風のマジム

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062165679

感想・レビュー・書評

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  • さとうきびから作られるラム酒。
    お酒が好き。沖縄が好き。「沖縄産のラム酒を造りたい」…ただその想いから、社内のベンチャーコンクールに応募することを決意する。
    酒造りには全くの素人のまじむは、猛勉強を始めるも、行く先にはたくさんの困難が待ち受けていた。

    おばあと一緒に飲んだアグリコール・ラムがすべての出発点だった。

    沖縄の物語は、おばあがいないと始まらない!
    というのが、私の勝手な沖縄物語論なのだけれど(笑)、この本に出てくるおばあは温かいだけでなく、気骨があって厳しくて。
    時に突き放すような苦言でもって、まじむの進む道を後押ししてくれる。
    とてもかっこいいおばあなのです。

    話の筋はわかりやすくて、着地点も見えているのに、随所で泣かされました。
    「真心」の名前を持つまじむ。
    まじむの熱意に押されるように、協力の輪が広がっていく。
    反対派の説得がほぼ人任せだったのがあっけなかったので、もっと深く、まじむの周囲の人たちの話があればよかったのになと思った。

    強風や暴風の中、しなやかに成長するサトウキビを名産とする南大東島。
    那覇から飛行機で1時間、船で13時間という実在するこの離島がラム酒造りの舞台として出てくるのですが、実話を元にしているんですね。
    思わずホームページで確認してしまいました。
    南大東島のラム酒は、すでに全国的に売り出されている人気の商品だそうです。
    私も沖縄産ラム酒で作ったモヒートが飲みたい。

  • 初めての原田マハ!
    頑張る姿が気持ち良かった。

    お酒が飲めたら少し世界が違っただろうなぁと思いながら読み進めました。

    この人の書く本をもっと読みたくなりました。

  • 今年の沖縄(石垣島)旅行前に、図書館で出会った一冊。
    本当にあった話をベースにした、風のような物語でした。

    題材は、沖縄のサトウキビで作る「ラム酒」、
    その中でも、サトウキビの搾り汁から直接製造するアグリコール・ラム。

    主人公はとある会社の派遣社員、生まれも育ちも沖縄の伊波まじむ、
    ふとしたきっかけで社内ベンチャーに応募したところから、始まります。

    事業計画なんて見たこともなく、事業の収支なんて考えたこともない、
    そんな一介のOLが、悪戦苦闘を重ねながらも自分の求める「酒」に近づいていきます。

     “おばあが言ってた『風の酒』、君が感動したほんもののラムを造れる自信がないんだったら、
      たとえ数字でごまかせても、この事業はうまくいかない。”

    これは「事業」に携わる人全てに、相通じる心意気ではないでしょうか、
    自分が本当にやりたいとの「想い」、そして「自信」が無ければ手を出すべきでは、ないのでしょう。

    下地に事実があるだけに、リアリティと共にストンと落ちてきました。
    いろいろと身につまされます、、うーん。。

    ん、ラム酒と言うと海賊のイメージが強く、度数の高い酒な印象ですが、

     “風の酒を、飲もう。真心の酒を。”

    「風」を感じさせてくれるとは、一体どのようなお酒なのでしょうか、、気になります。
    ちなみに最近流行りの「モヒート」はラム酒ベースです、確かに爽やかさが残りますね。

    なお、劇中では「風のマジム」との名前になっていますが、
    実際にはグレイスラム社の「COR COR(コルコル)」とのこと。

    アグリコールの他、アンデュストリエル(工業ラム)もあるようです。
    旅先でも探したのですが、空港では見つからず通販かなぁ、、と検討中でしたが、、

    つい先日、奇遇にも地元の酒屋で扱っているのを見つけました。
    度数は強めですが後味はよく、爽やかな飲み口で、心地よかったです。

    なんとなく、サトウキビ畑を吹き抜けていく風に包まれたような気分に、なんて。

  • 青い空にぽかりと浮かぶ雲。身の丈ほどもあるさとうきび畑の向こうには、つば広帽を風にとられないよう、しっかりと押さえながら佇む女性。視線の先には南大東空港がある。

    心が弱ってるときにマハさんの作品が手元に、しかも沖縄モノ。
    いつ読むの?今でしょ!

