死ねばいいのに

著者 :
  • 講談社
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レビュー : 767
  • Amazon.co.jp ・本 (402ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062161725

感想・レビュー・書評

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  •  こんなスタイルの小説、私、初めて読んだ。これって、ミステリーなのかな?犯人が、自分が殺した被害者について、関係者に話を聞いていく形式。
     しかも、彼が関係者に向かって、必ず言う台詞、
     
     それが、

      「じゃあさ。死ねばいいのに」

     関係者が卑屈すぎるとか、「死ねばいいのに」という方向にうまい具合に持って行き過ぎてるとか、いろいろ思うところはあるけれど、犯人である渡会君は、一番愚直で、そして一番自分に正直に生きている人なのかもしれない。殺したらダメだけど(笑)

  • 最初の数ページで、「こいつ、なんだ?」と普通じゃなさにザワザワする。不思議な存在感のケンヤくん。
    私、ケンヤ側かケンヤに質問された側かというと、たぶんケンヤ側。死にたい環境にずっといるのが苦手。でも、仕事がはちゃめちゃに忙しくなったときには、質問された側の思考になった。愚痴ばっかり、全部他人のせいで、自分から行動は起こさない。そんな人生は何一つ楽しくないし、何一つうまくいかなかった。それなのに、そういうときに死ねばいいのに、ともし言われても、「なんで私が死ななきゃいけないんだ」って思ってしまうんだよなー。被害者意識ってまじめんどくさい。
    一方で、「死ねばいいのに」って言われて「そっか。死ねばいいのか」と思うことは幸せかというと、それはそれで違うと思う。執着できるものがないからしんでもいいということは、心のなかになにもないということ。それは幸せなことじゃない。不幸が絡み合ってしまった事件。
    ケンヤの「死ねばいいのに」カウンセリングとかあったら、すごく繁盛しそう。

    ミステリーはあとで思い出しやすいように、今まで読んだ◯◯系統、とメモがわりに書いているんだけど今回はネタバレに直結してしまうのでやめとく。

  • 一人の女性が殺された。
    その女性がどんな人であったのか、彼は関係者を訪ねて歩く。
    彼女の上司で、妻と別れる気も無いのに「本気だった」と言う男。
    彼女のアパートの隣室に住む派遣社員。
    ヤクザの、彼女の男。
    彼女の母親。
    彼女の事が知りたいのに、誰もが自分の事しか話さない。
    そして、彼女を殺した犯人は・・・

  • 見下して、吐き捨てるような「死ねばいいのに」を想像してましたがそんなんじゃないです。

    貴方が今不満に思ってることは、何が原因なの?
    これを読んでどきっと貴方は、自分の見方考え方が少し間違ってるんじゃないの?
    なんとなく、現代版フリーターによる憑き物落しなのかも、とも思ったり。

    タイトルも良いけど、単行本の装丁も好きです。黒表紙に金の題字!プレゼントしたら誤解されそうだけども。

  • なんともあからさまなタイトル。
    思わず手に取ってしまった。

    1人の女性が殺された。
    彼女はどんな人だったのか、関連する人々に若者が聞いてまわる。
    その若者のなんとも気だるい態度とまどろっこしい物言い。
    でもそんな会話に自分の心に潜む日常への不満と重なる部分があり、
    私こそ「死ねばいい」存在なんだとドキリとしてしまう。

    この若者は死神かと思った。けど違った。
    彼もただの人だったのだ。ちょっと歪んだ。

  • 君の口癖だよね、と言われたタイトル。そうかも。
    アサミという女が殺され、『知り合い』のケンヤは彼女のことを知る為に、彼女の周囲の人々を訪ねる。だが誰もが自分のことばかりで、アサミについては何も語らない。自分はどうにもならない状況だと不平ばかりの彼らにケンヤは言う。『ならさ、死ねばいいのに』。
    私が言う『死ねばいいのに』とは意味を異にするこの台詞が、連作短編の中で必ず一度ずつ出てくる。そんな訳いくかと言い募る人々が、その後打開策を見出せたのかは語られてないので分からない。こんなこと言われたくらいで目が覚めるような殊勝な面は誰も持ち合わせていないように見えるので、この後何かが変わった奴などいないだろう。それでもこの台詞は、一種の『憑き物落とし』のようだ。劇的に変わることはなくても、何かに気付くことは出来る。気付いたからどうかというのはまた別の話ではあるが。アサミを殺したのはケンヤで、彼はアサミのことが分からないから知りたくて聞いて回っていたのだと言う。結局誰にも彼女のことは分からない(ケンヤは最初から一貫してそう言っているが)し、読んでる方としても何も分からない。だが未消化な感じは残らないのが不思議なところ。ケンヤはだらしない態度と言葉遣いでたいへんな馬鹿のように思えるし、殺人という社会や倫理、法など全てから逸脱した罪を犯しているが、実はそれほど悪くもないし、むしろ一番常識人なのではと思った。『異邦人』のムルソーみたい。

  • 読後感がすごい。
    死んだ女、アサミを好きになった。

    タイトルの「死ねばいいのに」がキーワードになります。

    四人目まではところどころ共感したんだけど、六人目が理屈家すぎて…でもこういう人もいるのかな?


    ブックカバーの装丁がとても豪華。
    山本タカトが描くアサミらしきイラストがより本文を盛り上げてくれました。

  • 主人公ケンヤが学がないという割に妙に語彙が豊富で、社会的には上位にある立場の人達を論理的に言いくるめる(揚げ足を取る様に矛盾を突く)様はなかなか爽快。

    人は皆、自分本位で盲目だから、他人の幸不幸は解んないよね。という話。でよいのかな。
    直ぐに理由や目的を求めてしまう、自分本位な感想です。

    真実は創られる、てくだりは、裁判員制度の今、普通にありそうで恐い。

  • 一人の女性殺害の結末!?言葉とは裏腹の自虐、自意識過剰、卑屈、心の弱さの隙間をさらけ出す人達を健也がジワジワと炙り出す。次第に亜佐美と犯人が浮き出すも、理解出来なかったのか、単純を押し通したのか最後まで謎!笑ゥせぇるすまんの喪黒福造を思い出した。

  • 殺人事件が起こるものだと勘違いして借りた書物。

    1番怖いのは純粋な魂に自分を殺させたあさみ。その高慢さ。

    何かが起こった時、1番心が強いのはケンヤのような人間だと思う。
    上昇志向はいい事だけど不満を持てばきりがないし、人生もモノクロに感じてしまう。
    ほどほどで満足するのは大事だな。

著者プロフィール

京極 夏彦(きょうごく なつひこ)
1963年、北海道小樽市生まれ。小説家としてだけでなく、世界妖怪協会・世界妖怪会議評議員(肝煎)など妖怪研究家であり、他にも装幀家、アートディレクター、俳優など様々な顔を持つ。
広告代理店を経てデザイン会社を設立。1994年、そこで暇つぶしに書いた『姑獲鳥の夏』を講談社に送ったところ極めて評価を受け、同年、即出版・デビューに至る。瞬く間に執筆依頼が殺到する人気作家に上り詰めた。
1996年に『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、1997年『嗤う伊右衛門』で第25回泉鏡花文学賞、2002年『覘き小平次』で第16回山本周五郎賞、2004年『後巷説百物語』で第130回直木三十五賞、2011年『西巷説百物語』で第24回柴田錬三郎賞など、数多くの受賞歴がある。
代表作に「百鬼夜行シリーズ」「巷説百物語シリーズ」「豆腐小僧シリーズ」など。

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