満月のさじかげん

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 44
感想 : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (102ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062163521

感想・レビュー・書評

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  • おもしろかった、というほどではないけれど好感のもてる内容でした。
    なんとゆーか、子どもたちの世界、とゆーか、
    その時期だけに、その子たちに見える世界が、
    1人の女の子のその時々の感情とともに描かれている。
    イジメだとか、大人への不安、だとか、みえないけれど、
    みえないからこそ強く感じること、だとか、
    そーゆーもろもろ。
    でも基本的に健全、だと思う。
    特に祭くんの、賑やかなんだけど、まっすぐな物言いがとても好きでした。
    文佳くんのありよう、というのもなんか印象的だし。

  • おととい読み始めて、きのう読了。何冊目かの樫崎さん。
    毎回思うのだけど、この作家さんは会話文の鮮やかさがすごい。地の文と会話文で、ことば遣いというかテンポというかが違って、それが会話文を地の文から上手に浮きあがらせている。もうひとつ、すごいなぁと思う点は、「身体」を焦点化することで描かれる奇妙さ。「ヨルの神さま」はあまりそこに重点を置いていなかった気がするけれど、「ボクシング・デイ」もこの作品も、「身体」の奇妙さを気にして描かれている気がして、その奇妙さがひたひたとしたリアルさとして、身に迫ってくる感じがする。
    でもだからこそ、おはなしのつくりにどこかしら感じられる、いかにも「作り」な印象が残念。先に結論があって、そこにむかっていろんなことが進んでいくような気がしてしまう。そして、これはもしかしたら「会話文の鮮やかさ」というのとは矛盾してきこえるかもしれないけれど、登場人物たちの発言内容が、「作者」というひとつの筋から派生して出てきているように思えてしまうのも、ちょっと残念。文章の丁寧さは好きなのだけどなぁ。
    なんとなく、このひとは女性向け一般小説を書いたらけっこうむいてるのじゃないかと思ってみたり。

  • 鳴はお父さんと二人暮らし。
    学校が終わると、お父さんの勤務している病院に行き、
    仕事が終わるのを待って一緒に帰る毎日だ。
    鳴の目下の悩みは、5年生にもなって抜けた歯がなかなか生えてこないことだ。
    一緒に登校する2年生の琴美ちゃんにも心配してもらっている。

    登校班の仲間で、転校生のひとみちゃんは人見知りがすごくて、
    いままで一度もしゃべったのを見たことが無い。
    そのひとみちゃんが、誰かにいじめられているところを目撃した。
    誰かを聞きだそうにも、ひとみちゃんは一言もしゃべらないのだ。

    人はみんな、余分な何かや足りない何かを持っています。
    その痛みを感じて、痛みを自分の味方にすればもっと生きやすくなる、
    と著者は書いています。

  • こういうのもありかな、ありだと思う。
    でも、言いたいことを、小説の中の人に言わせているっていう感じがみえると、その人のことばって感じがしなくてあんまり楽しめない。気になって。

  • 「ぽぉん、ぽぉん」と不思議な音が、主人公の鳴の頭の中でする。
    この「ぽぉん、ぽぉん」がなんともいえず、物語のいいかんじをあらわしているのだ。

    小学5年生の鳴はまだ永久歯が生え切っていない。
    なんだか自分が欠けているかんじがして、満月になっていないかんじがして、ときどき不安になる。
    おまけに、生えなくていいところに過剰歯が生えてしまって、がっかり…。

    小学校の子ども時代、そして長野の雰囲気のやわらかさがなんだかとってもいいかんじの作品。ぽぉん、ぽぉん。

  • 5年生が主人公。

    軽い、軽い、と読んでいたら、
    後半、ぽろぽろ泣いてしまった。

    いいなあ。
    素直で、やさしくて、清い。

    それはもう、どんな子でも、
    おとなとは、くらべものにならないんだ、
    きっと。

    作者のあとがきが、とってもよかった。

  • 小学5年生の女の子・鳴の悩みは、水泳大会でリレーの選手になってしまったことと前歯の永久歯が生えてこないこと。
    お母さんはいないけど、お父さんの病院の看護師さんは優しいし、仲の良い患者さんもいる。
    担任の先生のお腹には赤ちゃんがいて、お腹にさわるとふわぁっとした気分になってまるで魔法のよう…。

    だれもが少し過剰で、少し足りなくて、少しずつ痛くて…そんな世界にわたしたちは生きている。

    シンプルな温かさを感じる物語。
    主人公の友人の男の子・祭くんのセリフが印象的。

    登場する子どもたちはみな大人びていて、かつ素直。
    取り繕うことなく男子と女子が仲良しだったり、誰にでも気持ちを率直に話せたりとリアルさには欠ける。
    しかし、現実の子どもたちも表に出せなくても本当はきっとこんな風に感じているんだろうなぁ。

    6年生~大人向けに。

  • 5年生の女の子、鳴は、水泳のリレーの選手に選ばれてしまった。ドキドキするからイヤなのに、断ることも出来ない。乳歯が抜けてから生えてこない永久歯。お父さんが勤める病院で出会ったおじさんには、腕がない。そして、お母さんは…。なんだかうまくいかないこと、足りなくてどうしようもないことばかり。だけど、先生のおなかには赤ちゃんがいるし、鳴の歯も生え始めてきたみたい。いつのまにか、少しずつ足りないところを、なにかいいものが埋めていくように、毎日がゆったりと過ぎていく。

  • 抜けた下の歯はなかなか生えてこないのに、過剰歯が生えてきた主人公の鳴。
    足りなかったり多すぎたり、がテーマかな。
    足りない部分は何だか愛しく感じます。

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著者プロフィール

長野県生まれ。デビュー作『ボクシング・デイ』(講談社)で椋鳩十児童文学賞、『満月のさじかげん』(講談社)で日本児童文学者協会新人賞を受賞。博物館を取材した作品に『ぼくたちの骨』『声をきかせて』(いずれも講談社)、『ウンダ―カンマ― ここは魅惑の博物館』(理論社)がある。また、ブラインドクライミングをあつかった作品に『星くずクライミング』(くもん出版)がある。

「2019年 『スポーツのおはなし スポーツクライミング わたしのビーナス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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