アナザー修学旅行 思春期をうつしとるYAセレクション

  • 講談社 (2010年6月29日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (258ページ) / ISBN・EAN: 9784062162906

作品紹介・あらすじ

第50回講談社児童文学新人賞受賞のデビュー作
もう、ぞくぞくするくらい中学生なわけ。話すことも、話す言葉も、話し方も、考え方も、行動も……ぜんぶ!
金原瑞人氏推薦!!

このささやかな「旅」には思いがけない発見と、初夏の風にざわつく胸の感覚がある。「小田、にっくらしいこと言いながら、チョコついてるよ」という、このリアリティ!こんな感覚、いままでの中学生ものにはなかったと思う。なんで、いままでこんな作品が出てこなかったんだろう、と不思議になるくらい、出てきて当然なのに出てこなかった作品。この本が出てしばらくは、この本みたいな本ばかりがヤングアダルトの棚に並ぶんじゃないかと思う。(金原瑞人/翻訳家・法政大学社会学部長)

みんなの感想まとめ

中学生の微妙な人間関係や心の葛藤を描いた物語は、修学旅行に行けなかった7人の生徒たちの3日間を中心に展開します。それぞれが個性的でありながら、友達とは言えない微妙な距離感を持つ彼らの交流は、今の中学生...

感想・レビュー・書評

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  • 中三の修学旅行に怪我やその他の事情で行けなかった7人が校内で過ごす三日間。

    それぞれがいわゆる「友だち」ではない、というところが中学生にとってはすごく気にかかるところであるのがよくわかります。
    今の中学生って、「友だち」の間ではすごく盛り上がる、でも、「友だち」じゃなかったらその場にいてもいない人、のような感覚なんじゃないのかなぁ。

    だから、自らを個性がない、と自認する語り手の佐和子(中学生活を無事に楽しく過ごせるようにとても気を使っている、うん、いわゆる今の中学生女子でそんな自分を実は結構頑張ってて偉い、と思っている)は、この三日間をどう過ごせばいいか、憂鬱でたまらない・・・・。

    人気テレビドラマの主演女優の岸本さん、
    転校してきたばかりの帰国子女・湯川さん、
    福祉施設に住む野宮さんと小田くん(学年一のモテ男)、
    インテリヤクザをあだ名される勉強もケンカも“優秀”な片瀬、
    保健室登校の秋吉くん、

    確かにみんな個性的で面白い!(#^.^#)

    で、佐和子が一番平凡なんだけど、言いたいことも言えないですぐに自己嫌悪という流れにはならなくて、徐々に、話ができるようになり、また、一緒に事件(結構三日間であれこれあったんだよね。三年生がいない学校って何かがあってもおかしくないって思えるからそれもなんかよかった)を解決する流れになったのが嬉しかったです。

    今の中学生の同調圧力の息苦しさは、ホント、嫌なものなのだけど、それをきちんと(汗)踏まえながらも、こんな時だからこそ、といった感じで、ぽろっと本音がこぼれたり、だからといって性格や状況が劇的に変化したというわけでもない自然な持って行き方が上手だなぁ、と楽しく読めました。

    7人のキャラがとてもよく描き分けられて、それぞれの笑顔や汗が見えるようだったり、鬱屈した思いや諦観なども自然に受け取ることができたり。

    有沢佳映さんという人は初めてだったのだけど、過剰に興奮しないで中学生たちを書いているという姿勢が好きだなぁ。
    とても面白く読みました。そのほかの作品も追いかけてみようと思います。(#^.^#)

    • じゅんさん
      まっき~♪さん
      こちらこそありがとうございます!(#^.^#)

      私もネットの本友だちから薦められて読んだばかりの作品なんですよ。中高校生相...
      まっき~♪さん
      こちらこそありがとうございます!(#^.^#)

      私もネットの本友だちから薦められて読んだばかりの作品なんですよ。中高校生相手の仕事をしているので、リアルな中学生をよく&優しく描いているところが嬉しかった!

