獣の奏者 外伝 刹那

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062164399

作品紹介・あらすじ

王国の行く末を左右しかねない、政治的な運命を背負っていたエリンは、苛酷な日々を、ひとりの女性として、また、ひとりの母親として、いかに生きていたのか。時の過ぎ行く速さ、人生の儚さを知る大人たちの恋情、そして、一日一日を惜しむように暮らしていた彼女らの日々の体温が伝わってくる物語集。

感想・レビュー・書評

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  • 完結しているシリーズで本編に続けざまに外伝の類を読むようなとき、いつも思うのが、果たしてどちらが幸せかということだ
    どちらがというのは、登場人物たちにまた会いたい!とためてためてから読むのと時間をおかずに続けて読むのと

    結論を言おう、どっちも幸せ(じゃあ、なんの問いかけやったん?)

    今回深く感銘をうけたのは、当然あとがきだ
    このあとがきにおいて上橋菜穂子さんは「雑と達者」「効果と手抜き」について語っておられ、それを見極められる書き手であろうと日々精進されているとのことでした
    自分も作家さんたちの想いに応えられるような「雑と達者」「効果と手抜き」を見分けられる読み手でありたいと強く思いました

  • 獣の奏者、外伝。
    まさに外伝と呼ぶにふさわしい作品だった。

    わたしは物語の中に変に恋愛要素が絡んでくるのが好きじゃない。
    だから今回のこの内容が、外伝として収録されて本当に良かったと思う。

    「刹那」はエリンとイアルの、
    「秘め事」はエサルの恋愛エピソードを中心に描かれている。
    どちらも良かったけど、より心に響いたのはエサルのお話の方だった。
    意外と向こう見ずで喜怒哀楽がわかりやすく、
    自分の思いに真っ直ぐで。。
    作者の上橋さんにはもう少し穏やさを感じるものの、エサルは彼女と似ているような気がした。

    若い頃の、ユアンに恋焦がれるエサルを少し自分に重ねてしまい、苦しくなった。

    ユアンに対しても心は様々に揺れた。
    理解できない!と思ったあと、
    わかる!と気持ちがほだされたり。
    女たらしな人だな。。
     
    外伝まで読み終えたら、また最初から読みたくなった。
    これを読んだことによって、またさらに深くこの作品に触れることができそう。

  • (2015年4月16日 再読)

    発行順ではなく時系列に沿って読もうかな、とこっちの外伝を先に読みました。

    エリンとイアルの馴れ初め、このお話めっちゃ好きです。
    何だろう、ときめきすぎて2回読んでしまった。
    エリン目線でも読んでみたいな。
    本編あってこそこのお話がすごく貴く感じられるんだろうな。
    エリンが普通の女の子で本当に可愛らしい。

    エサル氏のお話も切なく素敵です。

  • 待ちに待っていた外伝。
    エリンとイアルの切ない馴れ初め、教導師・エサルの淡い初恋話。
    そして、最後にジェシの幼少話。
    3本仕立てでしたが、子どもを産む母親の大変さなど、わかりました。

    エリンとイアルの二人は本当に素敵です。

  • 「獣の奏者」の物語が、王獣と闘蛇の因縁をエリンの目を通したお話とすれば、この物語はその世界に生きる人々のささやかな日常、ひとときの小さなエピソードを紡いだお話です。つまりベクトルがまったく違っていて、キャラクタの生々しい側面をリアルに繊細に感じることができました。本編のちょっとした描写からでも人々の感情のゆらぎがうまく描写されてはいましたが、これだけ正面切って描かれると確かになかなかの「引力」です。イアルの、エリンの、エサルの、それぞれだけに秘められた物語が痛々しくも眩しくて惹かれます。たしかに大人向けだとは感じましたが、子どもにも、この、いい大人同士の恋愛の物語を味わっても欲しいとも思いました。年代で分けられない大事なものがあると思ったので。

  • 完結編を読んだ後、あまりにも切なくて苦しくて。
    外伝が出た後も読むのが怖くて、しばらく積みっぱなしでした^^;
    あれから数年…胸の痛みも和らぎ、ようやく読む時が来ました。

    エリンとイアルの馴れ初めが描かれた表題作「刹那」。
    熱病のような恋ではなく、枯れかけていた草が水を吸い上げるように、
    いつしか互いが互いに滲みこんでしまっていた、
    という表現が、二人にとてもしっくりきました。
    無口なイアルにそっと寄り添うエリンの様子が目に浮かぶよう。

    エサルの若かりし頃の恋を描いた「秘め事」も素敵なお話です。
    恋に、研究に悩みながらも自分の道を切り開いて行く。
    彼女をとりまく人間達も、魅力たっぷりでした。

    外伝とはいえ、やっぱりこの後完結編に繋がるのかと思うと、
    切なさはあるのですが、彼らの幸せなひと時を垣間見る事ができて
    良かったなぁと心から思いました。

  • 生きるとはなんと濃密なことなのか。言葉にはできないが、なぜなのかは分からないが、何度も何度もはらはらと涙が流れた。それぞれに人生があり、思いがある。そんな当たり前のことに心が震えたのだ。

  • 外伝ということで、当然ながら本編を読了した人にしか楽しめないおまけ、みたいなもの
    でも、こんなに素敵なおまけってありますか?
    エリンとイアルの馴れ初めも面白かった、けど、個人的にはエサルの話がいい!世の中の体制・常識、そして実らぬ恋。越えていくエサルの姿に胸打たれます。

  • 空白の11年間を埋める恋物語?~エリンは何故,元聖なる盾であるイアルと結婚し,子どもを学舎で産むことになったか。エサルは何故,貴族の長女に生まれながら,カザルの獣ノ医師兼教導師長になったか。エリンの息子がどうやって乳離れしたか~女性ならでは視点かも知れない。特にイアルを書いている部分は。獣の奏者は児童文学ではないと言い切っている。まあ,そう声高に宣言する必要もないのにとは思うのだ。本編の方に余計な一滴を垂らしたくなかったらしく・・・でも物語は浮かんできて・・・という訳で外伝ができた。獣の奏者シリーズは完結していて,外伝らしい外伝だ。でも,もう沢山ですよ

  • エリンとイアルの馴れ初め、エサル師の若き日の恋、それぞれの選択は対照的に見えるけれど、どちらも痛いほどまっすぐで、結果を引き受ける強さと覚悟に満ちていて、胸が詰まった。児童文学の枠は軽く越えてる。恋愛のままならなさを知る大人向け。

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著者プロフィール

作家、川村学園女子大学特任教授。1989年『精霊の木』でデビュー。著書に野間児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞ニッポン放送賞を受賞した『精霊の守り人』をはじめとする「守り人」シリーズ、野間児童文芸賞を受賞した『狐笛のかなた』、「獣の奏者」シリーズなどがある。海外での評価も高く、2009年に英語版『精霊の守り人』で米国バチェルダー賞を受賞。14年には「小さなノーベル賞」ともいわれる国際アンデルセン賞〈作家賞〉を受賞。2015年『鹿の王』で本屋大賞、第四回日本医療小説大賞を受賞。

「2020年 『鹿の王 4』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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