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- / ISBN・EAN: 9784062162029
感想・レビュー・書評
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死体を丸ごと、もしくは首を切断して頭を冷凍保存し、いつか復活できる日まで冷凍する組織、アルコー延命財団の内部事情を暴露した本。
まあまあなボリュームだが、テーマが興味深くすぐに読めてしまった。
読み進めるとどんどん組織のヤバさと作者であるラリーの“アドレナリンジャンキー”っぷりが感じられるのだが、同時に医学的な標準の線引きはどこになるんだろうと感じ始めた。
職員も処置も衛生的で同意も得て冷凍保存したとしたらどう感じるか?今実際に行われている臓器や卵子の冷凍保存との違いは?
団体の実情を知らなければ人体冷凍自体に惹かれる人は少なくない気がした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
アルコー延命財団の内幕を暴露した本。アルコー延命財団とは、死体を冷凍保存して医療技術が高度に発展した未来に復活を果たすための団体だ。
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なんて話なのか!
書かれている内容については、星5個だと思うが、とにかく気持ちが悪く、最後まで読めない人もいると思う。
本の帯にもある、ショッキングな写真が掲載されています、ご注意ください、そんな文言を始めて見た。
訳者はよく最後までやり遂げたと思う。
アルコーが現存していることが、恐ろしい。
ラリージョンソン夫妻が、無事に生活できることを心の底から祈ってます。 -
人体冷凍保存(cryonics)と未来での復活を信ずる財団がアメリカに実在する。
未来へ行く一方通行のタイムトラベルの手段や、宇宙船での惑星間移動などにおいて、人体を低温状態に保ち、目的地に着くまでの時間経過による搭乗員の老化を防ぐという未実現の技術(英語:suspended animation、cold sleepは和製英語)とは、一応別物のようである。
ノンフィクション(内部告発本)。 -
おそまつな財団。自分の死体を冷凍保存希望する人は、未来で自分が役に立つと思い込んでいる、という指摘、的を得ている。
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たまたま日曜日のテレビ「世界まるみえDX」でこの財団のことを取り上げていた。
アメリカに住む老齢の男性が病気で妻を亡くしたが、遺体を埋葬せず、この財団で冷凍保存する道を選択した経緯が放映された。
男性はインタビューでだいたいこんなことを答えた。
…科学の進歩した未来では、今日では不治の病と思われている症状でも治せる可能性がある。妻も今の状態のまま冷凍保存して、その時を待てば、再び一緒に暮らせる日がくるかもしれない。私は妻を愛しているのです。わずか1%の可能性でも、その夢にかけてみたいのです。
もちろんこの男性自身も死後(彼らは死を否定するのでファースト・ライフサイクルの終わりという)は冷凍保存されることになっている。その手術費用はかなり高額のようだが、生命保険で賄われるらしい。
番組は視聴者に永遠の命というものも夢ではなくなるかもしれない、という希望を持たせ、楠田枝里子も「夫婦愛のを感じるいいお話ですね〜」みたいなことを言って、いいお話だったという雰囲気を醸し出していた。
しかしこの本を読むと、それが全部偽りだということがわかる。とにかくひどい団体なのだ。
冷凍保存を希望する人が亡くなって遺族が連絡しようとしても、緊急連絡先の電話が不通になっていることが度々ある。病院から遺体を搬送するときにレンタルトラックを使うので、砂漠の高熱で腐敗が進み異臭に目も開けられない状態になる。処置室に搬入してからも機械が故障ばかり。直す技師がいないし、医師もいない。ようやく処置がはじまったと思ったらその内容といったら頭部をトンカチと鑿で力づくで切り落とすという荒業。そして切り取った頭部を置く容器がツナの空き缶。
基本的にここで働く人間たちは、遺体を尊重するという気持ちが欠如している。
そればかりではない。冷凍保存処置を早く始めたいばかりに、まだ生きている人を薬物で安楽死をさせたことが過去何例もあるらしい。
冷凍保存と言う埋葬法ということなら違法でないのかもしれない。