    パウンドケーキにはダークラムやブランデー、チョコケーキにはキュラソー。製菓用に買い求めることはあるが、ラムそのものをきちんと飲んだことはなかった。一般的に流通しているラムはインダストリアル・ラムと呼ばれ、さとうきびの絞り汁から結晶化させた精製糖を採取した残り汁(糖蜜)を発酵・蒸留させて造る。このお話の主役となるラムは、さとうきびの絞り汁をそのまま水で薄めて発酵させるアグリコールラム。

    おばあに勧められ、まじむが口にした瞬間虜になったのは中米のフランス領マルティニク島産のアグリコール・ラム「クレマンアグリコールブラン」。

    風が育てたさとうきびから作られる、まさに風が育てた風の酒、ラム。その味に救われ、魅せられたまじむは突拍子もないことを思いつく。

    こんなにさとうきびがいっぱいあるのに、うちなーぬラム酒がないなんてもったいない。沖縄産のアグリコール・ラムを造りたい。酒造りには無縁の通信会社の派遣社員が社内のベンチャーコンクールに応募した夢。

    全く知識などないところから猛勉強して、農家に頼み込み、醸造家に頼み込み、駆け回るまじむ。

    時には厳しく諭しながらも、まじむこみてい(真心こめて)応援してくれるおばあの存在があったかい。

    しかもこれ、民間企業のOLから南大東島に本社を置くラム酒製造会社「グレイスラム」を立ち上げた金城祐子さんをモデルにしたフィクションなのだ。
    Wikipediaでラム酒を検索してもちゃんとこの金城さんのエピソードは紹介されている。

    「コルコル」という金城さんと玉那覇力さんの造りだしたラム。風を感じるその味、私もいつか味わいたい。黒糖とシークワーサーが香る、うちなーぬモヒートも。

  • 原田マハさんの作品はこれで5作目。
    彼女の作品には不器用だけど一生懸命に生きる女性が出てくることが多い。
    そして主人公の周りを取り巻く人々も魅力的で
    人の温かさを感じられる。
    若干綺麗にまとまりすぎている気がすることがあるし
    序盤から展開はほぼ予想通りなところも多いんだけど
    何か希望があるエンディングを求めてしまうタチなので
    私にとっては大満足な作家さんなのだ。

    『風のマジム』
    しがない契約社員の伊波まじむが会社の企画に応募し
    地元沖縄のサトウキビからラム酒を作ることにチャレンジする。
    人々との触れ合いを通して悪戦苦闘する様子についつい力が入って応援してしまう。
    まじむのおばあちゃんがイイ。
    一番の理解者でありながら一番の苦言を吐いて激励してくれる。
    “まじむこみてい”
    この話の内容はこの7文字に尽きると思う。
    とてもステキで何度も鼻の奥がツンとなった。

    フィクションではあるけど 実際にモデルがいるそうだ。

  • 本当に本当に、原田マハに出逢えて良かった。ワイドショーのBOOKコーナーの紹介で『楽園のカァンバス』に出逢い、#9…そしてこの『風のマジム』。
    思わず隠していた八海山酒造の焼酎を出し最後の1口を飲み、ワインを飲み、焼酎のブルーベリージュース割り…と吞みながら、旦那や息子とジャレながら、読み進め、ときには息子に『あんた泣いてんの⁈』と突っ込まれつつも読み続けた。読み終わってすぐ、『コルコル』を検索…いつ呑もうかいつ手に入れようか…と今は心が踊っている。

    モチロン代表作のカフー…も最新作の『旅屋おかえり』も読んだ、旅屋…は実は今日読んでこれ又色々感慨にふけれた、たのしかった。『映画の神様』これも良かったけど、今は…『風のマジム』‼アルコールの話だから?吞みながら読めたから⁇イヤイヤ実際にあった話だから?⁇
    まあ
    とりあえずコルコルを注文しよ。

    • はさぴーさん
      コメントありがとうございました!嬉しかったです♪
      この本は未読なので、ぜひ読みますね。

      本とは関係ありませんが・・・小2の息子の誕生...
      コメントありがとうございました!嬉しかったです♪
      この本は未読なので、ぜひ読みますね。