      最新作の「かさねちゃんにきいてみな」を実は今日読んだところでこちらもとっても面白かったです。小学生の登校隊のお話なんですよ♪ 

      私もフォローさせてください。
      どうぞよろしく!!
      2013/07/19
  • 恋愛感情と友情の狭間で悩んだり(深刻なものではなく、友達が好きな男子と仲良くするとまずい、といった思春期独特のもの)、自分がどう見られているかで葛藤したり、半径1kmくらいのところで真剣に悩む中学生がよく描けている。10年前の作品だからLINEはないが、古い感じはしない。
    諸事情で修学旅行に行けなかった(行かなかった)中3の7人の個性がよく描けている。岸本さんと湯川さんという、半径1km以上のところで生きている人物がいるおかげで、物語の風通しが良くなり、爽やかな印象となっている。岸本さんと湯川さんは、最初一人の人物だったのを、物語の構成を考えて2人にした、という感じはするが。田舎の公立中学に芸能人がいるというのはちょっと無理があるかと。
    児童養護施設の子どもが修学旅行に行けないなんてことがあるのか?という疑問は残るし、家族のことがあまり出てこないことも、物足りない気もするけど、中学生の心情描写は巧みだし、上手くまとまっていて、読みやすく、後味も良く、あまり本を読まない子どもにもすすめやすい。
    私は単行本で読んだが、あまり読まない子どもには青い鳥文庫版のマンガ的な絵がついている方が魅力的に見えるだろう。でも、内容にはこちらの装丁の方が合っていると思う。(あんなにみんなイケてたら悩まないよ、ホント)

  • 修学旅行に置いていかれた7人の、すごく微妙な、仲間になりそうでならない3日間を描いた物語。いちおう事件らしいことがひとつ起こりはするんだけど、それをなかったことにして抹殺するのがすごいよね。大人なんか信じてないし、真正面からとりあげて騒いでもなにひとついいことなんかないって思っているんだ。

    2日めに「人見知りしなおした」というのと、3日めがおわるときの「結構しゃべって、結構一緒に笑ったけど、私たちは今も、たぶん、友達じゃない」っていう感慨のリアルさ。

    のこり10ページになってから始まる野宮さんの深い話とか。

    有名写真家の母親のモデルをつとめる湯川さんの話とかもほとんど深まっていないし、いろいろ積み残しているんだけど、そこがまたリアルだったりもする。

    こっちがデビュー作なんだね。で、もう一作が『かさねちゃんにきいてみな』。いや~、たのみますからもっと書いてください。もっと読みたいよ。

  • 色んな都合で修学旅行に行けなかった7人の、その3日間の学校で過ごしたエピソードが脚を折って行けなかった女子目線で語られる。残った7人が、こんなメンバー有り得ないっていう(女優いたりとか)のと、なにも終わらずにお話が終わってしまったことを除けば、とても面白かった。
    図書館的には途中チンコの大小の著述あるくらいで、小学校でも問題ないかな。主人公の、女の子の語り言葉で綴られているので、小中学生には読みやすいと思う。

  • 足を骨折し、修学旅行に行けなかった佐和子。同じく修学旅行に行けなかった5人と、他に誰もいない教室で三日間をともに、ぎくしゃくしながら過ごすはずだったが…。

    修学旅行に行けなかった、というシチュエーションをすごく生かしている物語。ほとんど接点のない5人が修学旅行に行けなかったという共通点で結びつけられていく(ただし行けなかった悲観性ではない)面白さ。そして修学旅行のように普段できないことを楽しむこと。修学旅行独特の面白さ(主に女子視点)、しかし修学旅行ほど非日常的ではないので冷静さを伴っていること。そういった、修学旅行をなぞっているんだけど、修学旅行そのものではないというズレが上手く生かされてる。

    そしてもう一つこの物語にはズレがある。登場人物7人の内、主人公以外は皆修学旅行に「行けなさそうな」中学生たちで、修学旅行に行けなかったことを割とすんなりと受け入れてる。一方、主人公の佐和子は足を骨折して、修学旅行に行けなくても行けなかった状態。佐和子は自分と他の6人との間にズレを感じ、しかも修学旅行に行った同級生ともズレを感じ、その狭間で修学旅行に「行った人たち」と「そうなるべくして行けなくなった人たちである6人」の差異を比較しながら捉えようとし、それが結果的に、中学3年生の子どもたちの、自分と他者の関係性、コミュニケーションの方法を浮き彫りにしてる。その辺りがとても上手いなぁ、と感じる物語でした。けど中学生以上向きかなぁ…

