- Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062163446
作品紹介・あらすじ
シューマンに憑かれた天才美少年ピアニスト、永嶺修人。彼に焦がれる音大受験生の「私」。卒業式の夜、彼らが通う高校で女子生徒が殺害された。現場に居合わせた修人はその後、指にピアニストとして致命的な怪我を負い、事件は未解決のまま30年の年月が流れる。そんなある日「私」の元に修人が外国でシューマンを弾いていたという「ありえない」噂が伝わる。修人の指に、いったいなにが起きたのか。鮮やかな手さばきで奏でる"書き下ろし"長篇小説。
感想・レビュー・書評
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2020/08/16読了
#このミス作品42冊目
天才ピアニストの周りで起こる殺人事件。
音楽の知識に乏しいせいか
全く話が頭に入ってこない。
著者の音楽知識をふんだんに盛り込んだ
オナニー小説。
原田マハ氏の「楽園のカンヴァス」
のような素人でも楽しめる作品
ではなかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
多彩な表現や豊富な語彙で音楽を綴る、筆の力がとても印象的でした。
若き天才ピアニストの口から語られるシューマンについての講義。
語り手が手記に綴る、曲そのものや演奏についての熱のこもった描写。
実際に音楽を聴きたくてたまらなくなり、YouTubeでピアノ演奏を検索しつつ読み進めました。
ただ、ミステリーとしては個人的にはしっくりこなかった…というのが本音。(レビューでも賛否両論あるようす。)
音楽の印象が強かったことと、結末がなんとも言えない消化不良だったからだと思います。
後半の愛憎渦巻く、ねとねとした空気にもなじめず、前半に比べるとページの進みが遅くなりがちでした。 -
とんでもなくマニアックでびっくりした。
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面白かった。前半は芸術的な感性が高潔に描かれ、奥泉さんの文章力の確かさがあらためて再確認できる素晴らしい描写の連続であったと思う。中盤からなにやら怪しげな雰囲気が醸し出され、またいつもの奥泉さんの悪い癖(苦笑)が出てくるのかと思い、不安を抱えながら読み進めた。物語は破綻しかけてはまた持ち直す、幻想に傾きかけてはまた現実へ戻る、を繰り返しながら進んでいく。行き着く先はまだ見えない。でもそれはいつものこと。過度な期待をせずに読む。とは、奥泉さんの本を手にとるときにいつもあらかじめ考えることなのです。
でも、驚いたのは、最後に辿り着いた先だった。
まさかこう来るとは思わなかったのです。これはきっと何も書くべきではないと思うので書きません。ただ、僕が勝手に考えていた奥泉さんの結末のつけ方とは違っていた。それに驚いたのです。こういうふうにも書けるのか、と。
さも奥泉さんのことを知ったかぶりで書きましたが、許してください。勝手な思い込みです。でもやはり奥泉さんの描写力はすさまじいですね。音楽のことなんて、しかもクラシックのことなんてこれっぽっちも知らない僕がシューマンにのめりこみそうです。ブクログでの評点は低いようですが、これは傑作だと思います。素晴らしい!! -
まるでシューマン教徒のシューマン礼賛書のようだ。シューマンを聞かないとレビューが書けないと思い、図書館でCDを借りてきた。そこまでして私がこの本の書いてある内容を知りたいと思わせた分、この本の勝ち。
批評の羅列がすごい。よく聞き込んでいるな、と思う。ただ、音の印象による音楽の文章表現がおおくて、具体性にかけると思われる。演奏家同士の批評、感想であれば楽譜の詳細についてもっと触れたほうがよりより現実的なのではないかと思う。シューマン教伝道師と生徒の会話で終わっている。
オチはちょっとがっかり。もう少し別の着陸点を見つけてほしかった。 -
奥泉光「シューマンの指」(講談社 2010)は、シューマン生誕200周年を
記念して書き下ろされた小説で、全編シューマンの音楽が流れていると言え
るほどだ。シューマン好きはもちろん、音楽の好きな人にも、またミステリー
ファンにも好まれる仕掛けがある。 -
シューマンのピアノソナタを聴きながらのレビューです。
面白かったぁ〜。
読み終えてから、読み返しを何度もしてしまいました。
ラストにえっ?えっ?えっ?と展開していきます。
まさに帯に書かれた通りの、衝撃のラストです。
この本を読んでから、シューマンの虜ですww
思い悩み、迫ってくる、そして煽る感じの曲調。
ぜひ本を読みながら、登場する曲を一緒に聴いてください。
より、楽しめること間違いなしです! -
「演奏なんかしなくったって音楽はもうすでにある。演奏はむしろ音楽を破壊し台無しにする」
なるほどと思った。作曲者が描いた世界感を描くためには、演奏者という第三者を介することなく、作曲家と観客が楽譜をとおして1対1で対話をすることのほうがいいのかもしれない。途中までは、ミステリーというより音楽小説という新しいジャンルかと思わせるくらいの出来です。
最終章のどんでん返しも、見事です。
著者プロフィール
奥泉光の作品





