日本のグランドデザイン -世界一の潜在経済力を富に変える4つのステップ

著者 :
  • 講談社
4.10
  • (13)
  • (17)
  • (9)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 99
感想 : 11
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062163163

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 震災前に書かれた日本経済をどうしたら良いか、のグランドデザイン。
    マスコミ批判多め。

    不幸にもその通りになってしまったトンネル崩落事故とか。
    なのに修理出来なくなってるんだなぁってなってるものとか。
    更に震災で難しくなってしまったな、とか。
    被災地は新しく作れるけど、的な。
    10年経っていないのにずいぶんと戦争が変わったのが面白いなぁと思って読める。
    今ならマスコミ批判だけでなく、経団連への給料ちゃんと上げろよ的な批判してくれそう。
    全てはそこからなんだよね。

  • 少子高齢化、インフラ老朽化、人口減少、、といった問題をこれからどう乗り切るか、著者の私案ではあるけれどおもしろいしこういう形で実現していくと確かにそれぞれの問題を並べて解消していけるのではと思えた一冊でした。全部の地域が足並みを揃えていこうとすると、きっと難しいと思うのでまずはできるところから、いや本気で取り組む意思のあるところからうまくいく事例が始まるんじゃないかなと思います。トップランナー方式でそれぞれの自治体がうまくいくのか、トップ総取りでどんどん差が開いていくのかはプレイヤー次第ですかね。できることはまだまだあるなぁと思いました。

  • 文明フェーズを石油文明から電気文明に移行する。素晴らしい取り組みです。
    公共投資悪玉論が声高に言われますが、公共投資が悪玉というよりは公共投資に群がる利権団体が悪玉なのであって、公共投資自体が悪玉で無いことを再認識すべきかなと思いました。
    そのためにいかに資源の乏しい日本において電力を確保して行くかが問題となるように思います。
    メタンハイドレートや藻の活用に向けた投資が成長の必要経費になると思います。

  • 目から鱗。
    日本の財政問題の分析は確かにそうだなと思えるが、とうして財務省やマスコミがその当たり前のことを言わないのかが不思議。
    日本再生のアイデア、構想力は素晴らしい。自分も同じようなことを考えていたので、共感した。

  • 最近三橋氏は矢継ぎ早に本を出しているように思いますが、この本も買って読んでしまいました。ただしこの本には、私が以前に読んで日本の強さを痛感させてくれた、増田氏(鉄道の発達、人口が集中した都市地域等)と、滝川氏(日本の農業は世界5位の実力)についても触れてあり、この点が今までの彼の著作と比べて特徴的です。

    彼の主張を聞いていると、日本の国債が日本破綻につながる可能性は少ないと理解はできますが、国債によって公共工事をやるという点については、特にメンテンナンスの必要な橋やトンネルの整備をするという点においては必要性を感じました。次の衆議院選挙までは民主党政権が続くのでしょうが、政権を担っている人達は、三橋氏の意見も取り入れるべきところは参考にして欲しいと思いました。

    以下は気になったポイントです。

    ・現在の日本がインフレに悩んでいるのであれば、インフレ下では「需要>供給」になっているので、政府支出を削ることで日本全体の需要を削減できる(p22)

    ・「お金は消えない」、現実には我々の支出は「誰かの所得」になる、「誰かの支出は、誰かの所得」(p24)

    ・アイスランドは2008年10月に経済破綻したが、2007年まで「巨額の財政黒字=対GDP比で6%」になっていて政府の負債残高は減少していたが、民間金融機関が同国GDPの10倍の対外負債(外貨建て)を膨らませていた(p47)

    ・政府財政を黒字化したければバブル経済にすれば良い、1980年後半の日本、2000年のアメリカ(ITバブル)、2004~2007年にかけてのアイスランド、アイルランド、スペインが黒字化を経験している(p58)

    ・デフレ下にも拘わらず、政府が「財政健全化=支出削減」をして、大崩壊を招いてしまった実例が、1930年のアメリカである(p62)

    ・デフレギャップを埋めるには、1)財政出動(政府支出拡大)により需要を増やすこと、2)企業が供給能力を削り取る(生産設備、雇用のリストラ)である(p87)

    ・政府から家計への贈与におわるような、減税、定額給付金、子ども手当をしてはならない(p97)

    ・ナポレオン戦争期のイギリスは、政府の国債発行残高はGNPの3倍に達していたが破綻しなかった、日本同様に100%近くがポンド建てだったから、国家経済のフローを拡大することで政府負債を希薄化させていった(p100)

    ・イギリス資本主義の大元は、石炭と蒸気機関というエネルギーの賜物、アメリカは石油文明である(p106)

    ・旅客や貨物のエネルギー源が、石油製品から電力に置き換わったとき、文明が変わるほどのインパクトを世界にもたらす、かつて石炭から石油に変わった時と同様(p110)

    ・普通の人はストック(金融資産)の目減りでは暴動を起こさない、怒りを露にするのは、フロー(GDP)が激減=所得が崩壊したとき(p139)

    ・東京の中心部では通勤者の76%が鉄道利用、都市部の犯罪率の低さも日本におけるメガロポリス発展に貢献している、日本の犯罪件数は2002年をピークを減少、2009年には戦後最低(p153)

    ・日本の鉄道網が便利なのは、ネットワークになっている、異なる企業の鉄道が相互乗り入れしている環境は凄い(p159)

