- Amazon.co.jp ・本 (314ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062162517
作品紹介・あらすじ
悔しい、恥ずかしい、息苦しい――。
それでも日々は、続いていく。
今もっとも注目の作家・辻村深月 心震わす傑作青春小説!
【収録作品】
「しあわせのこみち」
T大学文学部二年生、清水あやめ。「感性」を武器に絵を描いてきたという自負がある。しかし、授業で男子学生・田辺が作った美しい映像作品を見て、生まれて初めて圧倒的な敗北感を味わい……。
「チハラトーコの物語」(「『嘘』という美学」を改題)
美人でスタイル抜群、ガチに博識でオタク。チハラトーコは、言葉に嘘を交ぜて自らを飾る「嘘のプロ」。恩師、モデル仲間、強気な脚本家との出会いが彼女にもたらすものとは?
「樹氷の街」
中学校最後の合唱コンクール。指揮を振る天木だったが、本番一ヶ月前になっても伴奏のピアノは途中で止まり、歌声もバラバラ。同級生の松永郁也が天才的なピアノの腕を持つことを知った彼は……。
【著者プロフィール】
辻村深月(つじむら・みづき)
1980年2月29日生まれ。千葉大学教育学部卒業。
2004年に『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。他の著作に『凍りのくじら』『ぼくのメジャースプーン』『スロウハイツの神様』『名前探しの放課後』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『V.T.R.』(以上、講談社)、『太陽の坐る場所』(文藝春秋)、『ふちなしのかがみ』(角川書店)など。2009年に『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』が第142回直木賞候補作となる。新作の度に期待を大きく上回る作品を刊行し続け、幅広い読者からの熱い支持を得ている。
感想・レビュー・書評
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遂に★5作品が★4作品を上回ってしまった
いや「しまった」と言うこともないんだけど
もともと甘口評価なんですが最近は自分に好みが近いと思ってる方が高評価してたりブックリストに登録してる作品やもともと好きな作家さんの作品ばかり読んでるので当たり前と言えば当たり前なんですけどねw
ありがたい
ほんと効率的w
委員のみなさんのおかげで非常に効率的に『光待つ場所』に導いてもらってます!
さて本編です
中編集ってことでいいのかな?
★5は主に3番目の『樹氷の街』に(他の2作も面白かったですよ)対してです
辻村深月さんはこういうスピンオフ的作品をほり込んでくるんだが、最近はあまりないのかな?秀人とふみちゃんの物語をまた読みたいなぁ
重厚な海外ミステリーが続いていたので、なんかこう暖かい物語が読みたかったんですよね
良かったですブラックな方の辻村深月さんじゃなくて詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
はいスピンオフの短編?中編ですか_φ(・_・
3つ目の話「樹氷の街」
秀人とふみちゃんの中学時代のお話でした。
そしてピアノの郁也くん♪
みんな辛い時を乗り越えてました。
この子達に会えて嬉しかった(〃ω〃)
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青春時代を思い出す。
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これまで読んできた辻村作品の登場人物が出てくると聞いていたので楽しみに読みました。
思っていた以上にたくさんの登場人物に再会出来て嬉しい限り。3篇の中でも特に『樹氷の街』が良かったです。
合唱コンクールのピアノ伴奏、娘たちも経験してるので倉田さんのプレッシャーが痛いほど伝わってきた所であの神童松永郁也君が登場。ふみちゃん、多江さん、理帆子さん、その上、秀人と天木はあの小説の…とテンション上がり、ラストは感動の合唱コンクール。
娘たちの合唱コンクールを聴きに行く度感動して涙した日を昨日の事のように思い出しました。 -
短編集
絵を描く夢を追う高校生の話。互いの才能や、処世術に嫉妬しながら、気持ちの置き場を探す若者たち。
かなり難しい心を持つ人たちの話なので、共なかなか理解が難しい。
女優を志しつつも、虚言癖を持つ女性の生き様を描く話
最後は校内の合唱コンクールと、伴奏のピアノをめぐり、生徒会長、親友とその彼女、伴奏役の女の子、、、、等を巡る友情?物語
最後の話が一番好きだったかな。不器用ながら友情を育む姿が読んでいて気持ちよかった。
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青春。自分が何者かを定義付けたがる時期。その葛藤を上手く描いている。天才に出会って、自分が天才ではないことに早くに気づけてよかったという場面が特に印象的だった。
スピンオフ小説だということを読了後に知った。
辻村シリーズは、まだ読破できていないので順番通りに読んでからまた戻って来ようとおもう。 -
良かった。知ってる人物たちが生き生きとしてた。最後の話は泣けた。
#辻村深月 -
自分の器がどれくらいの大きさかまだ分からない頃。
選ばれたものだと感じる自分。
選ばれていないものにも同じ景色が見えるのだという失望。
選ばれたものが自分だけではなかったという衝撃。
そもそも自分は選ばれたものではなかったのだという無念。
数々のとげを持て余しながら抱えて、柔らかい中身を守って。とげのせいで周りから疎まれて。
それでも、一歩飛び出した先には一回り大きい、自分の誇れる世界が近づいてくる。 -
一つ目の短編「しあわせのこみち」は、『冷たい校舎の時は止まる』で登場したあの子の物語でした。
この話は、「芸術家」を目指している人に是非読んでもらいたい。
特に、絵を描いたり、何かをデザインするという人は、誰よりも共感したり、反論したくなったり、世界に入り込めると思います。
あとは、「秀才」とか「天才」と位置づけられてきた人にも是非。
俺は絵を描く人ではありませんが、あの子とはかなり重なる部分がありました。
まるで自分自身のことを書かれているような感覚になるほど。
あの子たちの絵をいつか見てみたいものです。
二つ目の短編「チハラトーコの物語」は、『スロウハイツの神様』で登場したあの子の物語。
先生と、相変わらず売れっ子脚本家のあの人が、いいところを掻っ攫っていきますね(笑)
二人ともブレないし、堂々としていて、本当に格好良い。憧れます。
あの子の「嘘の話」。
きっと、ここまで規模は大きくなくとも、軽い気持ちで「嘘の話」をした人は沢山いる。
少しずるくて汚い部分を、人は何かと正当化しようとするものです。
それが結構無意識だったり、むしろ良かれと思ってしまうのが、人の悪いところであり、人らしいところ。
この物語を読んで、あの子のことがとても好きになりました。
三つ目の短編「樹氷の街」は、『凍りのくじら』『ぼくのメジャースプーン』で登場したあの子たちの物語。
この二作品が大好きな俺にとって、あの子たちが動いてしゃべっているだけで、もうテンションが上がりますね(笑)
このくらいの年頃って、「大人」な子と「子どもらしい」子に急に分かれるというか、差が出てくるというか、
なかなか複雑で、難しい年頃ですよね。
あの子たちはさらに幼い頃に、かなり特殊な体験をしているから何とも言えないのですが、
それでもやっぱり精神的な面で、違いが明確になっていく時だと思います。
でもいくら「大人」っぽいと言えども、まだまだ子どもな訳で、
その姿がとても愛おしく感じられます。
また何処かで、さらに成長したあの子たちの姿を見られたら嬉しいです。