呉越春秋 湖底の城 第一巻

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 200
感想 : 25
  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062163453

作品紹介・あらすじ

伍子胥は、父に向かってまっすぐに言う。「善をなすふりをして悪をなすことほど、悪いことはないとおもいます」父・伍奢は思った。「この子を教えるのは、人ではなく天だ」と。豊かな水をたたえる長大な江水の流域で、春秋時代後期に覇権を争う、楚、呉、越。楚の人、伍子胥は堂々たる体躯で将来を嘱望される青年である。父は、王に重用され要職をつとめる。伍子胥は、呉との国境近くの邑・棠を治める兄・伍尚を助けるため船に乗り、江水を往く。強い信念をもち、父兄を尊敬する伍子胥は、地位や身分を越えてさまざまな人と出会い、歩むべき道を探していた。

感想・レビュー・書評

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  • 単行本全9巻まとめてのレビュー

    春秋時代の中国南方(楚・呉・越)を舞台に展開された物語。
    話の大きな軸は二人。
    一人は伍子胥であり、もう一人は范蠡。
    この時代のこの二人に主な焦点をあてた作品が今までなかったので、
    読んでいてとても楽しい。
    伍子胥についての大まかな知識は、海音寺潮五郎氏の「孫氏」で読んだことがあるが、
    そこにはない伍子胥の生涯や魅力がこの本にある。
    呉の公子光や孫武が、伍子胥にとっていかに大切な人であったか。
    父親と兄の復讐をなすために、いかに多くの人々と巡り合い、力を貸してもらったか。
    伍子胥に人としての魅力があったからこそ運命的な巡り合いがあるし、人として寛容であったからこそ、協力してくれる人もいる。

    同じように、越王句践が范蠡にとっていかに大切な人であったか。
    范蠡も実家と家族を失うも、やはり『人徳』というものに支えられ、多くの人々と知り合い、幸せにし、そして己の道を進んでいく。

    ”復讐”から始まる話は古代中国にたくさんある。
    古いところでいえば太公望がそうである。
    太公望にしろ、伍子胥にしろ、范蠡にしろ、
    まずは復讐を成し遂げようとする本人たちが人間としての魅力を備えていないと、協力者も得られないし、何も達成できない。
    その意味では「太公望」と似た話の展開ともいえる。



    呉越の最終決戦がついに始まるとき…
    それは呉の巨人・伍子胥と、越の天才・范蠡の知の対決でもあった。


    とにかく一読の価値はある傑作だと思う。

  • 最初は面白くなかった。

  • 春秋戦国時代・楚に生まれた伍子胥。従者二人(右祐、御佐)とともに、兄・伍尚治める棠邑に旅立ち、優秀な臣下を集めるため、武術大会を開催。その過程的で出会った謎の若者・才松、そして商人の開と臼。そして逗留した漁師の家で出会う永翁と嫁の桃永と童の屯。また武術大会で部下に加えた陽可。そして斉の兵法家の孫武。彼らが今後、伍子胥とともにどのような歩みをしていくのか、正に旅立ち編、今後が楽しみ。桃永との出会いのシーンの描写が美しい。

  •  伍子胥の物語、開幕の巻である。我ながら(宮城谷ファンとしては)信じがたいことに積んでいたのだが、五巻が発売されたのを機に読み始めてみた。
     冒頭はややパンチが弱いが(宮城谷先生らしい好男子として伍子胥が描かれ、彼独自の色が見えてこなかった)、さすがに上手い。するすると読み進め、あっという間に読み切ってしまった。
     宮城谷先生の文体は独特で、明らかな脱線を含んでいるし、歴史的な経緯をつぶさに説明している箇所も多いのだが、そのわりに重さを感じさせない文体なのだ。本当に、驚くほどするすると進んでしまう。

     内容的にはまだまだ序盤、伍子胥自身も、かの大軍師殿との邂逅でもわかるように見識の浅いところが見えていて、それだけにこれからの躍進が期待されるところだ。
     その期待度もあって、星を半個下げて四つ半相当と判断した。このシリーズは、時代から考えても、まだまだこれくらいのもので満足していいものではないはずだ。

  • 今までの私の中のイメージと違う伍子胥でした。続きが楽しみ!

