ファミリー・シークレット

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (354ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062161992

作品紹介・あらすじ

「子どもなんて、いなければよかった」作家・柳美里が、小説に閉じ込めてきた「過去」と初めて向き合った、家族「再生」への感動ノンフィクション。

感想・レビュー・書評

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  • 自身の親からの、そして子どもへの虐待を題材としたノンフィクション。

    諸刃の剣のような文だと思った。

    そしてなんて自虐意識の強い人なのだろう。

    彼女は話すことが不得手だという。

    だが、彼女の書くことはとても攻撃的だ。

    他者を攻撃し、自己をも傷つける。

    児童虐待を受けたことも子どももいない私は其の事について想像する...

    暴力、育児放棄、ニュースを見、記事を読み想像する。

    ヒステリックに子どもに怒鳴りちらす、子どもが間違ったことをしたから。

    自分の感情が暴走して思わず手が出る。

    ありえるのではないかと思う。

    一度なら許されるのか?繰り返すからいけないのか?

    感情が暴走することがいけないのか?冷静ならばたたいてもいいのか?
    そしてすべて曝け出し自らの傷を抉り続ける彼女について。

    想像しかできず、考える。

  • 私は親に叱られ、殴られて育ったから、自分の子供にも同じことをするんじゃないかという恐怖は良く分かる。虐待の連鎖というのはどこかで断ち切らなければいけないのだけれど、それを自分の代で出来るかと問われると気安くそうだとは言えない。あと、父親とのカウンセリングでお互いの記憶が食い違っていた所は妙にリアリティを感じた。どちらの記憶が正しいかではなく、どちらも自分に都合のいいように記憶を書き換えてしまう事はあるのかもしれない。柳さんが少しでも救われるよう祈りたい。

  • 『わたしが父親から受けた暴力は「虐待」なんですか?』
    NHKの番組でカウンセラーとのこのやりとりが放送された時、柳美里さんの作品をすでにいくつか読んでいた私は「ええっ?!」と驚愕しました。
    どう考えても虐待のサバイバーなのは明らかだと思っていたからです。
    柳さんと子供との熾烈なやりとりは、かつて私が小さな子供にあふれ出る怒りに苦しんでいた頃の、あの痛みを思い出させます。
    多くの母親が子供を育てて初めて、こんなにつらかったのかと思い知ります。
    「虐待」に関してかなり皆が話したり、本も多く出版されるようになってはいるものの、連鎖を断ち切ることは20年以上前と変わらず困難です。
    柳美里さんには息子さんとともに、とにかく生き抜いてほしいと願っています。

  • 新刊発表同時に、購入、夢中で手繰った。
    面白い。これまた、一気読み。

    そして、柳美里は変わらないことを選択した。

    身に覚えのあるひとは、ぜったいまねしないことだ。
    柳美里だから、ということを忘れてはならない。

  • 著者が虐待されていたエピソードには同情するけど、彼女が犯してきた悪質な振る舞い(盗難や小動物虐待)には正直引く。
    一家総出でその振る舞いはどうかな。各々事情があることは承知だが、価値観が自分とまったく違うので理解に苦しむ。

    息子への虐待や、上記の内容を明け透けに語っている。
    告白している。
    そこまで言うかということまで書いてある。
    とんでもないものを読んでしまったという思いでいっぱいです。

  • 図書館で手に取った。母の日の特設コーナーだったのかもしれない。
    今、読むべき時だった。

    読み進まなかった時、息子さんへの怒りで作者が張り詰めている場面。私にもこういう事があったのでは無いかと深い深い反省。
    先が気になってどんどん読み進んだのは心理士さんとのカウンセリングの中で作者が解放されていく様子。また、お父様の過去の記憶。興味深かった。

    「ご家庭でも、よく言って聞かせてください」と学校から言われたり、そう感じる社会。追い詰める言葉と記されてあったが、原因はそこには無いんだと気づいた。

    自身をつくったのは先祖からの連鎖?だけど、されて嫌だったことの1番や2番は他人にしていない筈。絶対に。そして言葉にできていない愛情は溢れるほどある。

    この本を書いてくださった柳美里さんありがとうございました。

  • 910.268

  • カウンセリングの内容がとても興味深く(時期が時期だけに)、また柳さんにとっての「書く」という行為の理由付けがはっきり見えてくる。『家族シネマ』と併せて読めてよかった!

  • 柳さんの父と自分の父が被るし、柳さんの息子と私の子どもの頃も重なる部分があって、一気に読んでしまった。
    私も形容詞や自分の感情を口に出すのトライしてみよう。
    柳さんはカウンセリング受けた結果余計苦しんでるみたいだったけど、その後どうなってるんだろう。

  • 柳さんの作品はほとんど家庭の影響を受けているのだろうと思わざるを得ないものばかりだ。複雑な家庭環境だったというのは周知だ。だけど今回真っ向からその生い立ちや家族と向き合って、避けてきた自分自身を探す。感想はというと、、、よく頑張った、柳さんと息子さんを応援したい、と思った。すごくせつないんだけど彼女にとって絶対必要な時間だったと思う。親の記憶と子どもの記憶・・・・・考えさせられた。

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著者プロフィール

柳美里(ゆう・みり) 小説家・劇作家。1968年、神奈川県出身。高校中退後、劇団「東京キッドブラザース」に入団。女優、演出助手を経て、1987年、演劇ユニット「青春五月党」を結成。1993年、『魚の祭』で、第37回岸田國士戯曲賞を受賞。1994年、初の小説作品「石に泳ぐ魚」を「新潮」に発表。1996年、『フルハウス』で、第18回野間文芸新人賞、第24回泉鏡花文学賞を受賞。1997年、「家族シネマ」で、第116回芥川賞を受賞。著書多数。2015年から福島県南相馬市に居住。2018年4月、南相馬市小高区の自宅で本屋「フルハウス」をオープン。同年9月には、自宅敷地内の「La MaMa ODAKA」で「青春五月党」の復活公演を実施。

「2020年 『南相馬メドレー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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