小暮写眞館 (書き下ろし100冊)

著者 :
  • 講談社
3.86
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本棚登録 : 4689
レビュー : 756
  • Amazon.co.jp ・本 (722ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062162227

感想・レビュー・書評

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  • 本は厚いが、宮部ワールドの味付は薄いかな。

  • 700頁の大作は、読むのに苦労はしたが、最後まで読んで良かった。

    心霊写真を通じて広がる人間関係。
    はじめの方は、単なる心霊写真を追求する物語かと思った。
    けれども、読み進めるうちに、様子が変わる。

    いろいろな人が色々な思いを抱えて生きている。
    色々な感情を外にださずに生きている。
    出さない。という言葉は違うかもしれない。
    あまりに深く心に引っかかっているから、出せないのかもしれない。

    最後の方で、人との出会いと別れを電車と駅に例えた言葉があった。
    それを読んだ時、なんだか泣けてきた。
    私は駅に固執しているかもしれないなと。

    宮部さんは、やはりすごい作家だな。。
    挫けずに読みきれて本当によかった!

    できたら、テンコ、ピカちゃん、英一、コゲパン、不動産の社長にあってみたい。
    あと、小湊鉄道に乗りたくなる。。

  •  これ、ラブストーリーだったんだ。それも飛びきりの。枝葉が多くて全体がふくらんでいるから見通しがよくないけれど、枝葉を刈りこんでしまえばシンプルな話だ。読み終えてふと帯を見たら、ちゃんと書いてあった。「もう会えないなんて言うなよ」って。
     大船駅のラストシーンが美しすぎる。今どきインスタントカメラかよ。現像しなくていいよ、だと? ふざけんじゃないよまったく。全然似合わないよ。甘ったるくて見ちゃいられないよ。ほら、目から汗が...。
     700頁を越える長編。全体が4話に分かれてはいるものの、主人公の高校生花菱英一の家族と交友関係が中心のひとつながりの長いストーリーになっている。いろいろな事件、出来事が次々に起こるが、錯綜していないので混乱することもなくスラスラ読めてしまう。もともと読みやすい文章を書くことにおいては天下一品の著者だし、豊かな表現力のせいで主要登場人物のキャラが立っていてわかりやすいのだ。
     宮部みゆきの文章については、何度も繰り返し書いたので今さら付け足すこともないが、ほんとうに感心してしまう。この人の頭の引き出しはどうなっているのだろう。たとえば、「笑う」という引き出しにはゆうに100個くらいの表現が詰まっていて、そのつど最適なのを引っ張り出してきてはピタリとはめるから、読み手にはその笑い方ひとつで、作中人物がどんな人でどう感じているかが目の前に見るように浮かんでくる。つい親近感を覚える。そして作品世界に惹きこまれる。そうなったらすでにもうお釈迦様の掌の上だ。
     これはこれでハッピーエンドなんだろうな。諸々のことはほぼ片づいてしまったし。ラブストーリーとしてはどうなのかという気もちらっとはするけれど、常識的にいえば妥当な結末だろう。この作者は読み手を裏切ったり放り出したりするような邪悪な結末が書ける人ではない。人が困っていたり、不幸だったりするのを黙って見ていられない人なんだろう。だから安心して読める。人にも薦められる。でも、やっぱりちょっとかなしい。もう会えないなんて。

  • 小暮写真館っていう古いお店の建物をそっくりそのまま買い、少しだけリフォームして看板もウィンドウもカウンターをそのまま残して引っ越して住むことになった花菱くん一家の一見不思議のお話。
    713頁の最後の行までいっぱいぎっちりの長ーい話は、一本の話だった。終わりまで読んでやっと見えた。あの不思議も、その不思議も、それもこれも、時々見え隠れしていたんだけど、そこへ向かっていたのはわからなかった。

    時間が、薬にならないこともある。他人が「たられば」いうのは簡単。大きすぎ抱えきれずどうすることもできなかった後悔しきれない出来事はどうすればいいの。冷凍しても背を向けても、自然に消えることなんてない。
    でもその出会いと存在により、「乗り越える」というのも違う「そこから走り出せる出発点になる」ことはあるんだな。
    予備知識なく宮部さんのだ~!と読み始めたが、思いがけず救われた気持ち。
    自分はまだ駅から走りだしたわけじゃないが(駅を見つけてもないかもしれん)いつかは、そういう境地になれるのかも。垣本順子のように。ピカちゃんのように。花ちゃんのように。
    そんな一冊^^

  • 旧写真館を購入し暮らし始めたことから始まり、明らかになる様々な人間模様。心霊写真?から始まる物語は、登場人物たちの抱える「過去」から続く現在の苦しみを次々と明らかにする。でも、登場人物たちの絆が勇気を与え、それぞれに成長していく。読後、爽やかな気分にさせられる。