  • その時、そのメンバーだから持ちえた距離感とか空気感ってあるよなー。続きがありそうだけど書かれることない、ミステリーなら伏線か?と思ってしまいそうなエピソードなんかもここなら納得しちゃったり。
    なんとなく懐かしい読後感も良く、おもしろかったなー。

  • 実は図書館で三回借りています。
    しかも、読めずにです……。

    なぜなら
    最初にほぼすべての登場人物が出てくるのですが、
    だんだんついていけなくて、途中でやめちゃうんです。


    で。今回、四回目。

    まだあやふやなまま、とにかく読み進めてみることにしたんです。
    そしたらやっとついて行けて。笑

    そしたらそしたら
    とんでもなく面白いお話だったんです!

    舞台はほぼ校内、
    登場人物もほぼ同時に登場する中で
    パズルのように組み合わさるストーリー。

    おもわず、ぷっと吹き出すシーンもありです。

    読み終えたあと
    登場人物たちと一緒に、三日間をすごせたような気がして、さわやかな余韻が残ります。

    本当におすすめです。

  • 友達関係の曖昧さ授業中の事など中学生の共感出来る考え方や空気感と魅力的な登場人物がとても良かった。

  • リアルな中学生感が瑞々しい。
    登場人物の会話はクスッと笑えて懐かしい気持ちにもなる。中学生ならではの視点で人間関係も描かれていて、夢中になってしまった。

  • 【内容】中学三年生の修学旅行にそれぞれの事情で行くことができなかった六人は学校に出てきて特別授業を受けていた。殆ど接点のなかった連中に生まれてくる絆。
    【感想】この絆はいっとき限りのもので日常が戻ってきたら雲散霧消してしまうはかないものだろう。それでもなにか後々いいものが残っているのだろう。

    ▼居残り組についての簡単なメモ

    【秋吉直人】保健室登校の生徒。六人と同じ扱いではないが学校に来てはいる。心因性嘔吐症とかで緊張すると吐くので残酷にもゲロトと呼ばれている。
    【安藤】居残り組の面倒を見てる先生。二年の理科担当。テニス部の副顧問。
    【小田知也】三組。キラキラした少年。お調子者のムードメーカー。陸上部。女の子に人気がある。「ホーム」にいる。経済的問題で修学旅行に不参加。
    【片瀬幸博】四組。通称インテリヤクザ。メガネの奥の目つきは鋭い。兄二人は伝説のヤンキー。成績はよい。ケンカ?で修学旅行に不参加。狂暴な性格というのではなくどちらかと言えばクールかつ暴力を振るう必要があると思われたときにはためらわない。誰にもおもねることのないタイプ。
    【岸本雅】二組。テレビでよく見かける主役級の女優。凄く美少女ってわけでもないところがいい。混乱を避けるため修学旅行に不参加。勝ち気なゆえ誘導されやすい。
    【野宮千里】二組。小さくて華奢。合唱部。いい人。ふんわり癒し系。小田と同じく「ホーム」にいて、どうやらお姉さんの役まわり。経済的問題で修学旅行に不参加。
    【三浦佐和子】三組。語り手。テニス部。足に怪我して修学旅行欠席。ありふれた自分がけっこう好き。
    【湯川仁希】五組。クールな美少女転校生。美少女すぎて皆が敬遠している。実はわりと気さくで大雑把。興味がないからと修学旅行に不参加。母親は写真家の湯川安理/あんり。誰にもおもねることのないタイプ。

