和解する脳

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本棚登録 : 260
感想 : 38
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062165853

作品紹介・あらすじ

「なぜ人はこんなに争ってばかりなんでしょうか」「脳ってホントは他人と争うのが嫌いなんですよ。でもね…」最先端を走る脳研究者と、日々揉め事に奔走する法律家が、人間の行動原理を探るべく縦横無尽に繰り広げるエピソード。それはやがてひとつの結論へと導かれる-。

感想・レビュー・書評

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  • あとがきを読みながら、ちょっと泣きそうになった。
    知的快感がじわじわ押し寄せ、知識欲と好奇心がふくふく満たされる。

    「人間である前に生物である。」
    「まず身体ありきで、脳はその後付けにすぎない」
    池谷さんの著書ではおなじみのことながら、「脳を研究されている方」から発せられるその言葉は、とても潔く、またとても興味深い。
    弁護士でありながら、出来るだけ裁判には持ち込まずなんとか和解させたい、という鈴木仁志さんのことももっと色々知りたくなった。

  • 脳科学者と弁護士の対談という形式がとてもエキサイティングです。新しい脳と古い脳のせめぎ合いというテーマが心に残りました。

  • 人間の行動、制度を科学者と法律家が考える対談
    面白いけど、対談なので、情報がスッキリ入ってこない。

  • 和解を目指す弁護士さんと脳科学者との対談。意外に話しが噛み合っているのが面白かった。

  •  人の脳は常に闘争を求めている、というのはやや誇張であるが、緊張と緩和が一つのキモである。

     脳科学者と弁護士の対談である。
     弁護士というのは「理」の専門家であるようなイメージがあるが、実際の所「情」も重要であって、特に著者の一人である鈴木氏は「和解」による決着を重視しており、そうなると「法律でこうなっているから」と一方的に押し付けようとしてはまとまるものもまとまらない。結論はある程度固まっていたとしても、「いつどのように伝えるか」みたいな情動の部分が深く関わってくる。
     そうした情動というものをいかに読みとるかという所がいわゆる「コミュニケーション能力」の一要素であり、あたかも天賦の才のように受け取られがちではあるが、まずは知ること、そして実践すること、そうした技術の範疇であるようにも思う。

     人はそれぞれ違う考え方を持つわけで、対立するというのはむしろ自然なことであり、それを無理に押さえ込むほうが不自然である。とはいえ対立をエスカレートさせてはお互い消耗するばかりで、そこで対話をして和解していくというプロセスが重要になる。あたかも雨として降った水が川を流れ海に至り、蒸発してまた雨になるという循環を見ているようである。留まる水は腐る。流れていくという過程で、対立と和解があるのである。

     繰り返すが本書は対談であって、無理に系統立てようとはせず、自然な形で話が展開していくので、こちらも肩肘張らずに、気楽に読み通せる。

  • 2010年刊行。脳研究者(東京大学大学院薬学系研究科准教授)と弁護士による対談。人間の利他的な側面、抑制的な思考をもたらす脳の部位は、マネーゲーム(外国為替証拠金取引、FX取引)では上手く作用しないことなど、興味深い内容である。対談なのでするする読めるが、奥は深い。鈴木仁志氏の証拠金取引等に関する理解や司法手続を絶対視できない見識は至極真っ当なので、多くの方々に是非一読をお勧めしたい。

  • 家族性の失語症=遺伝が原因
    3歳では他者視点でものが見えない、再帰できない。4歳になると少しできる。
    子どもは誘導される可能性が高い。嘘の証言をさせることが簡単にできる。特定の方向に誘導する質問を繰り返しすると、記憶が植えつけられてしまう。
    海馬は未来予測に重要な関与をしている。記憶の保存をするもので、時間的には常に後ろ向きと考えられていた。海馬を損傷すると、次の誕生日にどのレストランでどんなパーティーをするかなどのビビットな想像力が低下している。
    パーキンソン病とは、身体の動かし方を忘れてしまう病気。方法の記憶が失われ、手足の動かし方を忘れて、震えたような形になってしまう、
    認知的不協和という心理状態。本当はおいしいと思ってても、まずいというと本心まで変わる。脳が言い訳を始める。つじつまを合わせてしまう。
    前頭葉の背側前頭内側皮質は最高レベルの司令塔。子どもはそこがうまく働かないから思ったことをそのまま言ってしまう。モラルが入ることによって抑止が生じる。働かない状態は、幼い子どもみたいに欲求を解放している。

  • 法律と神経科学研究との融合。現代社会の人間行動を神経科学の見地から分析。面白かった!

  • 法律家と脳科学者という異色の対談。
    と思っていたけど、そうか、法が人間の行動を律するものである限り、脳研究からの分析が役立たないわけがないのだった。
    将来的には、法廷に被告の脳分析結果が持ち込まれることもあるのだろうか。

  • 脳科学者と弁護士の脳にまつわる対談の書式化。

    なにか行動を起こそうと意識する前にすでに行動を始めている。Free willは存在しない。存在するのはすでに起こし始めた行動をやめるか、Free won'tなのである、という考え方は面白いと思った。

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著者プロフィール

池谷 裕二(いけがや・ゆうじ)
1970年、静岡県藤枝市生まれ。薬学博士。現在、東京大学薬学部教授。脳研究者。海馬の研究を通じ、脳の健康や老化について探求を続ける。日本薬理学会学術奨励賞、日本神経科学学会奨励賞、日本薬学会奨励賞、文部科学大臣表彰(若手科学者賞)、日本学術振興会賞、日本学士院学術奨励賞、塚原仲晃記念賞などを受賞。現在、「ERATO 池谷脳AI融合プロジェクト」の研究総括を務める。主な著書に『記憶力を強くする』『進化しすぎた脳』『単純な脳、複雑な「私」』(ともに講談社ブルーバックス)、『海馬』『脳はこんなに悩ましい』(ともに共著、新潮文庫)、『脳には妙なクセがある』(扶桑社)などがある。


「2021年 『脳と人工知能をつないだら、人間の能力はどこまで拡張できるのか 脳AI融合の最前線』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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