  • 呉越春秋第一巻
    有名な伍子諸胥の話、まずは父と兄の不運に向かう切っ掛け
    彼を助ける色々な登場人物が係わりを持ってくる
    当然ながら悪役も健在?そして物語らしく、色々な謎も含まれる

  • 面白かった。基本主人公側に悪者は出てこないので安心して読める。

  • 初めて聞く名前ばかりで、頭の中で人物どうしの関係が整理できず中盤まで辛かった。それ以降は整理がつき、話が流れ始めたので、楽しむことができた。

    あらすじ書きます。
    登場人物
    伍子胥
    主人公、2m超の巨人、将来を見据える力が有ると父から言われている
    申包胥 伍子胥の親友
    御佐 伍子胥の従者、馬の名人
    右佑 伍子胥の従者
    伯春 伍子胥が一目惚れした女性。
    求婚するも断られた。
    才松 伍子胥達の道案内。
    才能を伍子胥に認められている
    四目 薬屋。 伍子胥の情報屋
    樊了 伍子胥の兄の臣下。 切れ者。
    臼 商人の従者。
    伍子胥が目にかけている。
    崔希 剣の達人
    孫武 兵法家。 伍子胥に客に誘われるも家族の面倒を見るため去った。
    陽可 弓の達人 伍子胥の客人
    徐初 徐伏 兄弟。 二人とも矛の達人
    鱣設諸 力士。
    呉(敵国)の人間だが伍子胥と友達
    朱毛 目が異常に良い人
    桃永 謎の美女。屯の母親

    費無極 奸臣。伍子胥の当面の敵
    左龍 二刀使い
    ひがみから敵となる。

    伍子胥は伯春に一目惚れし求婚するも親に断られる。理由は不明。その後、兄の元に移る事になるが、その移動中に費無極に会い、一触即発となる。なんとかその場は収まったが、それ以降費無極に目をつけられる事になる。隣国呉に対する有能な臣を探すために武芸大会を開いて陽可ら忠臣を得た。しかし、その武芸大会に費無極が難癖をつけて伍子胥の兄を捕らえにきた。樊了の働きで難局を脱する事が出来た。使者を殺害する事を目論んでいた伍子胥が逃亡の手伝いを桃永の義父に頼んだ結果、義父の所在が昔の仲間にばれてしまい、義父は桃永達と別れて暮らす事になった。別れる時に義父は伍子胥に何かを渡すが中身は不明。桃永は伍子胥の家で暮らし始める。

  • 以下は客観性をもつレビューとは程遠い。

    じぶんは本がすきなのではなく、宮城谷昌光の描く古代中国歴史小説というきわめて小さな枠組でしか表せないものがすきなのではないか、と、自問せざるを得なかった。
    それほどこの本の求心力は比類なく、文字通り夜通し貪り読んだ。この世界観に出会えて幸せである、と、はっきりいえる。そういうものにまみえることはひとりの生涯にそれほど多くないのではないか。

    以上はこの作品から直接受けた感想ではなく、あらためて確認できたかぎりなく個人的な感情である。作品は未だ完結したわけではなく、当然ながらこの伍子胥は、いまわたしたちとおなじ時代を生きている途上にいる。

  • 春秋戦国時代に活躍した伍子胥を主人公とする歴史小説。第1巻では、楚人である伍子胥と、孫武を含む様々な人々との出会いが描かれている。楚王や陪臣が徳に欠けることを印象づける展開で、いずれ伍子胥や孫武が仕えることになる隣国・呉との激突を予感させる内容となっている。「死屍に鞭打つ」のエピソードなど癖のある行動をとり、死に方も決して爽やかとは言えないこの人物を、歴史小説の傑作をものしてきた著者がどのように描くのか興味深い。

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著者プロフィール

宮城谷昌光

一九四五(昭和二十)年、愛知県蒲郡市に生まれる。早稲田大学文学部卒業。出版社勤務のかたわら立原正秋に師事し、創作を始める。九一(平成三)年『天空の舟』で新田次郎文学賞、『夏姫春秋』で直木賞、九三年『重耳』で芸術選奨文部大臣賞、二〇〇一年『子産』で吉川英治文学賞、〇四年菊池寛賞を受賞。他の著書に『奇貨居くべし』『劉邦』『三国志』『呉越春秋 湖底の城』『呉漢』『孔丘』など多数。

「2021年 『窓辺の風 宮城谷昌光 文学と半生』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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