喜嶋先生の静かな世界 (100周年書き下ろし)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062166362

感想・レビュー・書評

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  • 考えるのが好きな男が喜嶋先生と過ごしていくうちに研究者となり、大人になっていく話。

    登場人物皆が賢い、
    とゆーより皆が研究者。
    研究者としての強い知的好奇心、
    主人公の倫理的思想が印象深い。
    はたから見れば変人だらけ、しかし
    ただ純粋に研究することに
    没頭しているだけの人々であり、
    全く自分の知らない世界だった。
    言葉や研究内容については難しくて
    よく理解できなかったけど情熱は
    伝わる、且つ、スラスラと読める。
    夢中で読むことができた。

  • 2度目読了。

  • 前週に読んだ短編集の中の「キジマ先生の静かな生活」がとてもよかったのでもとねたのこちらを読んでみました。
    内容は喜嶋先生の世界というより、主人公が喜嶋先生をはじめ尊敬できる数々のひととともに送った研究生活を描いたものでした。

    大学との勉強方法とは何か理想の研究環境とはとうことが描かれています。登場人物がみな穏やかで冷静でとてもきれいなお話だと思います。ただ、長いです。期待の喜嶋先生は90ページほどよまないと登場しません。

    先に読んだ短編が(こちらのお話の抜粋)あまりに良かったので☆3っつと致します。

  • 「『そんな経験のためにここにいたのか』
    喜嶋先生なりのジョークかもしれないから、僕は先生に微笑んで返したけれど、じっくりとその言葉を考えてみると、こんなに凄い言葉、こんなに怖い言葉はない。
    良い経験になった、という言葉で、人はなんでも肯定してしまうけれど、人間って、経験するために生きているのだろうか。今、僕がやっていることは、ただ経験すれば良いだけのものなんだろうか。」(p.152)

    「ランニングの場合、目的地があるわけではない。目的地があると、それは労働に近いものになる。同じように、考えて求められる答が定まっているものは、明らかに労働だ。」(p.194)

    「最初に彼女が来たときには、ありのままの姿を見せたわけだけれど、やっぱり恥ずかしいから片づけている。二度めのときに、どうして片づけたの、と彼女にきかれたので、いちおう僕なりの誠意というやつだ、と答えたら、彼女は、こういった。
    『馬鹿じゃないの?片づけるくらい当たり前だと思うよ』
    その言葉には反論しなかったけれど、一生忘れず、覚えておいてやろうと思った。」 (p.264)


    生き続けなければ希望はないが、生きていれば生きるということの残酷さが骨身に沁み、その途方もない残酷さに絶望する瞬間がある。
    望む道を選ぶことはできる。
    しかし人は変化を免れないため同じ道を歩き続けることは難しい。


    2013.05.06 読了

  • スラスラ読めて面白かった。S&Mシリーズやエッセイなどで語られてきた、氏の”大学とは”に関する考察がまとめられた1冊。自らの研究に没頭できること、それは研究者として得難いものだし、本当に幸せなことだ。自分ももう一度学びたい、と思わされた。

  • 研究したくなる。後味悪いな。

  • 初めから終わりまで心穏やかに読めた.

  • 僕の人となりが穏やかで良かったと思う。学問に向き合う姿は情熱的で真摯だ。
    森博嗣節全開の本だった。結末に関しても、後味は悪いが、それも含めて人生とはこういうものだと言っている気がする。現実的だ。
    社会の歯車を回していく者として、この本を忘れたくないと思った。
    大学4年生の今、読めて良かったと思う。

  • 「一日中,たった一つの微分方程式を睨んでいたんだ.
    あの素敵な時間はいったいどこへいったのだろう?」

    文句なしに面白かった.
    探偵伯爵とぼくの次に面白い.
    研究とはなんぞや,ということを考えさせられた
    淡々としてて,清々しくて,透明で,綺麗な研究生活だと,そう思った.
    純粋な,研究者の話だった.

  • 自伝的小説、と銘打たれているけれど、普通のお話として、また「学ぶこと」についての意義を考えさせられる文章として大変愉しく興味深く読んだ。
    読みながら、水面に広がる波紋を思い浮かべていた。穏やかにでも確実に、何かが動かされる感覚。とても密やかに、でも確実に迫ってくる感じ。
    学生の頃にこれを読んでいたら、もっと学ぶことに真剣に向き合うことができたかも知れない。きっと今からでも遅くはないと思いたい。
    世界には知らないこと・知りたいことがまだまだたくさんあるから。

    2013年最初の読了が、この本で良かったなぁと思う。
    友人から贈られた本。大切にしたい。

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著者プロフィール

工学博士。1996年『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、エッセィ、新書も多数刊行。

「2023年 『馬鹿と嘘の弓 Fool Lie Bow』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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