見知らぬ人へ、おめでとう

著者 :
  • 講談社
3.26
  • (0)
  • (6)
  • (12)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 38
感想 : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (194ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062166492

作品紹介・あらすじ

「…あの、むかし、日比谷で、いっしょにコンサート観ませんでしたか?」かつて一度だけ会ったことがあるふたりの女性の、十数年ぶりの再会…。過去をふりかえりたいわけではない。なつかしみたいわけでもない。いまのままでいいとも思っていない。だけど、あの頃となにが変わったの?小さな願いをかかえて生きる、ふたりの女性の姿を追った表題作ほか、「野いちごを煮る」「天使」の2篇を収録。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 木村さんが描く人と人の距離感が好きだ。特に本作のような、思いがけない形で再会した2人の女性が、ぎこちないながらもどこかでシンクロし、そっと寄り添っていく感じ。
    OLの灯子、ウェイトレスの未央。それぞれ未婚・既婚(子持ち)でライフスタイルも異なる、接点のないアラサー2人が、共通の友人の結婚式で再会する(とはいっても、共通の友人つながりで大学時代に一度ライブに行っただけの関係だが)。淡々とした筆致で、さらさらとこぼれていきそうで、どこかでひっかかりを感じるざらっとした感触が好きだ。普段は意識の下に沈めている黒い部分が時々浮き上がってくる感じ。その何とも言えないやるせなさ。そんな部分が見え隠れしながらも重苦しく感じないのは、時々登場する水上バスの描写が効果的だからかな。私も機会があったら是非乗ってみたい。そして、橋からも水上バスを眺めてみたい。それぞれから見える景色を体感してみたいな。
    同時収録の「野いちごを煮る」も、派遣社員と正社員の女性の物語。同郷というつながりだけで、微妙な距離感の2人の関係の描写が絶妙。
    書き下ろし短編の「天使」はちょっとシュール。ぎょっとする展開だが、不思議な余韻。
    当たり前の日常でふと感じる引っ掛かりのようなもの…ぼわっとした負の感情をそっと掬ってくれる、読んだ後はほんの少し呼吸がしやすくなるような気がした。個人的には好きな一冊だ。

  • バーコード禿の天使とかこわい

  • 表題作が一番いい。私も水上バスに乗ってみたいな~、なんて思った。街を見上げるってどんな気分なんだろう。最後の書き下ろしはなかなか怖かった。

  • 結婚したいとも、子供がほしいとも今は思わない、事務員の灯子

    結婚し一人娘がいる未央は、金銭的な理由で二人目を中絶したことに、罪悪感をもっていた。

    共通の友人の結婚式で再会し、水上バスに揺られて胸のうちに思う、祝福の言葉。

    他短篇。

    野いちごを煮る、は、地元が近いけど互いの立場は正社員と派遣で、
    なんだか切な

    立場も経験してきたことも違うけど
    思いは通じあう、みたいな…

    水上バスに乗りたくなった)^o^(

  • 2011/07/27 表紙がいい。会社、ハケン、と少しファンタジー。

  • 梅雨が明けたある日、飯島灯子は突然、思いたって半休を取った。仕事をしながら、窓の向こうに浮かぶ雲のかたちが変わるさまをちらちらとたしかめているうち、むしょうに、隅田川を走る水上バスに乗りたくなった。

全7件中 1 - 7件を表示

著者プロフィール

1976年生。2006年『風化する女』で文学界新人賞を受賞しデビュー。09年『月食の日』、18年『雪子さんの足音』がそれぞれ芥川賞候補となる。他の著書に、『夜の隅のアトリエ』『まっぷたつの先生』等。

「2021年 『あなたに安全な人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

木村紅美の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

ツイートする
×