しかし彼らは高額な金を取っている。金を巻き上げる似非宗教と同じだ。
著者は冷凍保存した人体が復活することについて「マクドナルドのハンバーガーが再び肉牛として動き出すくらい不可能」と言い切る。
例えば一度冷凍したイチゴを再び解凍したら、ベチョベチョになる。それは冷凍されるときに水分が細胞組織を破壊するからだ。それと同じ現象が冷凍された脳でも起こる。解凍したらベチョベチョで細胞が破壊された脳が残るだけだ。要するにそれは脳の形は保っていても、ただのミンチなのだ。
それでも科学の発展した未来なら復活の可能性があるのだろうか。仮にあったしても、一度死んだ人間を蘇らせようとする行為が許される社会道徳が未来にあるとは、自分には到底思えない。
信教の自由があるから何を信じようとそれぞれの勝手だが、この財団の信者の方々にはぜひ一度『輪廻』思想を学んでもらいたい。そんな死生観もあるのかと冷静になれるかもしれない。 -
死体冷凍保存カルトの内部告発本。戦慄した。元救急救命士の著者が,アルコー延命財団に就職。そこで行われている行為のいい加減さを目の当たりにし,ついに告発に至る。著者は救急救命士時代,かのブランチダヴィディアンの包囲にも関わったみたいで,何かカルト憑いてる…。とにかく,フィクションだとしても面白い本だった。内部告発の準備や告発後の受難などスリリングで,映画にでもなったりしそうな感じ。
冷凍の目的は,医学の進歩に期待して,将来蘇生するために死後特に脳をそのままの状態で長期間保存しておくことだ。アルコーの会員になると,死の直後に冷凍処置がなされ,デュワーの中に安置される。全身冷凍の場合もあるが,多くは頭部だけの冷凍保存になる。彼らは,脳さえ残っていれば復活できると考えている。冷凍保存は長期間可能であり,そこまで医学が進歩してから解凍してもらえばいいから。多少劣化があったとしても,医学の進歩がそれを克服してくれる。いやはや何とも楽観的な話だ…。
人体冷凍保存の信奉者は,通常の一生を「第一のライフサイクル」と呼ぶそうだ。解凍されて復活すると第二のライフサイクルがはじまる。未来へのタイムマシンのようで,そんな冒険を夢見る会員も少なくない。彼らにとって火葬や土葬はありえない。復活が絶望的になるから。まさにカルト。アルコーの職員も軒並み会員で,冷凍保存信奉者。著者は就職当初は入会しなかったが,なぜ会員にならないかと訝しがられて結局入会手続をする。不本意だったがそれは内部告発のための証拠集めにとても役立った。
著者はまず気違いじみた同僚たちに不信感を抱き,実際の冷凍処置においてあまりのずさんさに衝撃を受ける。遺体はぞんざいに扱われ,将来の蘇生など到底おぼつかないほど稚拙でいい加減な処置だった。さらに,本人の同意なき冷凍保存や,殺人の疑いまで発覚する。
同意なき冷凍の犠牲者は,テッド・ウィリアムズ。伝説の大リーガーで,空前絶後の4割打者,しかも二次大戦と朝鮮戦争の英雄であったテッドは,火葬を望んでいたのに,息子の意向によって冷凍保存されてしまう。遺体に対する冒瀆。
殺人というのは,解凍→蘇生がうまくいくように,自然に死ぬのを待たずに冷凍保存してしまうという恐るべきフライングだ。2件ほどこの疑いが濃厚な事例があったそうだ。なるほど「第一のライフサイクル」より「第二のライフサイクル」が大事なんだから,行きつくとこまでいけばそうなる。
著者のラリーはこういった事件の証拠集めをして,告発に漕ぎつける。しかし,その後はアルコーに命を狙われることになってしまう。人体冷凍カルト,怖い,怖いよ…。日本に進出してきませんように。 -
救命救急士として25年のキャリアを誇る著者が、その仕事に疲れて
転職した先は死後の復活を夢見る人たちを冷凍保存する非営利団体・
アルコー延命財団だった。
そこで見聞したことを元に綴られたのが内部告発本ともいえる本書。
遺体を冷凍保存して未来に生き返る。SF映画や小説ではお馴染みの題材
であるが、各種の科学技術が進歩を遂げている現在では絵空事ではなく
なるかもしれぬ。
しかし、本書に書かれている内容はあまりにも衝撃的だ。復活の日の
為に頭部だけを切断して冷凍保存する処置の模様が詳細に描かれて
いるが、ノミで骨を切断するってなんだよ。
「これが人体を扱う人間の所業か」と思う。しかも、まだ亡くなって
いない会員を冷凍しちゃったりしている。
遺体から抜いた血液や処置に使用した薬剤をなんの処理もせずに
シンクにながしたり、下水にすてたりしてるのも医療に携わる
人間としてどうなんだ?
