祖父たちの零戦

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 157
感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (426ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062163026

作品紹介・あらすじ

沈黙していた「大空のサムライ」たち。名もなき英雄たちの叙事詩、鎮魂歌。

感想・レビュー・書評

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  • 零戦に搭乗し空戦を指揮し過酷な戦場で戦い抜いた進藤三郎、鈴木實を軸に搭乗員のインタビューを元にした零戦乗りたちの真実。無敵だった初期の頃から厳しくも悲しい戦いになった末期まで日本の戦局をなぞるような零戦の戦いが搭乗員の立場から克明にリアルに語られ読み応えは充分。淡々とした語り口が搭乗員の気質と共に心に染みいるし、特に終戦間近の証言はグッと来ます。戦後の零戦乗りたちの苦労や行く末も非常に興味深い。ただ、坂井に関しては異質なものを感じた。坂井の事は詳しくはないが、この本の流れではちょっと言い過ぎではと思った。

  • 戦後、その体験を黙して語らなかった男たちがいた。中国戦線や真珠湾攻撃、ラバウル航空戦など零戦の登場から衰退期まで、戦い続けた歴戦のパイロットへの丁寧な取材から見えてきた、零戦という戦闘機の悲哀に満ちた運命。航空機後進国だった日本から、突然現れたその最強の戦闘機は神話に近いような快進撃を見せた。しかしそれが災いしたのか、後継機の開発に手間取る間に高性能化したアメリカの新鋭機には次第に敵わなくなっていく。また日本軍の悪しき伝統とも言える人命軽視の無謀な作戦によって優秀なパイロットは消耗し、やがて特攻という最悪の作戦が実行されるようになる。現場の指揮官はどんな思いで部下を確実な死に送り出してきたかもつぶさに描かれている。あらためてこの国は人の命を粗末に扱いすぎる、という思いが強くなった。残念な事に。

  • 永遠の零で零戦を知って読んでみたくなった本。本当は、大空のサムライを先に読みたかったけど、図書館でなかなか予約が回ってこなくて、こちらが先に。大空のサムライを書いた坂井三郎についても触れていて、先にこっちを読んでおいてよかったかなと思う。
    職業軍人にとって戦争は活躍の場で、死にたくはないが腕を奮う最高の場所なのだろう。それは、本書にも時々出くわす今も飛行機に、乗ったら誰にも負けん、という言葉からわかる気がする。
    自分がこれまで受けてきた戦争を悪とする教育は一般人目線のもので、また現場に立たない政治家目線のもので、それらとは違った戦争観がこの本にはある。
    ただ、だからこそ作家の神立さんには一般人目線の本を書いてほしい。
    この本が戦争礼賛だとは思わないが、戦争を説明してない点が不満に感じる。

  • 永遠の0に釣られて読んだが、零戦部隊の生存者の鈴木、進藤を軸に真珠湾攻撃から戦後そして最近までにいたるまでが詳細に記述されている。
    特に永遠の0でも出てきた坂井三郎について新しい見方を知った。
    現代にこれだけの生きざまを見せてくれる人はがはたしているだろうか。
    志とは何かを思い出させてくれる良書

  • 実在した戦闘機乗りの半生を描いたノンフィクション。戦闘機というモノは戦争の道具のひとつではあるが、其の為だけに造られたモノであるので、平時に於いては、素晴らしく美しい。研ぎ澄まされた造形美たるや、「むむ」という言葉以外何も出てこないというのが、実情だ。唯、誤解しないで貰いたいのは、僕は、技術として造形美として戦闘機が美しいと云っているので、戦争を肯定するものではない、というコト。今の政府には、自民党政府時代に買った玩具を遣いたくて仕方ない政治家(バカ)が沢山居るが、そういうバカどもを支援するバカな有権者だけが、戦争に行けばイイのであって、僕は何があっても、戦争には加担しない。何が書かれているのか、怖いながらも、知っておかなければならないと思い、読むコトに。

  • たくさんの零戦の搭乗員が登場するが、主に2人の指揮官に焦点を当て、零戦も初空戦から最後解体されるところまでが記されており、零戦が、搭乗員達がどのような過酷な戦いをしてきたか、とても貴重な記録書となっている。これらを僕らは知っておくべきことだと痛感した。

  • 201363.読友さんのつぶやきで見て、読みたくなりました。淡々と、情に訴え掛けるような感じでなく、泣かせようとさせていない、ありのままの事実が書かれていました。どんな編隊を組んで飛んでいたか等、とても詳しく書かれていて、少し難しいところもあったのだけど、読み応えがありました。また戦後の事も詳しく書かれていて、それがまた辛い。どれだけ苦しめられたんだろうと胸が締め付けられる思いでした。

  • 第四章完勝

  • 実際に零戦で戦った方々のインタビューに基づいて書かれているだけあって,すごくリアル。
    当時お国のために戦っていた方々は,今の僕よりも年下の方々が責任を負って最前線で戦っていたなんて,現代っ子には信じられないだろうな。(僕も信じられない)

    30歳と言ったら当時では一戦隊長を任されるレベルなのね。
    僕も頑張らねば!

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著者プロフィール

ノンフィクション作家・写真家。1963年、大阪府生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、1986年より講談社「FRIDAY」専属カメラマンを務め、主に事件、政治、経済、スポーツ等の取材報道に従事。1995年、元零戦搭乗員の取材を開始、以後25年の間にインタビューした旧軍人、遺族は500名を超える。1997年からフリー。著書に『零戦の20世紀』(スコラ)、『零戦最後の証言1/2』『零戦隊長宮野善治郎生涯』『零戦隊、発進! 』『撮るライカI/II』(いずれも潮書房光人新社)、『祖父たちの零戦』『証言・零戦』シリーズ全4巻、『零戦~搭乗員たちが見つめた太平洋戦争(NHK取材班と共著)』『図解・カメラの歴史』(いずれも講談社)、『戦士の肖像』『特攻の真意(旧版)』(いずれも文春文庫)、『一生懸命フォトグラファー列伝』(日本写真企画)など。映画やテレビのドキュメンタリー番組の監修も手がける。

「2020年 『特攻の真意』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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