15歳の寺子屋 ひとり

著者 :
  • 講談社
4.11
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本棚登録 : 180
感想 : 26
  • Amazon.co.jp ・本 (98ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062165655

作品紹介・あらすじ

「さあ、どうぞ。もっとお楽に。お行儀悪くなさってください。どんな質問にも、正直にお答えします」15歳の男女4人を相手に1年にわたって行われた、小さな寺子屋授業。今では「戦後思想界の巨人」と呼ばれる吉本隆明さんも、子どもの頃、人と話すのは苦手でした。でも、届かなかった言葉こそが、自分にいろんなことを教えてくれたといいます。自分や誰かの言葉の根っこに思いをめぐらせることは、人が孤独をしのぐ時の力に、きっとなる。進路、文学、恋愛…、考え抜かれた言葉の数々に、心が鍛えられる授業です。

感想・レビュー・書評

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  • 同年代の子とあの吉本隆明が語りあったんだよ。おもしろいに決まってる。『蜜柑』『春と修羅』『三四郎』『それから』に興味をもつ。恋愛について大人と話すなんてすごい経験をしたもんだ。同年代でも、みんな考えていて悩んでいて、ひとりひとりすごいところがあって変なところもある。〈一般的な質問に対して、とても特殊な返答〉と村松くんは書くがそのとおり。吉本さんは自分で考えてこられたことしか言わないだろう。〈「経験」の濃度がちがう〉これは伊藤くん。何よりも大切なのは、経験したらこっそり考えること。吉本さんはそれをしてきた。

  • 15歳の寺子屋と銘打たれたシリーズの1冊。

    自分というものを模索しはじめる思春期の中学生たちに、
    吉本隆明さんが人生の先輩として行った
    生き方の授業を採録したものです。
    私はもちろんとうにすぎているのですけど、
    当時の気持ちを思い出しながら読むと
    今になってあぁそうかと腑に落ちることも多く、
    非常におもしろかったです。
    アンダーラインをひきたかったけれど図書館の本だったので、
    代わりに付箋をたくさんつけてしまいました(笑)

    自分は親とも友だちとも違う、
    人間は完全には理解し合えない存在である。
    その孤独の大きさに気づきいかに受け入れてゆくかで
    今後の人生は大きく変わると、私も振り返り実感します。
    大人になってもいつまでも苦しむひともいますから。
    15歳はその長い孤独との戦いの入口かもしれませんね。

    吉本さんの、子どもたちを前にしても先生然とせず、
    いわゆる世間の常識ではなく、ご自身の経験から得た
    真実の言葉だけで語られる授業は、
    15歳の心にもきっとまっすぐに届いたことでしょう。

    もっとも多感なこの時期に、
    こんなふうに裸の心で向き合ってくれる大人がいるって、
    それを知ることだけでも貴重なことですよね。

    若い頃に読みたかった気もするけれど、今でも充分です。
    付箋がいっぱいついていますから(笑)
    あらためて買って、手元に置きたいなぁと思います。

  • 中学生向けです。中学生の問いに吉本さんが答えられています。
    ガラスの40代の(笑)おれにはとてもいい内容でした。
    才能じゃなく手をどれだけ動かしたかなんだとか、とても説得力のある内容でした。

    吉本さんの言葉は好きですが、本はおれには難しくなかなか読めませんでしたが、これはすらっと読めました。
    中学生向けとはいえ大人に話すのと同じスタンスと思います。分かりやすく話されているとは思いますが。
    参加している中学生達は皆すごくしっかりしている感じもあるので、普通の大人が読んでもしっくりと納得できる内容と思います。

  • 2011年1発目。
    「15歳の寺小屋」シリーズのうちの1冊ということで、
    32歳の私が読むのはどうかとも思いましたが、
    いやはや深い話でした。

    才能なんて関係ない。
    「手」を動かせ。
    「手」を動かせばなりたいものになれる。
    「手」を動かさなきゃだめだ。

    まったくもってそのとおりだと思います。
    本気で何かになりたいと思ったら、
    眺めているだけじゃダメなんだ。

    「戦後思想界の巨人」と呼ばれている(らしい)
    隆明氏がまるで「おじいちゃん」のように思えました。

  • 糸井さんとの共著である「悪人正機」と重複する内容もありますが、その中でも『才能』に関する吉本さんのお話は、やはり特に心に残りました。

    例として挙がった、若い頃から才気溢れていた芥川龍之介と、若い頃は鈍いヤツと言われていた田山花袋が、晩年の作品で比べればどっちも同じようにいいようになってきた、という話には「続けること」の本当の意味を教えられた気がします。

