サイゴン ハートブレーク・ホテル 日本人記者たちのベトナム戦争

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (490ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062166393

作品紹介・あらすじ

戦場ジャーナリストたちの"終わりなき旅"。サイゴン陥落から35年。今も仲間の遺体を捜し続ける老カメラマン、戦争症候群と向き合う特派員たち…。彼らが物語る「熱い時代」の叙事詩大宅賞受賞後第一作。

感想・レビュー・書評

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  • 著者がアメリカのメディアでヴェトナム戦争を取材していただけに、

    前作『キャパになれなかったカメラマン』では アメリカ・メディアの

    ジャーナリストの人間ドラマだった。

    本書は前半でこそ欧米や韓国のジャーナリストを扱っているが、

    後半はほぼ日本人ジャーナリストたちの物語だ。そして、やはり

    今作も根底には温かさが流れている。

    メディアの取材制限が緩やかであった分、戦場で命を落とした

    ジャーナリストも多いのがベトナム戦争だ。日本からも大手メディア、

    通信社、フリーランスと多くのジャーナリストがインドシナに渡り、

    戦場の「今」を日本に伝えた。そして、そのまま帰らぬ人となった

    ジャーナリストも多い。

    そんなインドシナでの戦いを生き延びた戦友たちに、著者は問う。

    「あなたにとってヴェトナム戦争とはなんだったのか?」と。

    著者同様、当時は若かった戦友たちも今では60代、70代になって

    いる。そんな彼らが当時のエピソードを交え、手紙で、メールで、

    著者の問い掛けに答えを寄せる。

    「ヴェトナム戦争症候群はない」と答えを寄せた人さえも、それぞれ

    が自分のなかに自分だけの「ヴェトナム」を抱えて生きているのだろう。

    「戦争はジャーナリストを出世させる機会を与えるが、彼らの命も

    縮める。老カメラマンは、なぜか生きのびて、性懲りもなく繰り言を

    続ける。「むかし、むかし、こんな戦争があって、こんなすてきな記者や

    カメラマンたちがいました」と。まだどこかで新しい戦が続いていると

    いうのに、旧い戦の話を続けていく。浜の真砂がつきても、何故か、

    あの戦争の話のタネはつきないのである。」

    語り継ぐべきことがある。沖縄戦、東京大空襲、ヒロシマ・ナガサキ

    原爆投下。そして、著者が問い続けるヴェトナムも語り継がれるべき

    ことだろう。

    今回も多くの名作写真が収録されている。報道が報道の役目を果たし

    ていた良き時代があった。ヴェトナム戦争を、それを取材した人々を

    描くことで見つめ直す◎な良書だ。

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著者プロフィール

1938年沖縄県に生まれる。1965~75年、毎日放送(大阪)を経て、米ABC放送サイゴン支局のTVカメラマンとしてベトナム戦争を取材。その後、西独・ボン特派員、ニューヨーク本社勤務。米国籍を取得。2006年定年退職。2009年、『キャパになれなかったカメラマン――ベトナム戦争の語り部たち』で第40回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。他の著書に『サイゴン ハートブレーク・ホテル――日本人記者たちのベトナム戦争』。べトナム人の夫人との間に一男一女がある。現在、ニューヨーク近郊ニュージャージーに在住。

「2013年 『アイウィットネス 時代を目撃したカメラマン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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