      本とは関係ありませんが・・・小2の息子の誕生日が7/6なんです。(サラダ記念日ですね!←古すぎますが・・・)とっても親近感がわきました。ずっと読書メーターを使っていて、ブクログは始めたばかりで慣れてませんが、よろしくお願いします!
      2012/10/15
  • 実話に基づいたフィクション。
    沖縄産のラム酒を作るお話。
    沖縄に行きたくなった!
    風を感じる。
    ラム酒を飲みたくなってさっそくモヒート買ってみた。

  • 派遣社員として働いて3年目のまじむ。
    トラブルもない代わりに喜びも少ないさりげなく過ぎていく日々。
    そんなある日、彼女は派遣先の会社でベンチャーコンクールを開催する事を知り、自分もそれに参加する事を決める。
    まじむの提案する新規事業、それは沖縄、南大東島のサトウキビを使い、アグリコール・ラムを造るということ。
    最初は非協力的だったり、冷たい言葉をまじむに浴びせていた正社員たちもまじむの真心に心動かされていく。
    そして、まじむが行き詰った時、いつも助けてくれたり、叱咤激励をくれる、ばーばや行きつけのカフェバーの吾朗さん。
    まじむは何もなかったところから少しずつ夢を形にしていく。

    最初は凪。
    無風の状態から、心ざわつかせる出来事に出会い、そよ風が吹き始める。
    それが周囲を巻き込む毎に強いしっかりした風になっていく。
    土と風に作られるというラム酒とそのイメージが重なって素敵だと思いました。
    主人公のまじむの周囲に対する態度も素敵です。
    結構、キツい事を言う人物が多いのですが、それらを受け流し、彼女なりのやり方で自分の真心を伝えていく様は見ていて尊敬ものでした。
    20代にしては出来すぎだと思う。

    この物語では登場人物の言葉はほとんどが標準語となっていて、その横に沖縄の言葉が書かれています。
    それはそれで読みやすくて良かったです。
    この物語は、まじむが琉球エアコミューターで南大東島に降り立つ所から始まりますが、そこからずっと自然な流れで読める本だと思いました。

    沖縄というと、パッとイメージするもののひとつに「さとうきび」がありますが、そのさとうきびを使って造るラム酒がずっとなかったというのも不思議な気がしました。
    あとがきによると、この主人公のまじむには実在のモデルがいるそうです。
    那覇市在住で、民間企業のOLからラム酒製造会社を起業した女性。
    その女性に作者が取材し、その体験談をベースに書かれたのがこの物語なのだそう。

    私は今までラム酒を飲んだことがないのですが、これを読んで「風の中で揺れる花」をイメージするというラム酒を飲んでみたいと思いました。


  • 最後読みながら泣いてた。

    ラム酒飲んでみたくなった。

    そして南大東島に行ってみたくなった。

  • 爽やかな読後感と美味しいお酒が飲みたくなる一冊。
    ひとりの力なんて微々たるもので何かをつくりあげていこうと思ったらいろんな人の力が必要なんだなぁとあらためてしみじみ実感 (^_^)

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著者プロフィール

原田マハ小説家。1962年東京生まれ。関西学院大学文学部日本文学科および早稲田大学第二文学部美術史科卒業。馬里邑美術館、伊藤忠商事を経て、森ビル森美術館設立準備室在籍時、ニューヨーク近代美術館に派遣され同館にて勤務。2005年『カフーを待ちわびて』で日本ラブストーリー大賞を受賞しデビュー。2012年『楽園のカンヴァス』で山本周五郎賞、R-40本屋さん大賞などを受賞、ベストセラーに。2016年『暗幕のゲルニカ』がR-40本屋さん大賞、2017年『リーチ先生』が新田次郎文学賞を受賞。その他の作品に『本日は、お日柄もよく』『ジヴェルニーの食卓』『デトロイト美術館の奇跡』『たゆたえども沈まず』『常設展示室』『風神雷神』など多数。ヤマザキマリ東京造形大学客員教授。1967年東京生まれ。84年にイタリアに渡り、フィレンツェの国立アカデミア美術学院で美術史・油絵を専攻。2010年『テルマエ・ロマエ』でマンガ大賞 受賞、手塚治虫文化賞短編賞受賞。2015年度芸術選奨文部科学大臣賞受賞。

「2022年 『妄想美術館』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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