  • 久々の長編宮部。
    写真館跡地に越してきた家族を描く、ほのぼの系。
    何故か長男にちょっとした謎を持ってくる人々。弟の光が、素直で聡明、そして可愛らしい。
    シリーズ短編という感じで、ガンガン引き込まれる感じはなかったので、少し残念。でも、好き。

  • 宮部みゆき作品はミステリーしか読んだ事なかった。
    読んでみてすごくほっこりした。
    腕が疲れたけど...。

  • 前半は心霊写真や幽霊の話題なんかが出てきてオカルトっぽく、及び腰になってしまった(コワイのは苦手なので)けれど、物語が進むに従って、人の持つ悲しさ、それゆえの温かさを感じ、あふれる涙を止めることができなかった。

    少し変わり者の両親(でも一緒に暮らすのは楽しそうだと思う)と年の離れた弟が居る高校生の花菱英一。
    仲の良い親子であるのは、同じ痛みを抱えていたから。

    少しぐらい変わっていたって、心が温かい家族と
    やっぱり少しぐらい変わっている友人たちに囲まれた英一は、とても幸せ者だと思う。
    英一がつけたけじめに、
    その後駆け抜けた冬の日の景色に、胸の中が冴えわたる感覚。

    人はとかく自分の善意を正しいことだと思い込む節がある。
    正義や。善意。
    目に見えないからこそ難しい問題だ。

    春の陽射しがゆれるような、まさに表紙の写真のような希望を感じた読後感。
    分厚いけれど、読んで良かった。

    • まろんさん
      おお!この本、まさに今、図書館に予約中なのです。気が合いますね♪

      宮部みゆきさんは、初期の『魔術はささやく』とか
      『レベル7』とか『火車』...
      おお!この本、まさに今、図書館に予約中なのです。気が合いますね♪

      宮部みゆきさんは、初期の『魔術はささやく』とか
      『レベル7』とか『火車』を読んだ時
      謎を追う過程で、ちょこっと証言してくれたりするような
      多くて1ページくらいしか登場しないおじいさんとかおばさんとかのセリフや描写が
      涙が出るくらい温かくて、感動しました。

      私も怖いのは苦手だけれど、前半を乗り越えれば、
      宮部さんらしい温かさが待っているんですね♪

      永遠ニ馨ルさんのレビューに励まされて、図書館から届き次第、はりきって読んでみます!
      2012/06/13
    • 永遠ニ馨ルさん
      わ、そうだったんですね♪>図書館に予約中
      私は昨年の5月に図書館予約したんですよ(ブクログへの登録も同時期にしておいたので分かった)
      宮部み...
      わ、そうだったんですね♪>図書館に予約中
      私は昨年の5月に図書館予約したんですよ(ブクログへの登録も同時期にしておいたので分かった)
      宮部みゆきさんの作品を読むのは初めてでしたが、他のレビューだと人がたくさん死んじゃったりするものが多いみたいで;
      でもこちらは本当に読んでよかったって思える、少し切ないけどあたたかいラストでした。
      読まれたら、またレビューを聞かせてくださいね♪
      2012/06/13
  • 久しぶりの(私の中で)宮部さんの現代物のヒット作品でした。
    登場人物がユニークで会話が面白くてするすると物語に入って行けました。くどい表現がやや気になったものの、いつもの宮部さんの語り口で、さらりと辛い暗い話を織り込んでくるところはいつもながらさすがだと思います。

    前半は心霊写真やらに興味がないのでするするとはいきませんでしたが、それに関わる人たちの話とか解釈の仕方とかは興味深くて、そして後半は一気に読みました。
    後半はぐっとくる部分が多かったですね。特にピカちゃんと英一の心の影を話す部分は読んでいて辛かったです。

    最後はちょっと物足りないかなぁと思ったけれど、いい終わり方でした。
    読み終わってからカバーの写真の意味がわかりました。

  • 昔の小説が、次々ドラマ化されてるが、読書ファンとしては複雑。
    宮部さんの小説は昔もの凄く人死んでましたよね。
    でもこの作品は青春ミステリーで人が死ななくてもミステリとして、物語として、成立し感動できる事を証明してくれました。とってもこの小説を読んでいる時は幸せでした。最近は時代小説ばかりですが、ミステリーとは限らず現代小説も書いてほしいです。

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著者プロフィール

宮部 みゆき(みやべ みゆき)
1960年、東京都生まれ。1987年に「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞を受賞し、デビュー。1992年『龍は眠る』で日本推理作家協会賞、1999年には『理由』で直木賞、2002年『模倣犯』で司馬遼太郎賞、2007年『名もなき毒』で吉川英治文学賞など、数々の文学賞を受賞。大沢オフィス所属。日本推理作家協会会員。日本SF作家クラブ会員。直木賞、日本SF大賞、小説すばる新人賞、河合隼雄物語賞など多くの文学賞で選考委員を務める。『模倣犯』や『ブレイブ・ストーリー』など、多くの作品がドラマ化や映画化などメディア・ミックスされており、日本を代表するエンターテインメント作家として人気を博している。2019年7月10日『さよならの儀式』を刊行。

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