人体冷凍保存には根強い信奉者がいるという。確かに可能性はあるの
ではないかとは思う。だが、アルコー財団の内側で行われていることは
死者への冒涜としか思えない。
尚、この内部告発によって著者は今でも財団から命を狙われているという。
おぞましい内容ではあるが◎な良書だ。ただ、冷凍保存された頭部や
頭部切断の写真が掲載されているので、グロが苦手な方は要注意。私は
食後に見ちゃったんだけどね。汗。 -
テッド・ウィリアムスという野球選手をご存じだろうか?メジャーリーグ最強のスラッガーと謳われ、4割の打率をマークしたこともある国民的英雄である。しかし、その輝かしい栄光とは裏腹に、晩年には彼の人生に暗い影を落とすような出来事があった。その遺体は今、カルト教団の手によって頭部のみが冷凍保存されているのだ。本書は、そのカルト教団「アルコー延命財団」を内部告発した著者による、戦慄のノンフィクションである。
クライオニクス・・・「病気で死んだ人間の身体を冷凍保存する行為。その病気の治療法が開発された未来に甦り、新たな人生を送ることを主な目的とする。人体冷凍保存術」。それが彼らの信仰の拠り所でもある。彼らはそれが、「高度に医学が発達した未来への救急車」であると信じているのだ。
彼らは未来に対し三つの賭けを行っている。それは復活を遂げるまでに、その会員の死因となった病気を克服する術が見つかっていること。そして、冷凍保存で損傷した傷が回復する術が見つかっていること。また、頭部のみ冷凍保存している会員については、仮に胴体がなくても脳によってあらゆる制御が可能な技術が開発されていることである。仮にそうして、無事復活をすることができたとして、果たして心が耐えられるのかどうか・・・
著者はアルコー財団での日々を重ねるにつれ、その杜撰な実態を知り、やがて告発を決意する。しかも、彼とその家族はその告発によって、財団から命を狙われる羽目にも陥ってしまう。その勇気には敬服し、同情も感じるのだが、本書の記述を追っていく中で「途中で、おかしいと気付くだろ!」という突っ込みどころが満載なのも事実である。そういった意味で、本書をコンテンツとして割り切るのなら、そのストーリーテーリングについては若干の物足りなさを感じる。しかし特筆すべきは、この話がすべて実話であり、今でもその財団が存在して、HPも見られる状態になっているということなのである。
話の内容の凄まじさに加え、グロい写真も掲載されていたりするので、全ての人におススメという本ではない。ただし、ある意味突き抜けている一冊でもある。とにかく刺激を求めたいという方は、是非ご一読を。 -
内容(「BOOK」データベースより)
好奇心と好条件で転職を決意した救急救命士。だが、新たな職場は、人体の冷凍保存と未来での復活を狂信する科学カルト集団だった…。全米を震撼させた戦慄の実話ホラー。
渡会圭子の作品





