地のはてから(上) (100周年書き下ろし)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 342
感想 : 55
  • Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062165938

作品紹介・あらすじ

物心ついたとき、少女はここで暮らしていた。アイヌ語で、「地のはて」を意味するというこの土地で。おがちゃの背中と、あんにゃの手に、必死にしがみつくようにして。北海道知床で生きた女性の生涯を、丹念に描き、深い感動を呼び起こす。構想十年-書き下ろし長編小説。

感想・レビュー・書評

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  • 北海道開拓団として知床に渡った「とわ」たち一家。
    森を切り拓き、ただただ生きていくために働きつづける。
    次から次へめぐる不幸、その中でも元気に育つとわだったが、
    小学校を卒業して間もなく、小樽に奉公にでることになった。
    奉公先での暮らしは、知床で見知ったものとは大違いの、丸で別世界のもののようだった。

    この時代の、開拓団の暮らしの壮絶さに驚かされました。
    それをただ引き受けるしかなかった母つねが気の毒で仕方がなかったです。
    知床しか知らなかったとは言え、その中で健気に暮らすとわのその後が気になります。
    前編は、小樽に奉公に出たところまで。
    早速後編に進みます。

  • 時代は大正。夢見がちな福島の農家の四男坊である夫が、東京でひと旗挙げようとして株で失敗した。終わりだ。やがて本家にも借金取りが来るだろう。もうこれしかない。福島から一路、蝦夷地開拓民としてまだ幼い子供と妻を連れていくという。選択の余地はなかった。2月のある夜、最果ての地に向け出発した。
    移住の手引には「各所に駅があり商店がある」とあったはずだが、妻つねは愕然とした。幾日も幾日もかけてようやく辿りついたそこは、福島とは比較にならないほど雪深く、吹く風は刃物で切られるよう、見上げれば大木の群が空を覆い地面は熊笹で覆いつくされ、まるで鍬もたたない地。こんなところで、暮らしていけるのか。いや暮らすしかない。もうここにしがみつくしかない。

    …という序章はからはじまる。ストーブに当たりながら、読むのが申し訳ない。何度もくやし涙しながら、つねの娘「とわ」の半生を読みすすめてる。
    どうかどうか、とわに幸せを用意してあげて下さい。

  • 福島県から北海道へ開拓移民として渡った少女・とわの物語。

    大正から昭和にかけて貧富の差が広がる中、開拓時の苦労や当時の生活の様子など織り交ぜながら、激動の時代を生き抜く姿が細かく描写されている。

    父の死や、奉公に出されるなど、過酷な運命をたどるとわの行く末が気になる作品で、下巻が楽しみです。

  • 読了

  • 7月4日読了。

  • この圧倒的迫力。下巻借り保留判断は大間違いだった。

  • 大正6年、家族とともに北海道の開拓民になった少女「とわ」の物語。

    「とわ」は2歳のときに、家族とともに北海道へ渡った。
    くま笹が生い茂る原野・知床に本土から渡り住み、荒れ地を開拓しながら、村を築いていく開拓民の生活は、厳しい自然との闘いの毎日だった。
    電気も水道もろくにない時代のこと。北海道の原野では水すらも、1日に何回も近くの川まで行って、汲んでこなければならない。さらにせっかく耕した農作物も、バッタの大群に食い荒らされ、その年の収獲はゼロという貧しい生活だ。
    ものごころついた頃から、そんな貧しい生活していた「とわ」だが、いつもそばには優しい母と兄がいて、温かい家族の絆があった。

    大正11年。「とわ」の父が事故死すると、未亡人となった母は「とわ」と兄をつれ、栗林家に後妻にはいる。義父にどなられ異母兄たちにいじめられながらも、「とわ」は我慢強く自分に任された仕事をこなしていた。「とわ」が小学校を卒業するころ、自宅が家事になり義父が焼死してしまう。
    困った母は「とわ」を小樽の商家へ「子守」として奉公へ出すことにした。

    12歳の「とわ」は小樽で子守をしながら、生まれて初めて、電気や電話など文明の利器のある暮らしをすることになった。親たちと離れて生活するのは寂しいけれど、この満ち足りた便利な生活は、「とわ」には楽しくてならなかった。そして「とわ」14歳。時代は昭和に変わり、昭和の大恐慌が始まろうとしていた。


    上巻はここまで。主人公の「とわ」の生い立ちには驚いた。
    北海道開拓民の生活ぶりもよく知らなかったため、苦労続きの毎日に唖然とするばかりだった。
    そんな中で一生懸命に両親を助けながら成長していく「とわ」に、何物にも負けないたくましさを感じた。
    野生児のような「とわ」が、小樽という大きな町で思春期を迎えてこの先どんな人生を過ごしていくのか、とても楽しみだ。

  • ニサッタ、ニサッタからこの本を手にとりました。
    方言と昔の時代背景にはじめなじめなくて読み進められるか不安でしたがズンズンと心に響くものがあり読めました。
    感情移入してしまい、現在がどれだけ恵まれているかというのを改めて感じました。
    下巻では少しでも幸せなとわを見たいです。

  • 北海道の地に移住した極貧の家族のために小樽に奉公に出た「とわ」

    時は昭和初期。
    戦争の足音が聞こえてくる・・・。
    そして辛い開墾時代に家族と暮らした時の思い出の「三吉」との再会。

    彼への想いを胸に、嫁に行くとわ。

    戦争、赤紙、貧困、、、、。
    どうしようもない運命に翻弄された女性の大河ドラマ。

    読みごたえもあり、寂しく切なく、そして世界を求めながら地のはてで人生を終えていった自身の自由叶わず、ただ家族を守り地のはてで人生を終えていった強く聡明な女性。強く聡明な女性。

  • 明治~昭和の北海道を、たくましく生きる女の子の話。
    読みやすい。しっかりしている。続きが、結末が気になってしかたない。

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。88年『幸福な朝食』が第1回日本推理サスペンス大賞優秀作となる。96年『凍える牙』で第115回直木賞、2011年『地のはてから』で第6回中央公論文芸賞、2016年『水曜日の凱歌』で第66回芸術選奨文部科学大臣賞をそれぞれ受賞。主な著書に、『ライン』『鍵』『鎖』『不発弾』『火のみち』『風の墓碑銘(エピタフ)』『ウツボカズラの夢』『ミャンマー 失われるアジアのふるさと』『犯意』『ニサッタ、ニサッタ』『自白 刑事・土門功太朗』『すれ違う背中を』『禁猟区』『旅の闇にとける』『美麗島紀行』『ビジュアル年表 台湾統治五十年』『いちばん長い夜に』『新釈 にっぽん昔話』『それは秘密の』『六月の雪』など多数。

「2020年 『チーム・オベリベリ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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