地のはてから(下) (100周年書き下ろし)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 290
感想 : 55
  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062165945

作品紹介・あらすじ

小樽での奉公を終え、知床に帰った少女は、かつて家族を救ってくれたアイヌの青年と再会する。一度きりのかなわぬ恋。そのとき少女ははじめて思う。人は自分の人生を、どこまで選び、決められるのか、と。厳しく美しい知床の自然に翻弄されながら、ひたすら大正から昭和の時代を生き抜く。感動の最終章。

感想・レビュー・書評

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  • 小樽での奉公暮らしを終え、知床に戻ったとわは、18になり結婚することになった。

    後編は18から45歳までの話。
    ただ生きてくために働き続けたとわの苦労の連続の暮らしぶりが、淡々と綴られます。
    この時代には、決して特別ではなかった北の果てでの日々。
    とわの母としての強さに脱帽です。

    乃南アサさんの今まで読んだどの本とも違う作品でしたが、好みでした。
    読んで良かった。

  • 何の救いもなく、報われずに一生働き続けるとは。この時代はこのような人が多かったのだろう。

    ただ一つの希望が「生きている」こと。

  • 上巻に続く、昭和から戦後までのとわの物語。

    劇的な物語ではありませんが、只々、時代に翻弄されながら生きていく人々を描写しています。

    お国が決めた理不尽なことでも、文句も言えず、耐えて生きてきた人々。

    そういう世代から現代人を見れば、只わがままなだけと言いたくなるのも分かります。

    「生きる」本当の強さをいうものを読みとった作品でした。

  • このサイト使いにくくなりました。

  • 7月6日早朝にて読了。

  • これでもかとふりかかる苦難をはねのけ生き続けてきた人たち。壮大な女性の人生よ。

  • これでもか!これでもか‼︎っていう程、次から次へと思いもよらない不幸がどんどん押し寄せる。
    それでも、たくましく「生き抜く」女性の生涯。

    北海道の開拓、アイヌ人三吉との出会いと別れ、奉公先でのあれこれ、結婚、大切な人の死、戦争、生涯2度の大火事…
    とにかく、とわの努力や苦労が報われるだけの幸せがいつかやってくるのを楽しみに読み進めたが、最後まで光り輝く幸せはとわのところへやってこなかった…

    でも、彼女の人生ほどドラマチックではないけれどみんな それぞれの日々の暮らしの中に悲喜こもごもがあり、その場その場で幸せや不幸を感じる、それが「生きる」っていうことではないだろうか。

  • 上巻は、「とわ」14歳の多感なころで終わっていた。
    そのあと、奉公先からヒマを出されて故郷へ帰って来た「とわ」。
    「とわ」はもともとは福島の生まれだが、2歳の時に北海道開拓民として北海道へ渡り、育った故郷は知床となっている。知床は、アイヌ語で「地のはて」という意味だそうだ。
    故郷へ帰った「とわ」には、地のはてのような厳しい自然環境と生活苦の毎日が待っていた。

    ある日幼馴染みのアイヌの少年と再会をし、「とわ」は初めて自分のほのかな思いを知る。和人とアイヌ。それは、決してかなわぬ恋だった。そして自分の気持ちを隠し持ったまま、「とわ」は実母や近所のおばさんに勧められるまま、それまでに顔を見たことのない男性と結婚をする。

    これが明治大正昭和初期の女性の生き方だったのだろうか。
    自分の人生なのに自分で決めて進めない。
    何でも親、特に男性の言うがままの、人形のような人生だ。
    これでいいのかと、反発精神を持つ「とわ」だが、周りの兄や母に「それが生きていくことなんだ」と言い含められ、泣く泣く納得して新しい人生を歩むこととなった。

    はがゆく思いながら読んでいたが、
    確かにこの時代を安全に生き抜くには、
    親の言うとおりにするのが、生き残れる方法だったのに違いない。

    貧乏生活に変わりはない結婚生活だが、仕立ての腕をいかし、「とわ」は古着屋をはじめて、一生懸命に家族を支えていた。やがて、戦争が始まり、「とわ」の夫も故郷の兄も出兵する。
    終戦後、生き残った家族を育てるため「とわ」は、がむしゃらに働いた。帰還した夫が病死しても、二女、次男が独立しても、残った家族に愛情を注いでいたのだ。

    昭和33年、斜里から宇登呂という知床の地に道路が開通した。44歳になった「とわ」が残った子供たちを連れて、この道路をバスにのって、実家の母の元を訪ねるところで、この物語は終わっていた。

    「とわ」という一人の女性の半生を通して、
    開拓民だけにとどまらず、
    当時の女性の生き方そのものを表わした作品だと思う。
    どんな不幸がおそってきても、
    ただただ我慢強く耐え忍んで生きてきた「とわ」。
    泣くだけ泣いたらしっかりと大地に立って歩んでいくような生き方だと思う。
    ある意味、「風と共に去りぬ」のスカーレットにも似ているような気がした。
    やはり・・・女性は強い!


    ぐいぐいと「とわ」の半生にひきつけられて読める作品だが、
    個人的にただ一つ、残念に思ったことがある。
    下巻の最後のほうで、「とわ」とアイヌの少年が再会したことだ。
    それは「とわ」の夢も奇麗な思い出も打ち破るような再会だった。
    ドラマチックな再会を設定して面白味を出すのならともかく、
    そうでないのなら、
    あの再会シーンはなくてもよかったのではないだろうか。
    思い出は美しいままにそっとしまっておいてもよいものだから。

  • 重かったー・・・
    私たちのおばあちゃんくらいの世代と考えると現実味がない話ではないはずなのに、なんて今は幸せなんだろうと思う。
    いろいろなことが起きながらもその場面でなんとか折り合いをつけて、その場での幸せを見つけるとわはすごいと思った。
    三吉との決着もあったほうがよかったのかなかったほうがよかったのか気持ちが沈んだ。
    いつもは読まないタイプの本だけど読んでよかったと思う。

  • 北海道の地に移住した極貧の家族のために小樽に奉公に出た「とわ」 時は昭和初期。 戦争の足音が聞こえてくる・・・。 そして辛い開墾時代に家族と暮らした時の思い出の「三吉」との再会。 彼への想いを胸に、嫁に行くとわ。 戦争、赤紙、貧困、、、、。 どうしようもない運命に翻弄された女性の大河ドラマ。 読みごたえもあり、寂しく切なく、そして世界を求めながら自身の自由も叶わず、ただ家族を守り地のはてで人生を終えていった強く聡明な女性。

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。88年『幸福な朝食』が第1回日本推理サスペンス大賞優秀作となる。96年『凍える牙』で第115回直木賞、2011年『地のはてから』で第6回中央公論文芸賞、2016年『水曜日の凱歌』で第66回芸術選奨文部科学大臣賞をそれぞれ受賞。主な著書に、『ライン』『鍵』『鎖』『不発弾』『火のみち』『風の墓碑銘(エピタフ)』『ウツボカズラの夢』『ミャンマー 失われるアジアのふるさと』『犯意』『ニサッタ、ニサッタ』『自白 刑事・土門功太朗』『すれ違う背中を』『禁猟区』『旅の闇にとける』『美麗島紀行』『ビジュアル年表 台湾統治五十年』『いちばん長い夜に』『新釈 にっぽん昔話』『それは秘密の』『六月の雪』など多数。

「2020年 『チーム・オベリベリ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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