    ・日本の広大な排他的経済水域には、莫大なウラン(500万トン、年間需要量:0.8万トン)が眠っている(p181、182)日本にとって有望なメタンハイドレートは、南海トラフ(紀伊半島沖)よりも、上越沖や佐渡周辺等の日本海側(p184)

    ・日本はGDPの1%の金額分の食料を輸入、GDPの2%輸入のイギリスやドイツもあり、対GDP比率はアメリカ、インドに次いで低い(p193)

    ・カロリーベース食料自給率は、国産の畜産物のカロリーは含まれない、理由は、輸入された飼料で育てられた畜産物は国産として認められないから(p195)

    ・生産額ベースで自給率を計算すると、また廃棄分を除外すると、7割ベースとなる(p197)農業の高齢化は、農家全体の8割を占める擬似農家が歳をとったに過ぎない(p199)

    ・2009年の世界経常収支は、アメリカ:37%、スペイン:8%、イタリア:5%、イギリス:4%等(p227)

    ・アメリカの輸出総額は、今でも世界最大級、2008年の実績は中国以上(p230)

    ・女性を家事や育児から切り離し、家族を解体する、という思想に基づいたソ連型社会実験は、壮大な失敗に終わっている(p234)

    ・日本のアニメの内容が面白いのは、宗教的タブーが存在しないと言う点が大きい、世界において同じ漫画について首相とフリーターが会話を交わせる国は日本以外無い(p249)

  • 日下公人氏と同様大好きな作家さんです。先に読ませていただいた「日本の大復活はここから始まる!」とは原子力を除いた分で一貫した主張 ー日本には潜在能力があり、『マスコミ」や「諸外国」が危険視、悲観視するほど悪くない。それどころか潜在能力の持て、持って行き方如何によれば、世界をもっと変える力を秘めているということー を持っており、これが構想力なのだと思わせてくれます。日下氏と違いはデータを付けていただけるので客観性をより際立たせてくれます。(日下氏が客観的なものを示さないということではありませんが、あの人の文章には、調べてごらんというようなニュアンスが含まれるし、戦争等の修羅場を見てきたきれいごとだけでは済まない世の中を考えた上での構想がうかがえます。)
    これでもかという位に良くないことが日本に起こっています。しかしながら、失われた10年20年?よりも、日本人の自信は大きくなっているような気がします。「進んだ海外」の真似をしてみても結局良く成らなかったということと「やっぱり日本で昔から大事にされている徳目」がやっぱり大事だったっということを再確認した。今ついた自信は過信ではなく地に足の着いたものと思われるので、その気持ちを持ったままで、著者のような問題意識を持って日本は進むべきと考えます。

  • 「具体的なデータによって日本を語ること」の大切さを示す本。

  •  日本の債務超過についてわかりやすく解説してくれています。著者が、自民党候補者の方とは知りませんでした。
     経済学にかなりお強い方とみえて、丁寧でわかりやすい説明です。

  • すばらしい提案がたくさんある!
    しかも実現可能なものばかり。

    緊縮財政は「対インフレ対策」というのは、なるほどと思った。

    ただし要は「デフレ化では財政投資は必要だが、投資する以上独自で成長できる分野や企業に投資するべきで、投資をただ収入として吸収してしまう分野に投資するのは無駄である」という事。そういう意味での無駄の排除は必要だという事。

  • 新職場でのスタッフさんにお薦めしてもらったのだけど、自分の知りたい事がピンポイントで抑えられていて、すごく勉強になった。知ってる人には有名らしいこの著者なんですが、自分は全く知らなかったですね。しかも、この作者は自分が目指している中小企業診断士を営んでいるという事と作中に漫画ワンピースの引用があった事が一気に好感度UPでした。内容は日本の経済評論の内容ですが、数字に基づいたデータなんで、説得力がありますね。(推薦者曰く、そこがこの人の特徴らしい)。「誰かの支出は誰かの所得」といった当たり前の事なんですが、現在の日本の…、いや世界のデフレを乗り切るには、まず消費ありきという事が、改めて認識させられますね。自分はその「日本経済回復」を大義名分に大いなる無駄遣いをしている訳ですが、個人の消費は微々たるものですからね。ここまで来たら、給料が上がるのが先か、消費に走るのが先かって感じでしょう。多分、この本の言っている事は、正解だと思います。後はこの作者の主張が机上の空論にならん事を祈ります。。。

全11件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

東京都立大学(現:首都大学東京)経済学部卒業。外資系IT企業、NEC、日本IBMなどを経て2008年に中小企業診断士として独立、09年に株式会社三橋貴明事務所を設立した。
2007年、インターネット上の公表データから韓国経済の実態を分析し、内容をまとめた『本当はヤバい!韓国経済』(彩図社)がベストセラーとなる。その後も意欲的に新著を発表している。単行本執筆と同時に、雑誌への連載・寄稿、テレビ・ラジオ番組への出演、全国各地での講演などに活躍している。また、 当人のブログ「新世紀のビッグブラザーへ」の1日のアクセスユーザー数は7万人、推定ユーザー数は21万人に達している。2012年1月現在、人気ブログランキングの「政治部門」1位、総合ランキング2位(参加ブログ総数は約90万件)である。
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/
主な著書に『国民の教養』(扶桑社)、『疑惑の報道』(飛鳥新社)、『2012年大恐慌に沈む世界 蘇る日本』(徳間書店)、『増税のウソ』(青春出版社)、
『三橋貴明の「日本経済」の真実がよく分かる本』(PHP研究所)などがある。

「2012年 『ユーロ崩壊!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

三橋貴明の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×