりたくなるのも、だからと言って殺してあげようとは思えないけども、わかる気がする。

    ストレートで愚直な彼の言葉は視野が狭くなっている人たちを、荒いけれどもカウンセリングしているような気がしてならない。
    そして、己の理屈や理論で凝り固まったものを、見事に、その愚直さでぶち壊す。
    もちろん、私もぶち壊され、気付かされた。
    京極さんのイメージとは逆のやり方かもしれない。

    死ねばいいのに、誰でもたぶん一度は思うんじゃないかと思う。
    でも人の数だけ感情、考え、言動、理屈、人生があること、それを常に置いて多角的に見ることの大切さを思い出す。

    本が好きでよかった

  • “自分の中の常識” を変えずに生きようとするからうまくいかないのかなと感じた。

    アサミは、本当に“幸せ”と感じていた。そういう認識、振る舞いが彼女を幸せにしたんじゃないかな。
    ”従順さ”は、処世術だったんだろう。

    しかしみんな卑屈だ。
    アサミみたいに、主観を変えられたら何が起きても楽しくて幸せなんだろう。

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著者プロフィール

京極 夏彦(きょうごく なつひこ)
1963年、北海道小樽市生まれ。小説家としてだけでなく、世界妖怪協会・世界妖怪会議評議員(肝煎)など妖怪研究家であり、他にも装幀家、アートディレクター、俳優など様々な顔を持つ。
広告代理店を経てデザイン会社を設立。1994年、そこで暇つぶしに書いた『姑獲鳥の夏』を講談社に送ったところ極めて評価を受け、同年、即出版・デビューに至る。瞬く間に執筆依頼が殺到する人気作家に上り詰めた。
1996年に『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、1997年『嗤う伊右衛門』で第25回泉鏡花文学賞、2002年『覘き小平次』で第16回山本周五郎賞、2004年『後巷説百物語』で第130回直木三十五賞、2011年『西巷説百物語』で第24回柴田錬三郎賞など、数多くの受賞歴がある。
代表作に「百鬼夜行シリーズ」「巷説百物語シリーズ」「豆腐小僧シリーズ」など。

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