  • さまざまな理由で修学旅行に行けない児童7人の学校で過ごす3日間。

    芸能人で勝気な岸本さん。
    成績優秀で喧嘩っ早い片瀬。

    児童養護施設から通学している小田と野宮さん。
    転校生で自分の美少女には無頓着の不思議な湯川さん。

    保健室登校のすぐ吐いてしまう秋吉。
    骨折して松葉杖を使う、ふつーの私、三浦佐和子。

    普段の学校生活で接点のない7人が、いつもとは違う3日間で互いのことを知っていく様子。

    164ページで唐突に、会社で嫌がらせにあって疲弊して
    退職した姉への思いが書かれていて、そこが印象的。

    もし誰かに気に入ってもらえなくて世界が台なしになるんだったら、お姉ちゃんみたいに我慢しないで、マッハで逃げよう。っていうのが良かった。

    おもしろかった。
    30代じゃなくて、10代で読みたかった。
    中学生たちのギャグセンスの高さのある会話もテンポよく、楽しげ。青春。

  • 修学旅行に行けない三年生たちが補習を受ける一週間。それぞれの事情で行けなかった彼らだけれど、会話を重ねていくのにしたがって気安い雰囲気になったり、微妙な感じがよかった。ラストがちょっと座りが悪いけど、またこれはブンガクだからなのかも。青春もの快感まではいかないけど、微妙な方が好きであればおすすめ。

  • どこか行くのかと思ったら、ひたすら学校だった。面白い。

  • 導入から、すっと入れて、サクサク読める物語。

    中3の女の子の、独り言みたいな文章で、気軽に読み進められて、学校図書館向けかも。

  • いい話ではあるのだが、ちょっと帰国子女の不思議ちゃんが生かしきれていないと感じた。彼女が何か事件を巻き起こすかと思いきや、最後まで脇役で終わったのには拍子抜け。

    不良くんもいまいちではあった。もっとその屈折具合を深堀出来たはず。でもまあ、面白い物語ではある・

  • 気になる作家シリーズ。なるほどなるほど、いつか直木賞とかとる作家さんとみた。

  • 有沢佳映さんの「アナザー修学旅行」を読了。あまりに寒く、居酒屋に寄るのも面倒になり家で一人飯。昨日から読み始めたのだが、250ページも重いお話ではないのであっという間に読み終えた。それぞれ色々な理由から修学旅行に行けなかった7人が3日間を学校で過ごす様子を一人の女子の視点から描いた作品で、会話や主人公のモノローグが非常にナチュラルですっと心に入ってくる。この力が入っていないようで非常に自然な感じの会話を書き付ける事が出来ているのが作者のちからだろう。中学生の頃の自分がどう感じていたかなどとうに忘れ去ってしまったが、この作品の会話を読んでいるとどの時代の中学生も話題は違えど揺れうごくあまりに脆い心の様は変わらないだろうと思わされるし、そんな脆さがじつは人から見えないように意地を張って行きているのが中学生なのかなあなどとも感じた。爽やかな3日間の学校でのいつもと違う人たちとの爽やか触れ合いがみんなを結びつけて行くまさにアナザー修学旅行のお話を読むBGMに選んだのがSimon&Garfunkelの"卒業ーサウンドトラック”。聴いていて一生懸命彼らの詞を翻訳していた自分を思い出した。

  • 中学生ならではの人間関係というか、かけひきというか、面白く読めた。
    すごく印象に残るものではなく、作者もそれは意図してないだろうけど、
    さらさら?つるつる?した話しだった。
    その後が知りたいけど、多分会話しないまま卒業とか、そんな感じなんだろうな。
    キャラはちょいよすぎな感じがしたけど、主人公が普通を頑張ってたから全体的にはありそう、な設定になっていた。

  • 主人公の胸中の記述が、必死に若者に寄せた感じがして、ちょっと気持ち悪かった。ここでは仲良くなったけど、元の生活に戻れば、また元の関係に戻りそう。

  • これは修学旅行の話。行けなかった生徒(中学生)の。
    個性的な面子だが妙なリアルさを感じる。
    いつもの友達との修学旅行が非日常なら、いつもの教室で慣れない顔と過ごすというのもまた一つの非日常。
    メンバーは特別楽しくもなく退屈でもなく、思い出というほどの出来事もなく、しかし確かにその時間を共有した。
    普段と違う3日間が過ぎ、そしてまた日常が帰ってくる。

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著者プロフィール

有沢佳映…・1974年生まれ、昭和女子大学短期大学部卒業。群馬県在住。『アナザー修学旅行』で第50回講談社児童文学新人賞を受賞。『かさねちゃんにきいてみな』で第24回椋鳩十児童文学賞、第47回日本児童文学者協会新人賞受賞。

「2020年 『お庭番デイズ  逢沢学園女子寮日記 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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