    「やってるうちに自分の姿が自分なりに見えてきて、鋭いのは鋭いなりに、鈍いのは鈍いなりに、なんともいえないその人だけの値打ちが出てくるものなんです。それこそがその人の〈才能〉であり、その人の〈宿命〉と呼べるものなんですよ。」

    まだ何者でもない15歳くらいの年頃の人には、とても勇気をもらえる言葉ではないでしょうか。

  • 子どもとこういう方が直にじっくりと話ができる機会があるっていうのはすごくいいと思う。沈黙も言葉。とにかく手を使うこと。吉本さんの考え方はとても納得できる。そして語り口はとてもやさしい。もっともっとじっくり知りたいし読みたい。

  • まあ多感な時期に老人と真面目に話し合うって経験はよいのではないでしょうか。

  • この本大好き・・・!吉本さんが15歳の子供たちにちゃんと向き合ってる雰囲気が伝わってくるし、吉本さんの言葉の使い方は、断定を避けて、言葉を慎重に選んで正直に使ってる印象があって好きだった。ぼくもこういう言葉の使い方が出来ればなぁ・・・。

  • 吉本隆明氏が15歳の男女を前に語った言葉の数々。
    「行きがけの道」を歩きながら、道中見える景色や生まれる感情を噛みしめながら生きていくのが人生なんだろう。
    正解なんて最後までわからないし、存在すらしないものだと思うと、諦めのような気持ちが生まれるけど、だからこそ人生には意味があるんだろうなというような救いのようなものを感じた。

    沢山の気づきがあったので以下は備忘録として。

    <話言葉>が相手に何かを伝えるための道具だとしたら、<書き言葉>は自分の心の中に降りていくための道具だと言っていい (P13)

    人は誰でも、誰にもいわない言葉を持っている。
    沈黙も、言葉なんです。
    沈黙に対する想像力が身についたら、本当の意味で立派な大人になるきっかけをちゃんと持ってるといっていい。 (P23)

    誰に才能があって、誰に才能がないとか、そんなことはないというのが僕の考えです。(中略)大事なのはしょっちゅうそのことで手を動かしてきたか、動かしてきていないかのちがいだけです。 (P25)

    人は、自分が自分を思うほど、君を思っているわけじゃないぜ。 (P37)

    「生きていくことは、たぶん誰にとっても行きがけの道なんですよ。(中略)人は誰しも行きがけの道を行く。そうして迷いながら、悩みながら、ただただ、歩きにあるいていくうちに、ああ、これこそが自分の宿命、歩くべき道だったんだと思うことがあるんじゃないか。 (P50)

    創作の本質はこの<転換>にあるんですよ(中略)文学というのは、その<転換>のうまさ、巧みさに注目して読むと読みやすいんです。 (p55)

    戦争が悪なら、僕だって悪党だ (P79)

    人間っていうのはかわいそうなもんですよ。生きるっていうのはかわいそうなもんだ。それはもう、いたしかたのないもんなんだと思います 
    変更がきくもんでもないし、急に納得がいくもんでもないし、やっぱりかわいそうだなぁというのを一種の食べ物みたいにして生きていくよりはしょうがない。
    それでもなんで生きていくのかっていったら、それは先があるからでしょう。(P83)

  • 悩める中学生の息子に
    何か励ましの言葉をかけてやれないかと思って
    頼ってみた本。

    吉本さんは、
    中学生たちの質問に対して
    わりとのらりくらりとした感じでお話されます。
    こうしなさいよ、こうだよ、というよりは、
    もう少しあいまいな、
    ふわっとした、けれど自分が身をもって体験したからこそ言える言葉をかけてくれる感じ。
    そうすることで逆に考えさせられるというか、
    こういうことなのかな?と
    自分で考えてみる余白を残してくれている気がしました。

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著者プロフィール

最後の詩「わたしの本はすぐに終る」、および「現在」という作家と日々生み出される作品の作者たちの関心のありかを結びつけて論じる『現在はどこにあるか』などを収める。月報は末次弘氏、前田英樹氏、ハルノ宵子氏が執筆。第28回配本。

「2021年 『吉本隆明全集27 1992-1994』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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